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13/19

13:実家へ

 表に面した木々の塀が、美しく色付いていた。今日も晴天。森の中ほどじゃ無いけど、朝の空気は気持ちいい。大きく深呼吸した。うん、わたし大丈夫。

「すごいな。大邸宅かよ」

「ここ、全部リムノのおうちなの?」

 ルカスとキッポが驚いてる。わたしにとっては、懐かしい見慣れた景色だけど。そうよね。確かにお金だけはある家だから。

「うん。正面玄関は道を曲がった先にあるんだけど。裏門から入るわ。うまやばんさんか、せんたくむすめさんと会えるかもしれないから」

 わたしは先導した。目立たないけど、垣根に四角い縁取りがある。裏門をそーっと開けた。生い茂る木々で視界は悪いけど、誰もいないみたいね。

「ここ。ちょっと狭いから、ルカスは長剣に気を付けて」

「ああ」

 木々のトンネルをくぐる。裏庭に出た。あ! 洗濯物を干してる! せんたくむすめのレンさんだ! 小声で呼んでみた。

「まあ! リムノお嬢様! お帰りになったんですか!?」

 ぱたぱたと、こちらに来てくれた。

「――正確には違うんだけど。ちょっと寄りました。兄さんや妹は元気かしら?」

「ええ。カイト様もミク様もお元気でいらっしゃいますよ。今は選挙のために、忙しくしてらっしゃいますけど……。本当にお懐かしい。お客様もご一緒なのですね? ご主人様にお知らせしないと。でも、どうして裏門からいらしたんですか?」

「それがちょっと、ね。あ! 父には伝えないでください。――レンさんを見込んで、頼みたいことがあるんだけど」

「はい。何でございましょう?」

「出来るだけ両親には会いたくないの。事情はあとで話すわ。こっそり、わたしの部屋まで入れないかしら?」

 レンさんはエプロンの裾をうにうにしながら、小首をかしげた。

「それは、出来ますけど……。お客様に失礼でないかと」

「我々のことはお気になさらず。リムノさんの願いを聞いてあげてください」

 ルカスが力強く言ってくれた。

「承りました。ご主人様は奥様と共に、応接室にいらっしゃいます。選挙が近いので、取材の方々がここのところ、大変多くなっておりまして。なので裏廊下からお部屋まで、誰にも見られること無く、お入りになれると思います」

 わたしは息を付いた。

「ありがとう。本当に助かったわ。裏庭でレンさんに会えたおかげね」

「わたくしのような者が、お役に立てるのであれば。いくらでもおっしゃってくださいませ」

 にっこり笑ってくれた。幼い時からなついてたレンさんだから、その笑顔が嬉しい。

「勝手口から入れるかしら?」

「大丈夫です。見られることはありませんよ」

「可能なら……。兄さんと妹に会いたいんだけど」

 レンさんは、ちょっと困った顔になった。

「今、本当にお忙しくしてらっしゃいますので。ミク様でしたら、可能かと思いますけど……」

「兄さんはムリなのね?」

「申し訳ありません。ご主人様が、付きっ切りになってらっしゃいますので」

「そんな、謝らないで。わたしのワガママなんだから。じゃあ、裏廊下から部屋に入るわね」

「そうなさってください。お客様方。失礼を致します」

 ルカスとキッポは会釈をした。レンさんは、洗濯物干しに戻る。

「じゃあ、一緒に来てくれる? 裏廊下だから、少し狭いけど」

「ああ」

「いいよ。大丈夫」

 窓から見られないように、建物に張り付くようにして勝手口まで来た。誰もいない。でもわたしは急いで、裏廊下への階段を上った。2階で階段から裏廊下に入り、薄暗い中、ドアを数える。突き当たりの8つ目。鍵はかかっていなかった。懐かしい期待にちょっと震えながら、ドアを開ける。


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