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56章 計都羅睺なるデュラハン

「早速二人掛かりか…!いいだろう!」


 新たな装いとなったF(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは激!勇者丸・刀モードを持った颯と共にMr.シルバーに斬り掛かる。

 ラゴウはミストの操り糸に当たらないように爪で斬り裂いたり、何度も跳ねて避けていた。


「我が刃に(いかずち)よ、宿れ!」


 颯は激!勇者丸の力で身体力が上がっているのを活かし、高く飛び跳ねている隙にスマホを操作し、激!勇者丸の刃を雷刃ヘッドに変えて電流を発生させた。


「そのまま颯流から竹割りぃっ!」


 颯は両手に激!勇者丸を持ってMr.シルバーに対して雷の刃を振り下ろした。


「電流か、それは受ける訳にはいかないな…!」


 Mr.シルバーは颯の新たな刃の性能を理解し、後ろに跳んで避けた。


「ボクも颯流に入門しようか!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストはキャンドルホルダーブレードの三つの蝋燭(ろうそく)の火を颯の髪色と同じ赤紫に変え、火と同じ赤紫色をした電流を発生させた。


「…! なるほど、そういう類のヘッドか…!」

「気づいてももう遅いよ!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストはキャンドルホルダーブレードを横に振り、三つの電流の斬撃を飛ばした。


「名付けて赤紫電(せきしでん)の刃、誰かさん(ダーバラ)が好みそうな名前だ!」

「ちっ!」


 Mr.シルバーは側転の要領で跳ね回り、向かって来る三つの赤紫電の斬撃を避けてみせた。


「くっ、当たらなかったはずだが…!?」


 ギリギリで避けたはずの赤紫電の斬撃がMr.シルバーを少し感電させた。


「隙ありだ、老紳士殿ぉっ!」


 颯は地面に着地したばかりのMr.シルバーに対して雷の斬撃を飛ばした。

 Mr.シルバーは全身を鳩に変えてバラバラになって避けてみせた。


「老紳士殿お得意の鳩回避か…!」

「今でしょうやぁっ!」「どんどん行くでぇ〜っ…!」


 八雲は素子が素早くマジックで何かを書いた紙を受け取って式神に変えて飛ばした。


「む…?」


 Mr.シルバーは空中で元の身体に戻り、そのまま着地した。

 八雲が飛ばして来た式神が自分の体内に入らないようにし、両手で式神を持って何が書かれているかを不機嫌そうに見ていた。


「こ、これは…?」

「せや!うちと八雲先輩の合体技…!名付けて『悪口式神』や!それを体内に入れたら最後!気分を害して気が散って隙ができるんや!うちらを非戦闘員やと思ったら大間違いやでぇっ!」

「で、でしょうや!」


 素子がMr.シルバーをビシッと左手で指差すと八雲も素子の真似をして指差した。

 Mr.シルバーと同じ式神であるミストは一瞬顔を青ざめたがすぐにラゴウの相手に集中した。


「…なるほど、それで『阿呆』と『おたんこナース』と…。低俗な攻撃だが…まぁ、私が式神である事を理解した攻撃ではある…。それにこの式神からは低俗な文字の他に仲間を守りたいという想いも込められている…。華凛君たちの役に立ちたいという気持ちは買いたいがね…。」


 意外な事にMr.シルバーは素子と八雲の即興式神による攻撃を誉めてくれた。


「高評価ぁっ!」


 颯はそう叫んでまたMr.シルバーに向かって電流の刃を放ってみせた。


「技名みたいに叫んでも当たらんよ!」


 Mr.シルバーは悪口式神を捨てて突っ込みを入れながらも飛んで来た電流の刃を避けてみせた。


「続いて素子の力もお借りします!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストはキャンドルホルダーブレードの三つの蝋燭の炎を素子と同じ青色に変えた。

 周りに八つの青い炎を出現させた。


「喰らえ、悪口ファイヤー!」


 青い炎は炎の文字になってMr.シルバーに向かって飛んでいく。


「くっ、『バカ』『阿呆』『偉そう』『びびり』『ストーカー』『エセ紳士』『生意気』…それに『しつこい』…!」


 Mr.シルバーは飛んで来た悪口炎をわざわざ読み上げて全部避けてみせた。


「すごい、全部読み上げた上に避けてみせた!やるわね、Mr.シルバー…!」

「…気のせいかな?これはアルウス君だけのボキャブラリーではなさそうなのだが…?」


 華凛はMr.シルバーから視線を逸らして後頭部に両手を当てて口笛を吹いた。

 どうやらデバイスを通じてゴーストが華凛がMr.シルバーに感じている悪口を抽出したようだ。


「…まぁ、式神である私に対して炎自体は有効ではあるが…。」

「またもや良評価ぁっ!」


 颯はまた電流の斬撃をMr.シルバーに向かって飛ばした。

 Mr.シルバーは電流の斬撃による痺れ作用からも避けられるように高く跳んだ。


「くっ、ラゴウ!いつまで幼女モドキと遊んでいる!」

「誰が幼女モドキですって!?」


 ミストがMr.シルバーに対して怒ると糸による攻撃を止めてしまった。

 その隙にラゴウはMr.シルバーと合流するためにミストから離れた。


「くっ、しまった!?」

「ふむ、これが悪口…言葉のナイフの力か…。なるほど、なかなか侮れないものだね…。」


 Mr.シルバーは着地すると同時にデバイスからカードを実体化させた。

 ラゴウもMr.シルバーの近くに滑り込んで来た。


「華凛君の推理通り、私は既に二回目のヘッドチェンジだ。なので、本気で行かせてもらう。」

「させんぞ、老紳士殿!」


 颯は激!勇者丸を構えて前方に突進した。

 ラゴウが爪で颯の雷の刃を止めてみせた。


「やれやれ、お転婆なお嬢さんにはお灸が必要かな?ヘッドチェンジ、計都。」


 Mr.シルバーはデバイスにカードをスラッシュした。


「…? ケイト…?」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは新たなヘッドの名前を聞いて不思議そうにしていた。

 華凛もその名前には聞き覚えがあった。

 ラゴウは新たな燃える獣の頭と両肩パーツを装着し、胸の獣の顔の目と口も炎で燃え始めて炎の獣と化した。


計都羅睺(けいとらごう)顕現(けんげん)。」

「なっ…!?」


 Mr.シルバーがそう言うと計都羅睺は両手の炎の爪で颯の腹を引っ掻いた。


「あっつ…!?」


 痛がる颯に容赦なく計都羅睺は回し蹴りを喰らわし、ふっ飛ばした。


「颯ちゃん!!」


 素子は叫びながらも右手に持ったスマホを前に出し、リスペクトゲールを実体化させた。すぐにリペアナースヘッドを付けた。

 緑色のナースキャップとエプロンを付けたリペアナースリスペクトゲールは吹っ飛ぶ颯をキャッチし、同時に回復させた。


「大丈夫ですか?」

「か、かたじけない…。」


 華凛たちは急いで颯の元に駆け寄る。

 颯の腹を確かめたが、少し焦げが残ってはいるが、火傷や切り裂き傷は治っていた。


「やるな、お気にのタンクトップがブラみたいになってしまったわ…!」


 颯は立ち上がると焼け残っていた背中部分の布を破いて捨て、黒いタンクトップを完全にブラのような形に変えた。


「念のための備えあれば憂なしや!」


 素子は救急箱を取り出し、颯の腹を瞬時に消毒して大きな絆創膏を貼った。


「良かった、颯ちゃん…。それにしても…まさか、Mr.シルバーが容赦なく攻撃して来るなんて…。」


 Mr.シルバーの攻撃方法が今までと変化したため、華凛は少し動揺した。

 明らかに颯に怪我を与える攻撃だった。

 知らない内にMr.シルバーに甘えていたのかもしれないとも思った。


「まさか、こちらに回復役のデュラハンがいると知ってる上での攻撃…?」

「…馬鹿な、そのデュラハンは…!?あの時の…!?」

「ゴースト…?」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストは計都羅睺を見て拳を震わせた。


「ご名答、アルウス君。彼は君のかつての因縁相手だ。」


 Mr.シルバーがそう言うと計都羅睺は全身から発する炎を強め、咆哮した。

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