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日向隊員は応えます。
「真土さんは私と出会うまでは八幡このみという仮の名前を使ってました。けど、私と出会ってから本来の真土灯里という名前に戻しました。
彼女、お父さんからもらった大事な名前は、そう簡単に変えることはできないて言ってましたよ。私も同じです!
私、これを機に金目ひなたっていう本来の名前に戻したいんですが・・・」
隊長は呆れたという顔を見せ、
「お前なあ、金目ひなたて名前を日向愛て名前に変更すんのに、どれだけの人力が必要だったと思ってるんだ?
金目ひなたの死亡届けを偽造して役所に提出。次に役所のコンピューターに侵入して、ありもしなかった日向愛のプロフィールを1から書き込んだんだぞ。
お前が名前を元に戻すと、それら偽造を行ったテレストリアルガードの隊員は、全員逮捕となるんだぞ。わかってんのかよ?」
日向隊員はびっくり。
「ええ・・・」
私の名前はもう元に戻せない。日向隊員はかなりがっくりときました。
寒川隊員が隊長に質問しました。
「しかし、どうするんですか、隊長? もういたるところに貼られてますよ、これ?」
「ふ、安心しろ。こんなこともあろうかと、すでに手は打ってあるんだ」
それを聞いた日向隊員は、
「え、どうするんですか?」
隊長も日向隊員を見て、
「明日から学校だったな? 学校が終わったらある人に逢ってもらうぞ。その人がすべて解決してくれるはずだ」
翌朝。たくさんの中学生が登校路を歩いてます。その中を元気よく声をかけて歩く少女がいます。
「おはよう!
おはよう!」
そう、これは日向隊員です。日向隊員はおはようを連発。けど、登校路を歩く生徒たちはガン無視。ま、ここまでは日向隊員の想定範囲内でした。
けど、道を掃除してるおじいさんにも声をかけましたが、このおじいさんもガン無視したのです。日向隊員はこれはショックでした。
「え~?・・・」
明石悠恐喝事件が露見した翌日、学校のみんなが日向隊員をガン無視しましたが、それでもこのおじいさんはあいさつし返してくれてました。そのおじいさんまで日向隊員を無視したのです。
「こいつは厳しいなあ・・・」
日向隊員は大きくため息をつきました。
モニターの中、日向隊員を無視するおじいさんが大映しになってます。
「おいおい、このじいさん、ずーっとあっちを向いたままじゃねーか? こんなじいさんにはなりたくねーなあ、オレは、絶対!」
これは隊長の声。ここはテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。隊長を中心にテレストリアルガードの隊員全員が巨大なモニターを見てます。
これは今朝のこと、テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。引き分けの自動ドアがすーっと開きました。
卵型のテーブルに座って新聞を読んでた隊長ですが、最初は特に反応してませんでしたが、
「隊長・・・」
の声ではっとしました。振り返ると自動ドアの陰に中学校の制服姿の日向隊員が立ってました。
ちなみに、テレストリアルガード作戦部門の隊員は、このサブオペレーションルームに入るときは、隊員服を着てないといけないというルールがありました。
隊長は立ち上がり、日向隊員に歩き始めました。
「どうした?」
日向隊員はぽつり。
「また嫌な夢、見ちゃいました・・・」
「ん、どんな夢だ?」
「バケツで水をぶっかけられたんですよ。教室の中で。みんなで昨日のストリートコンサートすごかったねっておだてられて、ギター弾いてよっとせがまれて、言われた通りギターを弾いて気持ちよく歌ってたら・・・
後ろからいきなり水をぶっかけられたんですよ。そしたらみんなで大爆笑ですよ・・・」




