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55章 力と論理で銀に勝れ

 自身のデュラハンを連れたMr.シルバーは華凛たちの前に姿を現した。


「ファイナルステージ…という割には何だか(なご)やかな場所だな…。」


 颯の言う通り、ここは自然が豊かな緑多き場所。およそ決戦の舞台とは華凛も思えなかった。


「さて、そのファイナルステージとやらの詳細を聞かせてもらいましょうか!」

「…シルバーの隣にいるヤツから察して、物騒な内容なのは間違いないだろうけどね…。」


 華凛とゴーストはそう言うとMr.シルバーの隣にいるラゴウを見た。


「何、私が与える最後の試練は単純明快…。私とラゴウを暴力と論理、両方で倒す事だ。」


 そう言うとMr.シルバーは両手を横に広げて胸を張ってみせた。


「めっちゃシンプルやん…。せやけど、こっちは五人掛かりやで?」

「わ、私も戦闘員に数えられてるんでしょうや?」


 八雲は素子の言葉を聞いて焦り、右手で自分を指差した。


「…ちょい待ち?颯ちゃんとデュラハンは二人扱い?えーっと…とにかく!こっちは多人数に対してそっちは二人や!タコ殴りやで!」


 素子は現在の人数把握を諦めてMr.シルバーを指差した。


「いや、素子。私は最初の試練で激!勇者丸を実体化させてしまったから一人カウントだ。」

「いや、自分のスマホを確認したまえ、颯君。問題なく君のデュエル・デュラハンは実体化できるはずだ。」

「なぬ?」


 颯はMr.シルバーにそう言われると自分のスマホを見た。


「誠であった…。実体化可能だ…。何故…?」

「ここはそういう場所なのさ。デュエル・デュラハンの実体化に制限時間はない。」

「なるほど、わからんがわかった!つまり、私の主人公補正が成せる技なのだな!ふっふっ、さすが私だ…!」

「…君の頭の中ではそういう事にしたまえ。」


 Mr.シルバーは颯のノリに合わせるのを放棄した。


「話を戻そう。私とラゴウはかなり強い。例え大人数で掛かって来ても君たちには決して負けたりはしないさ。しかも、ただ力で勝つだけでは駄目だ。君たちには私のミステリアスな部分も追求してもらう。でなければ、勝利扱いにはならない。」

「…? 論理の前にあなたが力で負けたらどうなるの?」


 華凛はMr.シルバーに気になった点を即問うた。


「安心したまえ。私は君たちの単純な力押しでやられたりはしない、決してね。」

「そんな自信…。」


 華凛が話をする前にMr.シルバーは華凛の事を指差してみせた。


「私は壁だ。君たちにとっての最後の壁。私は君たちと再会した時に言ったね?この先の未来に待ち受けるDULLAHAN WARで君たちは命を落としかねないと。」

「っ…!?」


 Mr.シルバーがそう言うと華凛の脳内に急に邪悪な存在が思い浮かんだ。


「な、何や…?今の感じ…?」

「も、素子様…?」


 どうやら華凛以外のメンバーにも同じものが見えたようだ。

 素子は両手で頭を抱えてしゃがみ、八雲は苦しそうにしながらもしゃがんで素子の心配をし、両肩に手を置いた。


「怖いだろう。得体の知れない存在というものは…。」

「Mr.シルバー、やっぱりあなたは…!」

「ご名答…。華凛君、先程の君の推理通りだ。私は敢えて、君たちにアルウス君の過去の映像を見せ…そして、すぐに記憶を消した。そうすれば残るのは自分でもよくわからない得体の知れない恐怖心…。君の例え通りさ。警報システムを君たちに植え付けさせてもらった訳さ。」

「…そう、ラゴウのヘッドチェンジを一回分使ってまでご苦労な事だね…!」


 華凛がそう言うとMr.シルバーは無表情ではあったが、右の眉毛を少し動かした。

 素子は左手を額に当てて八雲に支えられながら立ち上がった。


「それは誠なのか、華凛!?」

「間違いないよ、颯ちゃん…!これ、あなたの能力じゃないよね…!私、覚えてるんだ!第二試練が始まる前の事…!ラゴウが見た事ない頭を付けてたのを…!あなたは半壊済みのミラージュって言ってた…!差し詰め、ブロークンミラージュヘッド…ってところかな?」

「…名前まで当てるとは驚いた…。私の気取った性格の落ち度か…。」


 Mr.シルバーは自分の口を左手で塞いだ後、すぐに手を下ろした。


「どう?早速あなたに論理で一撃!」


 華凛はそう言うと左拳を前に突き出した。


「やれやれ、果たしてそれを論理と言っていいものか…。やはり、これ以上君の記憶に刺激を与えるのは避けたいものだな!」


 Mr.シルバーはそう言うとステッキを持ってラゴウと共に前に駆けた。


「一番槍のつもりであろうがぁっ!」


 颯は激!勇者丸を実体化し、Mr.シルバーの杖を受け止めて見せた。

 ラゴウは颯を通り過ぎる。


「ミスト、行ったぞ!」

「私相手に不意打ちとか千年早いよ!」


 ミストは両手を前に出し、無数の糸をラゴウに向かって伸ばした。


「私に操られたのもう忘れたの、ワンちゃん?頭が悪い…いや、今のあなたは頭がなかったね!」


 ラゴウは両手の爪で向かって来た無数の糸を切り裂きながら後ろに下がった。


「ゴースト、私たちも行くよ!聞きたい事はたくさんあるけど、今は目の前の事に集中!最後の試練をみんなで乗り越えよう!」

「華凛…。うん、わかった!ボクは華凛のために頑張る!」

「へへん、こっちは今までヘッドを温存してたからフルで使えちゃうもんね…!」


 華凛は得意げにそう言うとカードをデバイスから実体化し、左手で持って見た。


「あの時は私と颯と素子だけで触れたカードだけど…。フレンドシップは無限大!八雲先輩やミストだって、三人いたから新たに出会えた!ヘッドチェンジ!フレンドシップキャンドル!」


 御頭(おがしら)デパートでパックを買った際に手に入れたレアフレーム。

 華凛と颯、素子で一緒に持ったカードをデバイスにスラッシュした。

 ゴーストに三人の髪色である茶・赤紫・青が取り入れられた騎士の頭と胸部装甲、尖った肩パーツが装着された。

 三人の髪色をした三つの炎が灯ったキャンドルホルダーブレードを右手に持った。


「さぁ、ボクのずるいところ、見せてあげる!」


 F(フレンドシップ)C(キャンドル)ゴーストはキャンドルホルダーブレードを回転させて掴み直した後、Mr.シルバーと闘っている颯の加勢に入った。

 

「必ず導いてみせよう、私たちのSolve the caseに!」

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