第21話
私は衰弱した侍改め、武智宗英さんを連れて村へと戻ってきた。
武智さんを松風に乗せているので山からの帰りは徒歩だったため、行きとは違い時間が掛かりはしたが、それでも日が沈み始める前には帰ってこれた。
タケル君に出会ったのが朝方のため、実は半日も経ってはいなかったのだが、私自身もそれしか時間が経ってなった事に驚いてしまった。あの濃い出来事に、体感時間は狂ってしまっていたのだろうか。
因みに山から降りる際にあの瘴気にて異形ゾンビ化していた亡骸は、獣に荒らされないように浅く埋葬してきた。本当はちゃんと埋葬してあげたかったけど、村の人に身元を確認してもらわなきゃいけないしね。
村に戻ると、武智さんをタケル君と瘴気にやられなかった若夫婦に任せて私は村長に事の次第を報告しに行った。
「────と言うわけで、それが山であった出来事になります」
「そうですか・・・。法術士、この度は誠にありがとうございました」
深々と私に頭を下げる村長。
私は村長の言葉を受け取ると、武智さんの様子を見に行くと言って村長宅を後にした。
武智さんの下に向かう途中、私は騒動でゆっくりと自分の道具欄を調べられなかった事を思い出し、足を止めると手頃な岩に腰掛けた。
目を閉じてメニュー画面を頭の中に思い浮かべる。瞼に覆った瞳の中に浮かび上がったメニュー画面から道具欄を選択する。
──と、同時に頭の中に無数に浮かび上がる文字の羅列。
あまりの文字の多さに頭が痛くなり、吐き気も出てきそうになった。
「うう・・・、不意討ちだ、こんな文字の量は想定外だ・・・」
例えるなら、自分を中心に360°モニターいっぱいに細かな文字が並んでいるようなものだ。頭がパンクしてしまう。
もう少し意識を集中させて、表示される文字を絞っていく。
「・・・・よし」
今度は成功した。
例えるならパソコンの画面に文字を大きくして表示した感じだ。
文字を大きくした分全部を見るのに時間がかかるけど、その分見やすくはなった。
道具欄を一通り見ていくと、ゲーム時に持っていた道具が全部入っていたが、驚いたのは回復系や食材系等の消費系が一部を除いて999個いっぱいになっていた事だ。食材なんかゲーム内にある全種類も手に入ってた。
因みに除かれた一部には、ゲームでよくあるエリクサーと同じ効果の、オオカムヅミと言う神話の桃等があげられる。
ガイドさんに確認してみると、『それも天照様のサービスです』と返事が帰って来た。
まあせっかく貰ったのだからと私は道具を見ていると、あることを思い付いて早速行動を開始したのだった。
次回は4日後に投稿します。




