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真土灯里はそれには回答せず、元の話を続けました。
「その3ヶ月の間に父が死んだ。けど、父が精魂込めて造った家は完成してるはずだった」
真土灯里の記憶の中、大邸宅の前に茫然と佇む当時の真土灯里と崩れ落ちる彼女の母親。その家の窓ガラスはすべて割られていて、壁には大きな落書きが。すべて真土勝之をバカにし、非難した落書きでした。
それだけではありません。家の中の壁や調度品もすべて破壊されてました。その中には真土勝之がどうしても欲しくて購入した数千万円のシンセサイザーもありました。このシンセサイザー、一度も使われることなく完膚なきまでに破壊されてたのです。
それから十数分後、この邸宅の庭にたくさんのパトカーが集まってきました。これを説明する現在の真土灯里。
「警察はすぐに来てくれた。けど・・・」
真土灯里の記憶。真土邸の屋内では鑑識官が梵天(検出刷毛)を使って指紋採集をおこなってました。しかし、あまりやる気がなさそう。今マスクをはずし、大きなあくびをしました。
「ふぁ~あ!」
それを見て当時の真土灯里は唖然。と、そこに「ちっ!」という舌打ちをする音。はっとして振り向く真土灯里。
「え?」
そこには別の鑑識官が。その鑑識官は気分が悪そう。
「邪魔だよ。あっちに行きな!」
それを唖然とした顔で聞いてる当時の真土灯里。
現在の真土灯里の説明。
「警察の人たちは完全にやる気がなかった。結局誰も逮捕してくれなかった・・・」
明石悠は大疑問。で、
「ひ、ひどい・・・ なんで、なんで警察は捜査してくれなかったの?」
「警察は興味がなかったみたい。誰か1人でも殺されてたらちゃんと捜査してくれたんだと思うけど、死人どころかケガ人もいなかったから・・・
それに警察は、事件の原因は私にあると思ったみたい」
「ええ、なんで?」
「私がテレビに出てスーパーギターキッズと騒がれたから」
「ええ~! そんな理由で!?」
「この日本じゃあねぇ、少しでも目立つことしたら徹底的に叩かれるんだ。それなのに私はテレビに出て父に教えてもらったギターテクを披露してしまった。全部テレビなんかに出た私の責任よ。
私、これ以上世間様からイジメられないようにつつましく生きることにした。八幡このみて名前を使うようになったのはそのため。なのにその名前を棄ててしまった。きっとこれはその罰よ」
その発言をけげんな顔で聞いてる明石悠。真土灯里はその明石悠を見て、
「あなただって肌が黒いて理由だけで、とっても酷い目にあったんでしょ?」
そう、その通り。明石悠は肌が黒いというだけで1億円以上も恐喝された挙句、毎日毎日集団レイプされてました。
日本で平穏に生きていくためには、少しでも目立ってはいけないのです。私は今とても恐ろしい国で生きてる・・・ 明石悠は嘆きました。
さて、3人組を追跡する日向隊員です。3人が乗ってる軽自動車のスピードメーターは100km/hに達してました。なのに徒歩の日向隊員は、同等の速度で追跡してきます。焦るハンドルを握るa。
「くっそー! いったいどーなってんだよ、あいつはーっ!?」
一方全速力で駆けてる日向隊員の脳内は怒りでいっぱい。
「あいつらーっ! せっかく私がいい気分でギターを習ってたのにーっ!」
けど、一抹の不安もありました。
「私の脚はいったい何キロまで出すことができんの?」
実は改造されてる日向隊員の身体は空を飛ぶことに主眼が置かれていて、脚の性能はあまり考りょされてませんでした。だから何キロで走ることができるのか、何時間まで走ることができるのか、さっぱりわからないのです。




