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「じゃ、行くよ!」
医師が少女の身体の切断面に日向隊員の首を押し当てます。まず1時30分の方向に首を置き、左に45度回転。カチッ! 首が据わりました。
この一連の動作を見守ってた隊長が、医師に質問。
「これで終わりですか?」
「いや、包帯を直したいので、もう少し待ってもらえますか?」
「わかりました」
医師は近くにいた女性看護師を見て、
「おい!」
「はい!」
看護師は日向隊員の頭部の包帯に手をかけました。と、日向隊員は口を開きました。
「あ・・・ なんか気分が悪いなあ・・・」
隊長が反応します。
「ん、どうした? 金属バットで殴られたときの話をしてんのか?」
「それもありますけど・・・」
日向隊員は自分から逃げる明石悠を思い浮かべ、
「逃げたんですよ。あの女。あのとき!」
「あの女って、明石悠のことか?」
「はい。私の首がアスファルトに落ちたとき、全速力で逃げ出したんですよ!」
「それでどうしたんだ、お前?」
「頭にきましたよ! 慌てて追いかけました!」
「首のない状態で追いかけたのか?」
「あは、まさかあ! 拾い上げましたよ、首は。眼がないと追えませんから」
「首を抱えたまま追い駆けたのか?」
「はい」
「そりゃ、全力で逃げんだろ、ふつー」
「ええ~!?」
「お前なあ、首のはずれた女がその首を持って追い駆けてきたら、誰だって逃げ出すぞ! 少しは想像力を働かせろよ!」
「け、けど、私、守ったんですよ、彼女を! 一生懸命・・・」
「それとこれとは話は別だろって。ま、さっき彼女を家まで送り届けたが、そんな話は一切出て来なかったな。あんまり気にしてないようだな、彼女」
看護師は包帯を巻く手を止めました。
「ちょっと待っててください」
看護師はどこかに行ってしまいました。日向隊員は気になったのか、両手で自分の頭に触れました。そして気づきました。なんと自分の頭は包帯でグルグル巻きになってたのです。日向隊員はびっくり。
「ええ~? 何、これ?」
看護師がネット状の包帯を持ってきました。日向隊員はその看護師に質問します。
「こんなにグルグル巻きにしないといけないんですか?」
医師が代わりに応えました。
「君は頭から大出血したんだ。2~3日はじっとしてないといけないよ」
日向隊員はその言葉に納得してないようです。
「ええ~・・・」
既にあたりは真っ暗になってます。ここは病院の駐車場。今1台のクルマが走り出しました。隊長が私用に使ってるクルマです。クルマが街道を走り始めました。
その車内、運転席には隊長、助手席には私服に着替えた日向隊員が座ってます。日向隊員が口を開きました。
「隊長、明日だけど・・・」
隊長はハンドルを握りながら、横目で日向隊員を見て、
「明日は寝てろよ、一日中」
日向隊員は露骨に嫌な顔を見せました。
「え~・・・」
「ふ、どうした? 不満そうだなあ、おい」
「今日ライヴで3曲リクエストもらったんです。あれだけは歌わないと、明日・・・」
しかしです。日向隊員は今日頭部にかなりひどいケガを負いました。常識的に隊長は許可をくれるはずがありません。日向隊員も重々承知してます。けど・・・
「まあ、しょうがねぇーなー。明日はその3曲だけにしとけよ」
なんと隊長は許可をくれました。物わかりのいい隊長です。日向隊員は途端に笑顔に。
「あは、ありがとうございます!
ところで、私の首を飛ばしたやつら、どうなりました?」
「あの3人組か? 逮捕したよ、公安7課が。いや、身柄を確保したと言った方が正解かな? けど、すぐに解き放ったらしい」




