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真土灯里が応えます。
「レッドスペシャルジュニアモデル。父が買ってくれたんだ。これを買ったとき、父は全然売れてなかったんだけど、私のために大枚はたいて買ってくれたんだ!」
真土灯里は日向隊員が持つギターを見て、
「ほんとうのこと言うと、それ、サスティーンが長すぎるんだ」
明石悠が疑問を持ったようです。
「サスティーン、て?」
「う~ん、なんて言えばいいかなあ? 残響音て言えばいいかな? ビーンて伸びる音。
サスティーンはギター職人によって変わるんだ。真土灯里モデルを作った人には、その長さがちょうどいいと思ってるみたい。
でもね・・・」
真土灯里は自分が持ってるギターを見て、
「私にとって一番サスティーンがあってるギターはこれなんだ。サスティーンだけじゃないよ。すべてのフィーリングがマッチしてるんだ、私には、このギターが! 私にはこのギターがあれば十分なんだ!」
真土灯里が持ってるギターは、彼女の父の忘れ形見。真土灯里はいかに自分の父親をリスペクトしてるのか、日向隊員はこれだけで十分理解することができました。
真土灯里はふと何か思い出しました。
「あ、そうだ!」
真土灯里は机の上のノートパソコンを開きました。
「ちょっと待っててね~」
真土灯里はマウスを操作。インターネットを開きました。
ノートパソコンのディスプレイに動画投稿サイトが表示されました。レコーディングスタジオを映してるようです。1人の男性がエレキギターを構えてます。
「じゃ今から、自分がいつもステージでやってるギターのテクニックをすべてここでお見せします!」
明石悠はそれを見て、思ったことをストレートに言葉にしました。
「この人、あなたのお父さん?」
真土灯里は肯定しました。
「うん!」
ディスプレイの中、真土勝之は約15秒間隔でいろんなギターテクニックを披露していきます。真土灯里。
「父は自分のテクニックをみんなに教えるんだと言ってこの映像を残したんだけど、私には大事な教科書になったんだ」
明石悠は、
「うわ、すごい・・・ 真土さん、これ、全部覚えたの?」
真土灯里は半分苦笑して応えます。
「もちろん!・・・ と言いたいんだけどね、まだできないものもがいくつかあるんだよ・・・」
明石悠。
「へ~ 真土さんのお父さんてすごかったんだね!」
「うん、父が偉大だと大変だよ・・・」
その会話の最中、日向隊員はディスプレイの中のサムズアップとサムズダウンの数を見ました。
真土勝之はありもしない盗作問題でネット民から徹底的に叩かれてました。そのせいかサムズダウンはとんでもない数になってました。が、サムズアップの数はその10倍はありました。
ちゃんと評価してくれる人は正しく評価してくれてる・・・ 日向隊員は感心しました。
映像が終わりました。日向隊員は、
「もう1度見せてよ!」
と懇願。
「いいよ! じっくり見て!」
真土灯里はマウスを操作。映像が再び始まりました。日向隊員は食い入るように凝視します。
映像の中、真土勝之はギターテクニックを次々と披露していきます。それに合わせ映像に文字が出ます。ハンマリング、ブリング、トリル、スライド、チョークアップ、チョークダウン、ビブラート、グリッサンド、ピックスクラッチ、ブリッジミュート・・・
日向隊員はこのへんまではすでに会得している、またはすぐに覚えることができそうなテクニック。けど、途中から難易度が高くなります。
カッティング、ナチュラルハーモニクス、ピッキングハーモニクス、スウィープピッキング、サムピングスラップ、プリングスラップ、ダブルチョーキング、オクターブ奏法、ユニゾンチョーキング・・・




