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ロックの世界ではタッピング(ライトハンド)と言えばヴァンヘイレンの代名詞。こればっかりはしょうがありません。
今度は日向隊員が苦笑いを見せました。
「あれはまだ・・・」
「じゃ、私が教えてあげるよ!」
「え、ほんと!?」
「でも、エレキギターの方がいいんだよね、あれ。日向さん、エレキギター持ってんの?」
「ううん、持ってない・・・」
「じゃ、私のエレキギター、1つあげるよ!」
「え、いいの? エレキギターて高いんでしょ?」
「私の父は日本で一・二を競うギタリストだったんだよ。たくさんあるんだよ、私の家には、エレキギターが。1つくらい無くなったって、どーってことないよ」
ここは住宅街の中。道端に隊長のクルマが駐まってます。今助手席から明石悠が、後部座席から日向隊員と真土灯里が降りました。なお、日向隊員のギターは後部座席に置かれたままです。
運転席に座ってた隊長はドアの窓を開け、そこにある2階建ての住宅を見ました。標準的な住宅と比べると少々立派な住宅です。
隊長はその家に向かう日向隊員に呼びかけました。
「日向!」
日向隊員はその声に気づき、
「はい!」
「迎えに来てやるぞ! 5時くらいでいいか?」
「あは、6時にしてください!」
「ふ、そっか、わかった!」
日向隊員はなるべく長く真土灯里と一緒にいたいようです。隊長は心の中で苦笑しました。
隊長のクルマが走り出しました。
真土灯里の家の門の前で真土灯里と明石悠が日向隊員に呼びかけます。
「日向さーん!」
日向隊員は小走りに。
「あは、ちょっと待ってーっ!」
ここは真土灯里の家の中、玄関。照明がなく欄間もないせいか、真っ暗。今両開きドアの片方が開き、眩い光が差し込んできました。
光の前に立つ3つの人影。真土灯里と日向隊員と明石悠です。先に上がり框に上がった真土灯里は、後ろの2人を見て、
「さあ、中に入って!」
3人は廊下を歩き始めました。
真土灯里はドアの1つを開けました。その部屋にはベッドがあり、机があり、テレビがあり、ふつーの女子の部屋て感じです。が、ベッドの脇にはギター掛けに立て掛けた赤いエレキギターがありました。
真土灯里は振り返り、日向隊員と明石悠を見ました。
「ここが私の部屋!」
日向隊員と明石悠はあたりを見渡しました。壁にはびっしりとポスターが貼られてました。
ポスターの内容ですが、エレキギターを弾いてる男性。別のポスターにはその男性を含む4人組。4人とも派手派手しい身なりからして、ロックバンドのようです。
日向隊員は真土灯里に質問しました。
「この人たちは?・・・」
「クイーン!」
すると明石悠が反応。
「クイーン? この人たち、男じゃん?」
真土灯里は思ってもない返答に思わず苦笑い。
「あは・・・ この人たちはイギリスのロックバンドなんだ。イギリスじゃちょっと前まで女王様が君臨してるから、そういうバンド名にしたんじゃないかな?
このクイーンていうバンドはね、私の父がずーっと憧れていたロックバンドなんだ。
私、生まれた瞬間からこの人たちの曲を聴かされてたんだ。子守歌代わりかな? あは、でも、絶対言えないけどね、子守歌とは、この人たちの曲て!」
真土灯里はディスクを1枚取り出し、それをブルーレイプレイヤーに入れました。
「ちょっと見てよ、映像を!」
映像が始まりました。クイーンのライブの映像です。日向隊員が質問。
「この曲は?」
真土灯里が応えます。
「I Was Born To Love You」
今度は明石悠が質問。
「この人たちの曲?」
「うん!」
明石悠は感嘆。
「へ~ かっこいいなあ、この曲!」




