54
バスの座席で揺られている3人は、狐につままれたような顔つき。と、窓の外に日向隊員の家とされている住宅が見えてきました。が、3人はその建物にまったく興味を示しません。
バスはそのまま素通りしていきました。
陽は傾いてきました。ここはいつもの総合病院。駐車場に隊長が私用に使ってるクルマが駐車しました。運転席のドアが開き、私服の隊長が降りました。
自動ドアが開き、隊長が入ってきました。ここは病院の受付。夕方のせいかあまり人はいませんが、それでもある程度の人影があります。隊長はその中を通り、エレベーターの扉の前へ。いや、ここは通り過ぎました。
そのまま奥へと歩き続ける隊長。いつの間にか廊下から人気が消えました。隊長は次のエレベーターの扉の前に立ちました。そしてボタンに触れました。
エレベーターの扉が開きました。隊長は乗り込みます。
エレベーターの中、隊長がB1と2のボタンを同時に押しました。ちなみに、ボタンはB1・1・2・3・4と5つあります。ボタンの上にはデジタルの表示板があります。その表示板の表示がB2になりました。そう、ボタンにはない階です。
扉が閉まり、エレベーターが降下し始めました。
エレベーターの扉が開きました。ここは地下2階の廊下。エレベーターを降りた隊長は、再び歩き始めます。廊下にはいかにも病院と言った感じの機材が無造作に置いてありますが、人影はまったくありません。
隊長は重たそうな扉の前に立ち、ハンドル型のドアノブを握り、捻りました。
ドアが開き、隊長が入ってきました。この室内の3方は壁。1方はガラス窓になってます。窓の向こうにはCTスキャンがあります。
隊長が入った部屋は、このCTスキャンのモニター室でした。ガラス窓の下にはいくつものモニター機器が並んでました。
隊長がこの部屋にいる3人を横目で見ました。3人は白衣を着てるところを見ると、医師のようです。その中の隊長から見てもっとも遠くにいる人物の顔色は、著しく青ざめてました。
隊長がCTスキャンを見ると、日向隊員の頭部がありました。そう、首から上だけ。左側側頭部の巨大なガーゼが痛々しく見えます。隊長は横目で青ざめてる意志を見て思いました。
「おいおい、あれを見たくらいで気分を害したのかぁ、こいつ? オレはふわふわ空中を移動してるあいつの生首を何度も何度も見せられてるんだぞ」
日向隊員は瞬き、そして瞳を動かします。これがモニター機器のディスプレイに映りました。その瞬間、ぐふぉ! その医師はついに両手で口を押さえ、慌ててドアを開け、部屋を出て行きました。隊長はそれを横目で見て、
「あいつ、絶対向いてないな、医者には。だめだ」
隊長は一番近くにいた医師に質問しました。
「彼女、どんな調子ですか?」
「脳波に異常はありませんでした。今は頭蓋骨の骨折を診てますが、まあ、たぶん問題はないと思います」
「う~ん、出血は? 私が駆け付けたとき、かなり出血してましたが?」
「頭部には血管が集中してますからねぇ。擦過傷を負ったとき、動脈を損傷したようです。けど、安心してください。もう血は完全に止まってます」
隊長は笑顔を見せ、
「ふふ、そっか」
部屋が変わってここは処置室。背もたれのあるイスに検査着姿の少女の身体が座ってます。日向隊員の身体です。頭部はありません。
今彼女の身体の後ろに1人の医師がいます。医師は両手で日向隊員の首を持ってます。頭には包帯が巻かれてます。眼はぱっちりと開いてます。




