表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/226

55

「じゃ、行くよ!」

 医師が少女の身体の切断面に日向隊員の首を押し当てます。まず1時30分の方向に首を置き、左に45度回転。カチッ! 首が据わりました。

 この一連の動作を見守ってた隊長が、医師に質問。

「これで終わりですか?」

「いや、包帯を直したいので、もう少し待ってもらえますか?」

「わかりました」

 医師は近くにいた女性看護師を見て、

「おい!」

「はい!」

 看護師は日向隊員の頭部の包帯に手をかけました。と、日向隊員は口を開きました。

「あ・・・ なんか気分が悪いなあ・・・」

 隊長が反応します。

「ん、どうした? 金属バットで殴られたときの話をしてんのか?」

「それもありますけど・・・」

 日向隊員は自分から逃げる明石悠を思い浮かべ、

「逃げたんですよ。あの女。あのとき!」

「あの女って、明石悠のことか?」

「はい。私の首がアスファルトに落ちたとき、全速力で逃げ出したんですよ!」

「それでどうしたんだ、お前?」

「頭にきましたよ! 慌てて追いかけました!」

「首のない状態で追いかけたのか?」

「あは、まさかあ! 拾い上げましたよ、首は。眼がないと追えませんから」

「首を抱えたまま追い駆けたのか?」

「はい」

「そりゃ、全力で逃げんだろ、ふつー」

「ええ~!?」

「お前なあ、首のはずれた女がその首を持って追い駆けてきたら、誰だって逃げ出すぞ! 少しは想像力を働かせろよ!」

「け、けど、私、守ったんですよ、彼女を! 一生懸命・・・」

「それとこれとは話は別だろって。ま、さっき彼女を家まで送り届けたが、そんな話は一切出て来なかったな。あんまり気にしてないようだな、彼女」

 看護師は包帯を巻く手を止めました。

「ちょっと待っててください」

 看護師はどこかに行ってしまいました。日向隊員は気になったのか、両手で自分の頭に触れました。そして気づきました。なんと自分の頭は包帯でグルグル巻きになってたのです。日向隊員はびっくり。

「ええ~? 何、これ?」

 看護師がネット状の包帯を持ってきました。日向隊員はその看護師に質問します。

「こんなにグルグル巻きにしないといけないんですか?」

 医師が代わりに応えました。

「君は頭から大出血したんだ。2~3日はじっとしてないといけないよ」

 日向隊員はその言葉に納得してないようです。

「ええ~・・・」


 既にあたりは真っ暗になってます。ここは病院の駐車場。今1台のクルマが走り出しました。隊長が私用に使ってるクルマです。クルマが街道を走り始めました。

 その車内、運転席には隊長、助手席には私服に着替えた日向隊員が座ってます。日向隊員が口を開きました。

「隊長、明日だけど・・・」

 隊長はハンドルを握りながら、横目で日向隊員を見て、

「明日は寝てろよ、一日中」

 日向隊員は露骨に嫌な顔を見せました。

「え~・・・」

「ふ、どうした? 不満そうだなあ、おい」

「今日ライヴで3曲リクエストもらったんです。あれだけは歌わないと、明日・・・」

 しかしです。日向隊員は今日頭部にかなりひどいケガを負いました。常識的に隊長は許可をくれるはずがありません。日向隊員も重々承知してます。けど・・・

「まあ、しょうがねぇーなー。明日はその3曲だけにしとけよ」

 なんと隊長は許可をくれました。物わかりのいい隊長です。日向隊員は途端に笑顔に。

「あは、ありがとうございます!

 ところで、私の首を飛ばしたやつら、どうなりました?」

「あの3人組か? 逮捕したよ、公安7課が。いや、身柄を確保したと言った方が正解かな? けど、すぐに解き放ったらしい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ