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木陰から3人の筋肉質な男が飛び出しました。3人とも女性と同じサングラスをかけてます。服装も黒いスーツ。3人はそれぞれ啓一たち3人の両脇の下に両腕を差し込み、その身体を引きずり始めました。
3人はそのままワンバックス車へ。いつの間にかワンボックス車の観音開きのデュアルバックドアが開いてました。
ワンボックス車の運転席。今助手席ドアが開き、サングラスの女が乗り込んできました。運転席に座ってた男がその女を横目で見て、
「お疲れさん!」
この男もサングラスをかけてました。
ワンボックス車のデュアルバックドアがバタンと閉まりました。と同時にワンボックス車が急発進。
再び運転席。ハンドルを握ってる男が助手席の女を見て、
「しかし、珍しいですねぇ。自ら志願してこの作戦に参加するなんて、あなたが」
女はサングラスをはずしながら、
「ふふ、この世に2人しかいないメガヒューマノイドたからね、あの娘と私は」
その顔はかつてテレストリアルガード作戦部門に所属していた黒部すみれでした。
ここはどこなのでしょう? 真っ白い空間。その中にベンチが1つあります。今そこに啓一とモヒカンの男とリーゼントの男が座ってます。3人とも眠ってるようです。かなりみっともない寝相。
3人の前に1つの人影があります。男性か女性かさえわからないほどの不鮮明な影ですが、声からして男性のようです。
「いいですか? あなたたち3人はこれからクラクションを聞きます。それを合図にあなたたちは目覚めます。
何があったのか、あなたたちは何一つ覚えてません。むりに思い出そうとすれば、あなたたちはひどい災難に見舞われます。
まもなくクラクションが鳴ります」
果てしなく延びるフェンス。フェンスの向こうは広大な滑走路。そう、テレストリアルガード基地。フェンスの手前は街道。今ここを1台のクルマが走ってます。運転手は私服の隊長。隊長以外人は乗ってません。
フロントガラスの向こうにバス停が見えてきました。
「む、あれだな」
バス停のベンチに3人が座ってます。啓一、モヒカンの男、リーゼントの男です。3人は真っ白い空間の中にいたときとまったく同じ姿勢で眠ってます。
隊長のクルマは徐行。そして・・・
ビー! けたたましいクラクション。3人ははっとして目覚めました。
「ひーっ!・・・」
走り去る隊長のクルマ。ハンドルを握ってる隊長は、ルームミラーで背後を確認します。
「ふ、起きたか?
しかし、公安7課は甘いなあ。オレだったら即刻処分しちまうんだけどな、3人とも。いつもは人権無視の公安7課がこんなところで遵法精神なんて・・・
あの3人を生かしておくと、あとあと面倒なことになるような気がしてならないんだが・・・」
ベンチで目覚めた3人はあたりをキョロキョロ。啓一。
「な、なんだよ、ここは?」
リーゼントの男は立ち上がり、テレストリアルガード基地を見ました。
「テレストリアルガードの基地? なんでオレたち、こんなとこにいるんだ?」
モヒカンの男は頭を抱え、
「何があったんだか、ぜんぜん思い出せない・・・」
と、突然3人の前に巨大な影が現れました。3人は怯えます。
「ひっ!?・・・」
それはたった今眼の前に停車した路線バスでした。啓一はそれを見て、
「バ、バス?・・・」
啓一はバス停の標識に気づきました。
「ここはバス停なのか?・・・」
バスは扉を開けます。リーゼントの男は啓一を見て、
「ぼっちゃん、どうします?」
「あ? ああ・・・ 乗るか?」
3人はバスに乗り込みました。




