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16/19

16:胸を張って

「良かったね、リムノ」

「言ったろ? 『娘は娘』って」

 キッポとルカスが言ってくれた。そんな2人にミクは、

「旅の知識は持ち合わせておりませんが。姉は魔道士として、役目を果たしておりますでしょうか?」

 ルカスが目を細めた。

「実力を充分に発揮していますよ。先日は、襲って来た海賊を魔道で立ち去らせましたから」

「その時にひどいケガもしたし。リムノは、カラダもココロも痛みの分かる、そんな人間だと、ボクは思ってるよ」

 ルカスもキッポも、褒め過ぎなくらいのことを言ってくれた。でも、そうね。あの出来事は、今でも信じられないくらいの戦いだったもの。我ながら頑張ったと思うわ。文字通り、

『死線をくぐり抜けた』

んだものね。

「姉さん、すごい旅をしているのね」

 ミクが目を丸くしてる。

「本当は、危険なことからは避けて旅をしたいんだけど。どう言うわけかタイミング悪くって、何らかの事件に巻き込まれちゃってるの」

 そうなのよね。チップルの時然り、船旅の時然り。それより前にもいっぱいいっぱいあった。

 再びノック。そっとドアを開ける。予想通りレンさんだった。

「リムノお嬢様。今日はもう、お人様と会う予定は無いそうです。ご主人様も奥様も、カイト様も応接室にいらっしゃいます。是非皆様で会いたいと、おっしゃっておりました」

 レンさんがにっこり。でも、ここまで来てわたしはどきどき。

「――ルカス。キッポ」

 視線が泳ぐ。そんなわたしに、

「胸張って行こう。オレたちは仁義にもとることはしてないんだから」

「うん。ボクたちは犯罪者じゃないからね」

 暖かな声がかけられる。それが大きな力になって、わたしは、

「ミク。レンさんも。ルカスもキッポも。わたしの帰郷、付き合って」

 言えた。自分のことばで言えた。わたし。今、新しい一歩を感じてる。


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