17:再会
ショックは大きかった。
応接室で、両親と兄さんに会ったわたしだけど……。
父さんも母さんも、思っていたよりずっと、老いのしわが深かった。父さんの眼窩は窪み、母さんはとても痩せていて、顔色が青白かった。昔の……。わたしが知っていた、と言うか半ば恐れていた威圧感が、まるで無くなってしまっている。ただ独り、カイト兄さんだけが、威風堂々として両親を守るかのように、すっくと立っている。
「――リムノ。良く帰って来てくれた。お客人。共にいてくださったこと、肝胆から御礼申し上げます」
「ご丁寧なおことば、ご厚情いたく感じ入ります。わたくしはルカス。こちらのフォクスリングはキッポ。共に旅を同じくしております」
父さんとルカスが挨拶を交わした。カイト兄さんが、
「おかえり、リムノ。成長したね」
シンプルだけど、その分気持ちのこもっていることばをくれた。
「父さんに母さん。兄さんも。わたし仲間の2人に支えられて、ここまで来られたの。今まで、――今まですれ違っていたのね、想いが。とても不思議な気分。許せない想いと愛着の想いが一緒になってるの」
「すまなかった。今になって分かる。お前に対して、親としていかにひどい扱いをしていいたかが。その詫びも兼ねて。これからは親子揃って、暮らしてはくれまいか? お客人には失礼な申し出と、重々承知しておりますが……」
――!!
「そんな! 何を今さら……」
わたしのココロは激しく動揺した。
確かに。確かに家に戻って暮らしていれば、何不自由無く、危険なことも無く、安寧に暮らせるのは想像が付く。
でも。
じゃあ、ルカスとキッポはどうなるの!? 家族以上に家族を感じている、暖かい旅の仲間は。ここで『サヨナラ』なんて、出来るわけ無いじゃない!
「リムノ。ムリはするな」
「ボクたちなら大丈夫」
背後からルカスとキッポの声が聞こえた。でも。でも! 視界がぼやけて来た。
「そんなの、――無茶よ。父さんの気持ちも、今のわたしは分かると思う。でもね? 時の流れは非情だわ。わたしにとっての家族は。家族は……」
涙が頬を伝うのが分かった。
「わたしの家族は、ルカスとキッポなの!」
決定的な一言を言ってしまった。そう。これでもう、後戻りは出来ない。成長したわたしのどこかが、そう告げている。
「リムノ。この通り首も垂れる。愚かな老父と笑っていい。それでも。お前は娘。カイトやミクと同じ、我が子だ」
涙がまたにじむ。
「だからって! そんなこと、出来るわけ、無い……。父さん。時は流れたの。わたしはわたしなりの時を過ごしたわ」
鼻をすする。乱暴に涙を拭った。
「その『時の流れ』を否定することは、今までのわたしの存在、それを無くすのと同じなのよ。わたしはわたし。これからも、『わたしの時』を過すわ。酷なことを言ってるって、分かってる。でもね? これだけは。ルカス、キッポと過した『わたしの時』を消すことは、どうあっても出来ないことを理解して。――お願いよ、父さん。このことばが酷なように、わたしに決断を迫ることが酷なことと分かって!」




