第四章 『誰が為に』 4-3
最終章後編。
ついに物語は(エピローグを残して)完結を迎える!
では、どうぞ!
「あ……」
その人物は、美夏とその後ろを歩く生徒会メンバーだった。
美夏も雄介と同様に体中包帯だらけだったが、
見る限りではどうやら大事は無いようだ。
「……」
美夏はどこか申し訳なさそうにうつむいたまま、
雄介の隣に立った。
「もう、大丈夫なのか?」
「……うん」
小さく、消え入りそうな声で美夏は答える。
「……そうか、良かった」
雄介の安心したような言葉に、
美夏は勢いよく顔を上げると頭を下げた。
「ごめんなさい!
私、自分のわがままで皆に迷惑を……
江室君にもそんな大怪我を負わせてしまって……」
それを聞いたその場にいる全員が目を丸くした。
「私、学校を辞めることにしました。
もう、皆に迷惑はかけません。
今まで、お世話になりました!」
美夏の言葉を聞いた全員は一瞬驚いた様子だったが、
お互いに目を合わせ、
うなずきあった。
「美夏、顔を上げて」
雄介が優しく声をかける。
美夏はおそるおそる顔を上げる。
美夏の目の前には、
誰一人として美夏を嫌悪する目つきの人はいなかった。
「美夏、誰一人として、美夏をとがめる人はいないよ」
「え?」
「だって、美夏はお母さんの為にと思ってやったんだろ?
その為に禁術にも手を出した。
確かにそれは許されることじゃないけれど、
それだけ、美夏はお母さんのことが好きだったんだろ?」
美夏は小さくうなずく。
「じゃあ、誰にもその思いを踏みにじることなんて出来ないさ。
だから美夏、お前は学校を辞める必要なんてないんだよ」
雄介がそう言うと、美夏はすぐに顔をふせた。
肩がわずかに震える。
「わ、私は……ここに居ていいんでしょうか」
美夏は震える声でつぶやく。
「ああ、もちろんだ。
皆もそうだろ?」
雄介はその場にいる全員に向かって言葉を投げかける。
「ええ、私は構わないわ~」
「……歓迎」
「私も江室の考えに賛成だ」
「むしろ俺はずっと一緒にいたいぐらいだけどな!」
皆は快く美夏を受け入れた。
「だ、そうだよ美夏、どうする?」
雄介の問いに、美夏はゆっくりと顔を上げた。
その目からは、大粒の涙がぼろぼろとこぼれていた。
「これからも……よろしく、お願いします!!」
「ああ、おかえり、美夏」
雄介がそう言うと、
美夏は顔をしわくちゃにしながら雄介に抱きついた。
「うわあああああああああああああああああ!!!」
美夏は雄介の胸の中で大声で泣いた。
雄介は何も言わず、優しく美夏の頭をなでた。
美夏はひとしきり雄介の胸で泣いた後、
申し訳なさそうに雄介から離れ、椅子に座った。
顔がいつもより赤い気がする。
「あ、ありがとうございます」
「いやいや」
「あーあーあーあー雄介ばっかりおいしい思いしやがって。
俺なんか雄介に二千円払わされたんだぞ!
おかげで真奈ちゃんに占ってもらえなかったしよぉ!」
終始その様子を見ていた徹が愚痴をこぼす。
「わりいわりい、後でちゃんと返すからさ」
雄介は右手で謝罪のジェスチャーをして謝った。
部屋に笑いが蘇る。
美夏も緊張がほぐれたのか皆と一緒に笑った。
「……ところで江室」
そこで、紫が話を切り出した。
「なんです?」
「お前、生徒会に入る気はないか?
美夏もだ」
「「え?」」
雄介と美夏は声をそろえて紫のとっぴょーしもない話題に呆然とした(徹含む)。
「なんで俺が?」
「見ての通り、我が生徒会は人数が足りていなくてな、
ちょうど後二人ほど欲しいところだったのだ。
どうだ、やるか?」
「え、いきなりそんなこといわれても……」
「わ、私は、雄介君が入るなら……」
「へ?」
美夏は雄介の袖を掴みながらつぶやいた。
それを見た紫が一瞬目を細める。
「……決まりだな」
「なんで!?」
「ええいごちゃごちゃとうるさいな。
決まりなものは決まりなのだよ雄・介・君!」
紫は雄介を指差しながらどこか不機嫌そうに言ってのけた。
「そんな理不尽な……」
「では、私達はこれで退散するとしようか」
紫のその言葉で、
なにやらぐちぐち言っている徹含む生徒会メンバーはその場を後にしようとした。
「天宮先輩」
生徒会メンバーたちがぞくぞくと部屋から出て行く中、
雄介は紫を呼び止めた。
「何だ?」
紫も足を止め雄介に向き直る。
「俺、強くなります。
先輩のように勇敢に相手と立ち向かえるように、
先輩に負けないくらいに……
いや、誰にも負けないくらいに!」
その言葉を聞いた紫は一瞬目を丸くしたが、
やれやれといった風に小さくため息をついた。
「やってみろ。
私はいつ何時でもお前の挑戦を待ってるぞ」
「はい!」
雄介のその声は今までにないくらいたくましいものだった。
この先何が起こるかわからない。
もしかしたらいつもと同じ日常かもしれない。
でももし今回みたいな出来事が起こったとき、
もし誰かが助けを求めている時は、
自分が手を指し伸ばそうと改めて心に決めた雄介だった。
第四章4-3段落、いかがでしたでしょうか?
ついに、ついに!
はぁぁぁぁ~~……長かったぁぁぁ……。
約一ヶ月、ココまで読んできてくださった方、
本当にありがとうございます!
さて、今回は美夏が許される回となりました。
我ながら良い出来なのではないかと(そんなことないか)。
雄介と紫との会話で「ん?どこかで聞いたことあるぞ?」
というところがあったと思います。
それは作者の思惑通りでございます故(笑)。
さて次回、
エピローグ
エピローグは今段落と同時に投稿いたします。
最後の時までお楽しみに!




