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第13話

第10話で馬を巻物に戻す部分を入れ忘れていたため、付け加えました。

 山の中腹の拓けた場所、そこで私は明らかに異常な侍と、異形の怪物へと変化している屍四体に囲まれていた。

 屍の方はここに来る途中であったように、私を襲う様子は一向に見られない。私と一定の距離を保ちながらまるで命令を待っているような感じた。

 侍の方も目が血走り正気ではない。しかもよく見ると体全体から異様な気が出ている。


「あれは見るからに乗っ取られているか・・・。ならば先ずは回りから・・・」


 このまま動かなくてもカウンターに徹すれば負けることはない。だが自分が抱いた恐怖心や弱気を払拭しなければならない。

 日本と言う日常的な死とはかけ離れた場所で暮らしていた私は、自分の中の恐怖心に勝たなければいけない。

 私は自ら戦う事を選んだ。


 先手必勝とばかりに杖からの光球弾の発射を念じると、杖の先からバレーボール程の弾が勢いよく発射された。

 しかし弾を撃ったのは今が初めてであり、慣れていなかったことから狙いを誤ってしまい、怪物の手前の地面に当たってしまったのだ。

 爆風によって怪物は吹き飛ばされるも、倒れる様子は見られなかった。

 取り憑かれたであろう侍は指揮をするように私に向けて刀を振ると、回りの怪物達が一斉に向かってきたのだ。


「やばっ! 天女の羽衣!」


 私は天照の衣の効果にある天女の羽衣を発動させると、羽衣は背中の方に光と共に現れた。

 正に天女の羽衣と言えるように重力を無視して浮かんでおり、羽衣を纏ったときにキャーイクサーンをやれそうと一瞬思ってしまった。

 法術も光球弾も念じることで発動できたので、羽衣も同じと思い飛べと念じてみる。


「──うわっ!?」


 怪物の爪が私に届く寸前に、私は上に勢いよく引っ張られるように飛び立った。いやまずは垂直に浮いたと言うべきか。

 やはり思った通り念じること正解みたいだ。

 だが長時間飛ぶことは出来ないから急がなければ。運営は説明には載せなかったが、短時間のたしか飛行出来ず、飛行後は自動で地面に降り、10分間は使用不可能になるという短所があるのだ。


 地面からおよそ大人二人分位の高さに浮いただろうか、自分の足の下に四体の怪物が集まって私に向かって手を伸ばしていた。

 私は好機と感じ、間髪入れずに光球弾の発射を念じた。

 先程と同じ様に杖の先に光が集まると、四体纏まっている怪物達へと向けて発射をした。


 ──と同時に、自分は後ろに動く様に念じておく。

 発射された光球弾が怪物達へと命中し光と衝撃を放った瞬間、私はそれに巻き込まれないように先程の位置から後ろに下がっていた。

 衝撃による砂埃が舞っていたが、砂埃が晴れたときにはそこに怪物の姿はなく基となった屍のみだった。


「さて、次はあなただ!」


 私の中で興奮と恐怖心が入り交じる。

 このまま勢いで行くしかないと、私は侍へと杖を向けた。

 殺さず気絶させるように“弱く、弱く”と心の中に念じた。先程より小さい弾が出来上がると、私は直ぐ様侍へ向けた発射した。


 光球弾が侍へと迫る。速さとしては野球の豪速球程だろうか。

 ふらふらとしながら突っ立っているだけの侍になら簡単に当たる、とその時私は思っていた。

 しかし、侍はニヤリと不気味に笑ったのだ。


 そして、光球弾が当たる直前にその場から消えていた。

 いや、跳躍したと言えばいいだろうか。

 いくら距離があるとはいえ、あそこまで綺麗に避けられてしまうと驚きだった。

 しかも飛行時間が終わってしまい、私は地面に降り立ってしまった。


 侍は地面に着地すると、ギロリと私を睨み付けた。

 ゆっくりとした動きで刀を上段に構えると、少し前屈みになり走り出す前のように足に力を入れる動作が見えた。

 次の瞬間、侍の足下の土が舞い上がり、人では到底出せない走りで開いていた距離を一瞬で詰められてしまった。

 目の前に現れた侍は、振り上げていた刀を私の頭目掛けて振り下ろしてきた。




 ──ガキンッ!



 ・・・と音が響いた。

 振り下ろされた刀を、私はどうにか杖で受け止めることが出来たのだ。

 距離を詰められて目の前に現れたときは、私は体を動かすなど反応が出来なかった。

 しかし、目の前に現れてからから刀を振り下ろすまでは力を溜める動作があり、僅かな間が出来た。

 振り下ろされた刀に対し、私は反射的に杖で受け止めることが出来たのだ。


 侍の目が驚きで開く。眉間にしわを寄せ、私を睨み付けていた。


 反対に私は不適に笑い返した。

 このまま舐められたままでわ終わらせはしない。しっかりと浄化してやろうじゃないか!


次回は四日後、11/29(火)に投稿します。

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