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 日向隊員はギターを弾きながら熱唱してる明石悠を横目で見てます。

「ふふ、一生懸命に歌ってる、歌ってる。こんなところで歌わしたら萎縮するんじゃないかと思ってたけど、そんなことはなかったみたい」

 いや、明石悠はほんとうはこんなところでは歌いたくありませんでした。けど、明石悠にとって日向隊員は唯一の頼り。だから日向隊員の提案には絶対逆らえないのです。

 それにしても明石悠の熱唱は半端ありませんでした。嫌なことばかりだった中学校の校門の前で歌う。それにはこれくらいの集中力が必要なんですね。

「けどなあ・・・」

 日向隊員は通りの向こうをふと見ました。

 今日向隊員たちが歌ってる場所は歩道です。その前には片側1車線、計2車線の車道があり、さらにその向こうには同じ幅の歩道があります。

 現在この歩道には1台の250ccクラスのバイクが駐まってます。そのバイクの側に1人の高身長の女性が立ってます。彼女はそのバイクのライダーのようで、フルフェイスのヘルメットにライダースーツをまとってます。実はこの女性は女神隊員でした。

 女神隊員の背後には大きなコインパーキングがあり、何台かクルマが駐まってます。その中に運転席に人が乗ったままのクルマがあります。その人は私服の隊長でした。隊長も日向隊員と明石悠を見守ってたのです。

 なお、クルマは隊長の私物。テレストリアルガードのカラーリングは施されてません。

 日向隊員はギターを弾きながら苦笑いしました。

「もう、テレストリアルガード作戦部門総出で私たちを警護するなんて・・・ もし、こんなときに宇宙人が襲ってきたらどうするんだろ?」

 一方、女神隊員は明石悠を見てます。ふとつぶやきました。

「褐色の肌の女の・・・ ふふ、まさかねぇ?・・・」

 女神隊員は何か心当たりがあるようです。


 さて、先ほど娘Aと娘Bが曲がった交差点にはX字型の歩道橋があります。今この上にフードを目深に被った男がいます。よーく見るとその顔はあざだらけ。そう、この男は啓一なのです。

 啓一は遠目で日向隊員と明石悠をにらんでます。何か考えてるようです。そこに、

「あなた、もしかして、ぼっちゃん・・・」

 の声が。啓一がはっとして横目で見ると、モヒカンの男とリーゼントの男が立ってました。

「なんだ、お前たちか・・・」

 モヒカンの男は質問します。

「ど、どこに行ってたんですか、今まで?・・・」

 リーゼントの男も、

「心配してたんですよ」

 啓一はぶっきらぼうに応えました。

「ふ、どうでもいいだろ!」

 啓一は再び日向隊員をにらんで、つぶやきました。

「あの女を殺すには、どうすればいいんだ?・・・」

 啓一の眼は明石悠に止まりました。

「そうだ、あの女を利用すれば?・・・」


 車中の隊長は、突然はっとしました。歩道橋の上の3人組に気づいたのです。ま、こんなところにモヒカンとリーゼントがあったら、当然不審に思いますよね。

 隊長はスマホを手にし、

「女神隊員、歩道橋の上を見てくれ!」

 女神隊員のヘルメットにはヘッドセットが仕込んであり、それが隊長の音声を捉えました。ちなみに、これは電話ではなく、専用ソフトです。

 女神隊員は歩道橋の上を見上げました。そして3人組の姿を確認しました。

「はい、確認しました」

 車中の隊長は再びスマホに、

「怪しさ全開なやつらだな。ちょっとさぐりを入れてくれないか?」

「了解!」

 女神隊員はバイクに飛び乗ると、エンジンをかけ、片足をアスファルトに置き、それを軸にスピンターン。そのまま歩道を走り出しました。隊長はびっくり。

「ええ?・・・」

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