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真土灯里はさらに7フレームから10フレームの間で。9フレームから13フレームの間で。12フレームから15フレームの間でギターを弾きました。
「この5つをやって欲しかったな」
「これがギターのペンタトニックスケール?・・・」
「ほんとうは今からこれを教えるつもりだったんだけど・・・ 日向さんて余弦ミュートて知らないの?」
「え、何それ?」
真土灯里は一度斜め上を見て、すぐに日向隊員を視線を移し、
「余弦ミュートてギターの基本だよ! それを知らないなんて・・・
さっき日向さんが弾いたペンタトニックスケール、日向さんが弾いた通りやってみるね」
真土灯里はさっき日向隊員が奏でた通り、5つの音を爪弾きました。
「今度はエレキギターのギタリストがやってる通りに、弾いてみるね」
真土灯里は今度も同じように5つの音を爪弾いて見ました。まったく同じ音・・・ ではありません。明らかに前の5つの音は変な音が混じってました。日向隊員の耳もそれを捉えたようです。
「何か変な音が混じってたような、最初のギターには?・・・」
真土灯里は自分が持ってたギターのピックアップを指差し、
「エレキギターは弦の振動をこのピックアップていうパーツで電気に変換して拾い上げるんだ。でもねぇ、微妙な音も拾い上げちゃうんだ。
今日向さんは3弦だけしか弾いてないと思ってるかもしれないけど、実は他の弦も振動させてたんだ。共鳴てやつね。それで雑音が出てしまったんだ。3弦以外はミュートしないといけないんだ、雑音を消すには。
あ、ミュートてわかるかなあ?」
「軽く指で弦に触れて、その弦を鳴らさないテクニックですよね?」
「そうそう。3弦だけ鳴らす場合は、それ以外の弦はミュートしないといけないんだ」
「へ~」
日向隊員は感心しきり。
実は日向隊員にギターを教えた寒川隊員は、この余弦ミュートを知ってました。が、アコースティックギターに余弦ミュートは不要と思い、日向隊員には伝えませんでした。だから日向隊員は余弦ミュートを知らなかったのです。
ついでに書くと、アコギでもプロ級のギタリストは余弦ミュートを行います。
「じゃ、まず余弦ミュートのやり方を教えるね」
と言うと、真土灯里は自分が抱えてるギターの3弦5フレットを左手中指で押さえました。
「これは私の場合だけど・・・ 3弦を鳴らす場合は、中指で3弦を押さえたとき、指を立てるんじゃなくって、わざと寝かして、指の腹で2弦に触れておくんだ。薬指は1弦に。人差し指は4弦に。
5弦と6弦は・・・」
真土灯里は自分の右の掌を日向隊員に見せ、左手の人差し指で土手と呼ばれてる部分を指示しました。
「ここでミュートするんだ」
日向隊員はびっくり。
「え、右手で?」
真土灯里はギターの5弦と6弦に右の掌で触れ、
「こうやって5弦と6弦に触れながらギターを弾いてるんだ」
「へ~ ミュートて左手だけでするってわけじゃないんだ?」
「場合によっては4弦もこんな感じでミュートするんだよ。
これでギターを弾くと・・・」
真土灯里はストロークでギター鳴らします。
「こんな感じで、Cの音だけが出るんだ」
これが余弦ミュート・・・ 日向隊員は自分の知識の無さに苦笑するしかありませんでした。
日向隊員はギターを構え、
「私、やってみる!」
日向隊員は真土灯里がやったように左手の指で弦を押さえ、右の掌で5弦と6弦に触れました。
「こんな感じかな?」
真土灯里も同じようにギターを構え、
「そうそう、そんな感じ」
日向隊員はストロークでギターを弾きました。出てきた音はCの音だけ。日向隊員は思わず笑顔。
「あは・・・」




