第20話
光の柱が消えた後には鬼の姿は存在しておらず、私はホッと安堵して体の力が抜けて地面へとへたり込んだ。
辺りに漂う瘴気も消えた事で、今回の呪いの根源自体も解決できたみたいだ。
チラリとタケル君を見ると、彼も地面に尻餅を着いたまま安堵しているようだった。
「終わった・・・。鬼も浄化出来たようだし、呪いの事は全部終わったよ・・・」
「・・・は、はい」
私は杖を支えに立ち上がると、タケル君の下へと向かい彼に手を差し出した。
彼は頬を赤らめながらも私の手をとって立ち上がると、ペコリと頭を下げてきた。
「法術士様、この度は村の皆の為にありがとうございました」
肩を震わせて鼻を啜る音が聞こえた。私はそんな彼の左肩に手を置き、「こちらこそありがとう。君の勇気に私も助かったよ。」とお礼を言うと、彼は顔を上げて涙目で私を見上げ、「はいっ!」と良い笑顔で笑ってくれた。
彼の笑顔に私も自然と笑顔になる。だが彼に伝えなきゃいけないこともあり、チクリと自分の心も痛むのだった。
「法術士様、あの人は・・・」
「え?」
いざ伝えようとしたとき、タケル君はある方向を指差して私に尋ねたので、振り返ってみるとその視線の先にはあの取り憑かれていた侍だった。
私は急いで倒れている侍の下に向かい、息を確認した。
幸い侍は息をしており生存を確認できたが、見た感じ大分痩せ細っており、呼吸も弱々しく顔色が悪いため衰弱しているように見えた。唇や肌も乾燥しており、看護士から教わった親指の脱水症状の確認もしてみると、重度の脱水も確認された。
私は応急措置として、彼に怪我や体力を回復させる【治癒】と、念のため【解毒】と【解呪】の術も掛けておく。
これで体力の回復は出来たが、痩せた体と脱水の症状は治すことは出来ない。
「う・・・うぅ・・・・」
「気がついた! 私の声が聞こえますか?」
「あ・・・俺は・・・たしか・・・」
「今は喋らずに。体が衰弱しています」
私は彼に村で借りた水筒の水を飲ませると、式神の松風を召喚して彼を乗せた。
「さあ、村に行きましょう」
「・・・・・美しい」
「ん? 何か言いました?」
「いや・・・なんでもない」
松風の力強い足は、山道もなんのそのな感じで進んでいった。
背中に侍を乗せているため速く進むことは出来なかったが、瘴気の消えたのどかな道をゆっくりと進むのは気持ちがよかった。
次回は4日後に投稿します。




