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ほとんどの生徒が怒りの声をあげてます。
「離せよ、こんにゃろー!」
「なんだよーっ! 生徒会や先生がやっていいって言うからやっただけのことじゃねーかよ!」
これを中学校の校庭と道路との間に設置されたフェンス越しに捉えてるマスコミのカメラたち。その中には明らかにマスコミではないカメラマンの姿もあります。彼らはユーチューバーでした。
その中の2人。1人はカメラを、もう1人は小銃のような器具を構えてます。超指向性マイクです。
マイクを持ってる男はぶ厚いヘッドホンをしてるのですが、そのヘッドホンから蝶指向性マイクが拾った音声が漏れてきました。
「逮捕すんなら、まず生徒会からだろーよーっ!」
かなりちらかっただらしのない部屋。中年の男性がインターネットをしています。小太り、メガネ、アニメキャラが描かれたトレーナー。典型的なヲタクのようです。
ディスプレイには動画投稿サイト。先ほどのユーチューバーが捉えた影像が映ってます。その音声。
「逮捕すんなら、まず生徒会からだろーよーっ!」
どうやらさきほどのユーチューバーは、生配信を行ってるようです。
この影像を見ている男はぽつり。
「おいおいおい、事件の中心は生徒会かよ・・・」
どうやら事件の首謀者は生徒会と思われてしまったようです。ま、ある意味正解なのですが。
この映像を見てる人物は、この男だけではありません。電車で移動中の女性が見てるスマホにも、ハンバーガーショップでハンバーガーに喰いついてるフリーターのスマホにも、この映像が映ってました。この映像はあちらこちらで見られてるのです。
彼らはこう思いました。
「ひどい中学校ねぇ、ここ」
「中学生なのにいきなり逮捕? こいつはすげぇ~な~!」
こうしてこの事件の異様性は、あっという間に日本中に広がりました。
さて、教室ではそれ以外の生徒たちが、警察によって閉じ込められてました。ここはそんな教室の1つ。教室に閉じ込められた生徒たちは、不満でいっぱいでした。
「オレたちゃ、何もしてないだろ・・・」
「いつまで待たせる気なんだよ、いったい・・・」
突然引き戸がガラッと開き、1人の男子生徒と1人の制服警官が姿を現しました。男子生徒の顔は青ざめてます。そのまま歩いて自分の席に向かいました。それを見た男子生徒たちはざわついてます。
「おい、あいつの顔、真っ青じゃないか?」
「ああ・・・」
「いったい何を訊かれたんだよ、あいつ?・・・」
男子生徒は自分の席に到着すると、カバンを持ち、再び引き戸へと歩き始めました。そして警官の横に来ると、振り向き、クラス中のみんなに謝罪。
「みんな、ごめん・・・」
それを聞いてみんなびっくり、唖然。
「お、おい・・・」
男子生徒は開かれたままの引き戸から廊下に出て行きました。帰宅です。警官は教室を見渡し、
「じゃ、次、出席番号2番の方!」
すると1人の少女が立ち上がりました。
「はい・・・」
警官はその少女を見て、
「こっちに来て!」
少女は警官へと歩きます。と、1人の男子生徒が立ち上がり、警官に、
「あの~ すみません。ほんとうにこれ、みんなにするつもりなんですか!?」
別の男子生徒は座ったままで、
「自分たちは何もしてませんよ、絶対!」
警官は応えます。
「君たちが何をやったのか? それとも何もしてないのか? それは我々警察が判断します!」
別の女子生徒。
「私たちは何もやってないんですよ、ほんとうです! いつまで付き合わなくっちゃいけないんですか、こんなことに!?」
大半の生徒がそれに呼応します。
「そうだそうだ! オレたちゃ、な~んの関係もないんだ!」




