72
前回のストリートライヴのときは3台のバイクが隊長のクルマを尾行しましたが、今回は歩道に駐車されたバイクまで警察に撤去されてました。
しかしです。1台のドローンが飛び立ちました。人ごみの後方でタブレットを操作してる男がいます。この男がドローンを操作してました。
男はタブレットの画面に触れながら、ニヤニヤしてます。
「ふふ、こいつぁ、20km先まで電波が届く最新のドローンだ。こいつで追って追って追いつめてやるぜ、徹底的に!」
タブレットの画面には隊長のクルマのバックショット。ドローンからの映像です。
疾走する隊長のクルマ。それを追尾するドローン。
歩道の一番車道側、ガードレール沿いにバイクが駐まってます。その側に高身長の女性が立ってます。ライダースーツ、フルフェイスのヘルメット。これは女神隊員です。
女神隊員の眼の前を隊長のクルマが通り過ぎました。その瞬間運転席の隊長は横目で、助手席の明石悠ははっきりと顔を向けて女神隊員を見ました。女神隊員もその明石悠の顔をきっちりと認識ました。そしてつぶやきます。
「私の勘違いかな? あれはどう見ても地球の女の子?・・・」
女神隊員はどこからか光線銃を取り出しました。いつもとは違う光線銃、マイクロウェーブガンです。
女神隊員はマイクロウェーブガンを発射。その光弾がドローンに命中。ドローンは木端微塵に吹き飛びました。
タブレットを操作してる男。その画面が突然砂嵐になりました。
「え? ええ~!? ロスト!?・・・ あれ、ン百万円もしたのに・・・」
男はがっくし。
再び女神隊員。女神隊員は手にしてたマイクロウェーブガンを収納しました。そして隊長のクルマに乗ってた明石悠を思い出し、つぶやきました。
「やっぱ私の気のせいかな?・・・」
クルマの後部座席に座ってた真土灯里は、今の爆発音を聞いてびっくり。心の中で、
「え、な、何が起きてんの?・・・」
とつぶやきました。日向隊員に手を引かれ乗ったクルマですが、考えてみれば彼女とはなんの関係もないクルマです。心配になって当然。
隣りに座ってた日向隊員は、そんなおどおどした真土灯里に気づきました。で、声をかけてみることにしました。
「真土さん、見て!」
日向隊員はギターケースを開け、中に入ってたギターを手にしました。それはスティール弦のギター(フォークギター)。真土灯里はそれを見て、
「フォークギター? へ~ 買ったんだ?」
「これ、私にギターを教えてくれた人に買ってもらったんだ」
「へ~」
「この前使ってたガット弦ギターも同じ人に買ってもらったんだ。本当はこっちのギターを先に買ってもらったんだけど、ピック使うの嫌だと私が言ったら、すぐにガット弦ギターを買ってくれたんだ」
「へ~」
真土灯里は、
「甘いな~ その人。お父さんかな?」
と思いました。けど、すぐに話題を変えることに。
「どこまで弾けるの、それ?」
「え?・・・」
「ハンマリングとか?」
「あは、それなら・・・」
日向隊員はギターを構えると、左手の指で弦を弾き、ピンピンと音を鳴らしました。真土灯里は薄っすらと笑い、
「じゃ、プリングは?」
「あは、それも簡単!」
日向隊員は再び左手の指でポンポンと弦を弾きました。それを聞いた真土灯里は、
「へ~ そこまでできるんだ。じゃ、タッピングは?」
「え~・・・ タッピングてヴァンヘイレンがよくやってるやつですよね?」
それを聞いて真土灯里は心の中で苦笑い。
「あは・・・」
どうやら別のギタリストの名前を出して欲しかったようです。




