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17/19

17:再会

 ショックは大きかった。

 応接室で、両親と兄さんに会ったわたしだけど……。

 父さんも母さんも、思っていたよりずっと、老いのしわが深かった。父さんの眼窩は窪み、母さんはとても痩せていて、顔色が青白かった。昔の……。わたしが知っていた、と言うか半ば恐れていた威圧感が、まるで無くなってしまっている。ただ独り、カイト兄さんだけが、威風堂々として両親を守るかのように、すっくと立っている。

「――リムノ。良く帰って来てくれた。お客人。共にいてくださったこと、肝胆から御礼申し上げます」

「ご丁寧なおことば、ご厚情いたく感じ入ります。わたくしはルカス。こちらのフォクスリングはキッポ。共に旅を同じくしております」

 父さんとルカスが挨拶を交わした。カイト兄さんが、

「おかえり、リムノ。成長したね」

シンプルだけど、その分気持ちのこもっていることばをくれた。

「父さんに母さん。兄さんも。わたし仲間の2人に支えられて、ここまで来られたの。今まで、――今まですれ違っていたのね、想いが。とても不思議な気分。許せない想いと愛着の想いが一緒になってるの」

「すまなかった。今になって分かる。お前に対して、親としていかにひどい扱いをしていいたかが。その詫びも兼ねて。これからは親子揃って、暮らしてはくれまいか? お客人には失礼な申し出と、重々承知しておりますが……」

 ――!!

「そんな! 何を今さら……」

 わたしのココロは激しく動揺した。

 確かに。確かに家に戻って暮らしていれば、何不自由無く、危険なことも無く、安寧に暮らせるのは想像が付く。

 でも。

 じゃあ、ルカスとキッポはどうなるの!? 家族以上に家族を感じている、暖かい旅の仲間は。ここで『サヨナラ』なんて、出来るわけ無いじゃない!

「リムノ。ムリはするな」

「ボクたちなら大丈夫」

 背後からルカスとキッポの声が聞こえた。でも。でも! 視界がぼやけて来た。

「そんなの、――無茶よ。父さんの気持ちも、今のわたしは分かると思う。でもね? 時の流れは非情だわ。わたしにとっての家族は。家族は……」

 涙が頬を伝うのが分かった。

「わたしの家族は、ルカスとキッポなの!」

 決定的な一言を言ってしまった。そう。これでもう、後戻りは出来ない。成長したわたしのどこかが、そう告げている。

「リムノ。この通り(こうべ)も垂れる。愚かな老父と笑っていい。それでも。お前は娘。カイトやミクと同じ、我が子だ」

 涙がまたにじむ。

「だからって! そんなこと、出来るわけ、無い……。父さん。時は流れたの。わたしはわたしなりの時を過ごしたわ」

 鼻をすする。乱暴に涙を拭った。

「その『時の流れ』を否定することは、今までのわたしの存在、それを無くすのと同じなのよ。わたしはわたし。これからも、『わたしの時』を過すわ。酷なことを言ってるって、分かってる。でもね? これだけは。ルカス、キッポと過した『わたしの時』を消すことは、どうあっても出来ないことを理解して。――お願いよ、父さん。このことばが酷なように、わたしに決断を迫ることが酷なことと分かって!」


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