決戦ダイダロ 後編
おれと雅斗は塔に向かって真っ直ぐ走るが、向こうも接近を許すはずがなく、銃弾や魔法が飛んでくる。
おれはリクドウを双剣にして、機動力を殺さずたくさんの攻撃をいなす。雅斗には朔斗からの支援で、自動ガード機能のある小さな盾が守っている。
塔から攻撃が放たれるのを確認して、アロンソンが大きな魔法を放つがビクともしないし、距離が離れすぎていて発動から着弾までのラグがかなりある。
そして数発援護射撃をしてくれた後には、フード男の魔法で枯れ木の枝のようなもので壁が作られてしまった。
アロンソンの魔法が枯れ木の壁に着弾して壁が激しく燃え上がると、塔やおれ達の姿を確認できなくなってしまい、援護どころではなくなってしまった。
しかし塔まではだいぶ近づけた。
あと一息の場所で雅斗を囲むように枯れ木が生えてきたのを、おれが切り開いて道を作る。
雅斗の射程圏内に入り、銃を構えたところで塔に枯れ木が絡みつくように生えてきた。
「さっきから鬱陶しいなぁ。 走りながらじゃあ枝に弾が当たってしまうかもしれないから、何とかしてくれる?」
雅斗が走りながら無茶な注文をしてきた。
剣で斬っていくのでは埒が明かないのは、言うまでもない。
「リーヴァ。 貴重なものを使うからタイミング逃すなよ。」
おれはパトラの火魔法カードと風魔法カードを、塔に絡みついている枯れ木に向かって解放する。
着弾した魔法は枯れ木を広範囲で燃やすが、地面からの成長で小さな隙間はすぐに埋められてしまう。
少し大きくなっている場所を狙ってメリアスの氷魔法を放つ。
「凍り付いたところの中心を狙え。 だいたいでいい」
雅斗に指示すると銃を構える。
ダイダロが雅斗を狙って撃つ弾は朔斗の盾に阻まれる。
おれは凍り付いている枯れ木を狙って、パトラの土魔法をぶち込んだ。
激しく枯れ木が飛び散った部分に、雅斗の弾が着弾すると、そこからぼろぼろと塔が崩れていく。
「よっし! ナイス雅斗!」
おれは喜び隣を向くと、そこに雅斗はいなかった。
地面から生える枯れ木の攻撃で雅斗の体は、おれの手では届かないほどに高く空中に浮いている。
「 まさとーーーーー!!!!」
ジェミニのスキルで駆け寄ると、雅斗は虫の息だった。
急いで枯れ木を切り、雅斗を連れて朔斗の所まで戻る。
雅斗の体中に刺さっている枝を抜いて、本から取り出した回復液をかけた。
みるみる傷口は塞がったが、雅斗はそのまま眠ってしまったので、朔斗の盾の中にいてもらう。
おれは怒りに身を任せる形でダイダロ達に攻撃を仕掛ける。
1人なら接近することに時間はかからない。
双剣にしていたはずのリクドウは、知らぬ間に鎌になっていたことも気にせず、ダイダロに向かって一心不乱にリクドウを振り回す。
ダイダロが鎌の攻撃をハンマーで防いでも、湾曲した鎌の先が少しずつ傷つけていく。
フードの男は鬼の形相のおれを見て、距離を取りながら枯れ木でダイダロもろとも拘束しようと試みるが、鎌が枯れ木に触れる度朽ちて崩壊する。
「おい、サイベリー。なんとかならないのか!」
「転生者が魔王になって神器を残した状態で暴走。今の状態で全神器を使われては勝ち目ゼロだ。ダイダロ、おまえの犠牲でおれ達は助かる。 じゃあな」
サイベリーと呼ばれたフードの男が逃げようとしたので、鎌を投げるとフードをに引っ掛かり素顔が見えた。
赤目をした白くて長毛猫の獣人だった。
しかし今のおれには、その男の正体より逃がしてしまうことが問題だった。
ジェミニの高速移動で急接近し、鎌を大きく振りかぶって猫獣人に下ろすが、その攻撃は届かなかった。
「たしかにこの力は強いし厄介だけど、それはあくまでこの世界の尺度であって、僕には届かないよ」
おれは猫獣人から腹部にパンチをもらい、吹き飛ばされた。
「ダイダロ。君では力不足だったようだ。惜しかったけどね。じゃ」
猫獣人は空中の空間を歪ましたようにして開けた穴に消えていった。
おれは穴が消えていくのを最後まで見つめる、戦意を喪失したダイダロの首を鎌で切り落とした。
最後が呆気なさ過ぎて、歯切れが悪いが朔斗の守りの盾の中まで戻る。
「終わった」
「まだだよ。ここは終わってもまだ他の人達は戦ってる。援護に行かなきゃ」
朔斗に言われて周りを見ると、バインフーとクテクの大衆処理はちょうど済んだようで、あナ兄弟のところはまだ戦闘中だ。
プチとアモーラは傀儡師、あナ兄弟で笛のポゼリと土魔法のお姉さんを相手している。
あナ兄弟を援護しようと思ったところで念話が入る。
(シャティロンに敵襲です。シュバルさんとビテスさんとイルコスと対応中です)
サージュからだった。
アステリオやマチカとリックもいる。みんなで役割を分担してれば心配は無用だと思うが、念のためこの場を早く終わらしてシャティロンに戻る。




