16:胸を張って
「良かったね、リムノ」
「言ったろ? 『娘は娘』って」
キッポとルカスが言ってくれた。そんな2人にミクは、
「旅の知識は持ち合わせておりませんが。姉は魔道士として、役目を果たしておりますでしょうか?」
ルカスが目を細めた。
「実力を充分に発揮していますよ。先日は、襲って来た海賊を魔道で立ち去らせましたから」
「その時にひどいケガもしたし。リムノは、カラダもココロも痛みの分かる、そんな人間だと、ボクは思ってるよ」
ルカスもキッポも、褒め過ぎなくらいのことを言ってくれた。でも、そうね。あの出来事は、今でも信じられないくらいの戦いだったもの。我ながら頑張ったと思うわ。文字通り、
『死線をくぐり抜けた』
んだものね。
「姉さん、すごい旅をしているのね」
ミクが目を丸くしてる。
「本当は、危険なことからは避けて旅をしたいんだけど。どう言うわけかタイミング悪くって、何らかの事件に巻き込まれちゃってるの」
そうなのよね。チップルの時然り、船旅の時然り。それより前にもいっぱいいっぱいあった。
再びノック。そっとドアを開ける。予想通りレンさんだった。
「リムノお嬢様。今日はもう、お人様と会う予定は無いそうです。ご主人様も奥様も、カイト様も応接室にいらっしゃいます。是非皆様で会いたいと、おっしゃっておりました」
レンさんがにっこり。でも、ここまで来てわたしはどきどき。
「――ルカス。キッポ」
視線が泳ぐ。そんなわたしに、
「胸張って行こう。オレたちは仁義にもとることはしてないんだから」
「うん。ボクたちは犯罪者じゃないからね」
暖かな声がかけられる。それが大きな力になって、わたしは、
「ミク。レンさんも。ルカスもキッポも。わたしの帰郷、付き合って」
言えた。自分のことばで言えた。わたし。今、新しい一歩を感じてる。




