32
女が号令を発しました。
「じゃ、みんな、行くよーっ!」
それに反応する不良は少数。
「おー・・・」
「おいおい、なんだよなんだよ、このしおれた声は!? もっと大きな声を出せよーっ!」
すると不良たちは一斉に強く反応。
「おーっ!」
誰かが柱についてるボタンを押しました。すると3つ並んでる電動シャッターが同時にゆっくりと開き始めました。開くシャッターを見つめる女と不良たち。外の陽光が建物の中に入ってきました。
シャッターが3割くらい開いたところで不良たちは、外で異変が起きてることに気づきました。
「うっ?・・・」
さらにシャッターが開くと、複数の脚が見えてきました。先ほどの機動隊員たちが外で待ち構えていたのです。焦る不良たち。
「な、なんだよ、こりゃあ!?・・・」
一方、機動隊員たちの先頭にいる四之宮警部とその隣にいる機動隊員の隊長格の男性も、一瞬で焦り顔となりました。
「うう・・・」
なんと(元)町工場の中にいた不良たちは100人近くもいたのです。機動隊員は40人くらいしかいません。これは明らかに不良の方が数的有利。リーダー格の女も瞬時にそれを感じ取りました。女はニヤッと笑って、
「待ち伏せかよ。ふふ、おもしろいじゃんか。返り討ちにしてやる!」
そして号令。
「みんな、やっちまいなーっ!」
不良たちは一斉に応えます。
「おーっ!」
不良たちは持っていた金属バットや単館パイプを振り上げ、機動隊員に向かって突っ込んで行きました。不良たちの雄叫びが響き渡ります。
「うぉーっ!」
思いっきりびびる四之宮警部。
「うう・・・」
背後の機動隊員たちも焦り顔。
不良たちは一斉に金属バットや単館パイプを振り下ろします。それを透明な盾で受け止める機動隊員たち。バキーン!
あちらこちらで大乱闘。隊長格の男性も透明な盾で金属バットを受け止めます。歯を喰いしばる隊長格の男性。
「くそーっ!」
その男性の肩口を別の金属バットが襲います。男性の身体に衝撃が走ります。
「ぐはっ!・・・」
それを見てリーダー格の女の息子が歓喜。けしかけるように声を発します。
「やれーっ! やっちまえーっ!」
今度はリーダー格の女が号令。
「よーし、みんな、引き上げるぞーっ!」
不良たちは蜘蛛の子を散らすように駆け出しました。残されたのは、うずくまってる機動隊員たち。それを物陰から見ている四之宮警部は唖然。
「ああ・・・」
雑木林の中の径を歩く日向隊員。日向隊員は横目で背後を見ました。そこには少し離れて歩く明石悠の姿が。日向隊員は安心顔。
「ふふ、ついてきてる、ついてきてる・・・」
一方、明石悠はちょっとビクビクしてます。
「日向さん、どこに行く気なの? これって、あそこに行く径だよね?・・・」
径が緩くカーブ。そのカーブが終わると、この径の突き当たりが見えてきました。そこは街道。その向こうは金網のフェンス。さらにその向こうは広大な土地。そう、テレストリアルガード基地の滑走路です。
明石悠は基地の中を見て、思いました。
「テレストリアルガードの基地・・・ やっぱこの人?・・・」
明石悠は今度は声を発し、日向隊員に質問しました。
「日向さんて、ここで働いてるんでしょ?」
日向隊員ははっとして思いました。
「ええ? な、なんでそんなこと知ってんの!?」
日向隊員は明石悠の父親を思い浮かべました。
「あの人が言ったんだな、きっと・・・ まったくもう、自分の秘密は一切しゃべんないクセに・・・」
日向隊員は明石悠を見て、
「あなたのお父さんもここで働いてるんでしょ?」
その質問に明石悠は別の質問で応えました。
「日向さんて、メガヒューマノイドでもあるんだよね?」




