96
快調に走る4DW車。その車内。日向隊員がハンドルを握る隊長に質問しました。
「これから逢う人て、どんな人なんですか?」
「ふふ、逢ってからのお楽しみだ」
「え~ またそれですかあ?・・・」
ここで日向隊員の脳裏に、ふいに明石悠と真土灯里が思い浮かびました。
「そーいや、明石さんと真土さん、大丈夫だったのかなあ、今日? 悪いやつに何かされてないといいけど? この学校て生徒も先生も悪いやつばかりでしょ?・・・」
隊長はニヤッと笑い、
「あの2人は公安7課が警護してるよ」
「へ~ どうやって?」
「さあな。それはオレでもわからんよ。ともかく公安7課はなんでも秘密にするからなあ。どこからどうやって警護してるのか、オレでもさっぱりわからないんだ」
日向隊員はちょっと残念そうな顔を見せました。
「ふ~ん・・・」
下校路を歩く明石悠。その頭上には2機の何かがあります。認識ステルス機能で姿を隠したドローンです。反重力エンジンで浮いてるせいか、音もありません。
路上に駐車されたセダンの中。助手席に若い女性が座ってます。これまで何度か出てきたサングラスの女、黒部すみれです。黒部すみれはタブレットを持って見てます。タブレットには明石悠の歩く姿が大俯瞰で映ってます。
運転席には同じサングラスをかけた男が座ってます。彼も別のタブレットを持って見てます。そのタブレットにも大俯瞰の明石悠が映ってます。ただし、黒部すみれが見てる影像とは若干角度が違います。
男は横目で黒部すみれを見て、
「今のところ異常ありませんねぇ?・・・」
けど、黒部すみれは何かに気づいたようです。
「いや・・・」
明石悠の前から1台のクルマが現れました。年代物のアメリカ製のクルマです。運転してる人は、以前老松啓一を保護したサングラスの男です。彼以外そのクルマには誰も乗ってません。
明石悠ははっとしました。クルマが路地ぎりぎりに走ってきたのです。このままだと明石悠はクルマにはねられてしまいます。
これをタブレットで見ている黒部すみれと運転席の男。男は思わず叫びます。
「あ、危ない!」
明石悠も慌てます。と、眼の前に電柱がありました。明石悠はその電柱の陰にさっと隠れました。
クルマは何事もなかったように通り過ぎました。と、クルマが明石悠の真横を通り過ぎるとき、運転してる男が明石悠に一瞬視線を送りました。サングラス越しでもわかるぎらついた目つき。それを見て明石悠は身震いしました。
「う・・・」
黒部すみれが乗ってるクルマ。運転席の男がため息。
「ふーっ、助かったあ・・・ もしあの娘何かあったら、責任ものでしたよ、うちら・・・」
黒部すみれは運転席の男に、
「私はあのクルマを追うわ! あなたはこのまま彼女を見張ってて! 他にも狙ってるやつがいるかもしれないから、ちゃんと見張ってて!」
「了解!」
黒部すみれがタブレットの画面にタッチ。すると2機並んで飛んでた透明なドローンのうちの1機が移動開始。クルマを尾行します。
クルマが路地の角を曲がります。さらにもう1度左折。そこには2人組の男がいました。モヒカンの男とリーゼントの男です。
黒部すみれはタブレットでその2人組を確認しました。2人とも濃いサングラスをかけてますが、特徴的な頭髪を見れば、誰なんだか丸わかりです。
黒部すみれは呆れました。
「またこいつらかよ? まったく・・・」
停車した年代物のクルマからサングラスの男が降りました。
「いましたよ、あの女!」
モヒカンの男とリーゼントの男がサングラスの男に駆け寄ります。
「ほんとか?」




