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コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第四章 『誰が為に』
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第四章 『誰が為に』 4-1

ついに最終段落。




またまた文章量上3分割になります。





では、どうぞ!

 目を開けて、すぐに目に入ったのは真っ白な天井だった。



紅い夕日に照らされながら、春の暖かな風が部屋を吹き抜け、


雄介の顔を優しくなでた。





「また、ここか……」





 雄介はうんざりしたようにつぶやく。





「残念だが、今度ばかりは病院だ」





 誰かがカーテン越しに雄介の独り言に答えた。





「……天宮、先輩?」





 声で誰だかすぐに分かった雄介から自らの名前を呼ばれた紫はカーテンを開け、


手を軽く上げて雄介と簡単な挨拶を済ませた。





「今回は災難だったな」





 そう言いながら、


紫は体中に包帯を巻いた雄介にねぎらいの言葉を投げかけながら雄介の隣の椅子に腰掛ける。





「誰のせいだと思ってんですか」





「さぁ、私には検討もつかん」





「いつか何かおごってくださいよ」





「そのうちな」





 なんて他愛もない話をしながら、


雄介は目覚めてからずっと思い浮かんでいた一つの疑問を紫にぶつけた。





「……先輩。



あの……あの後学校はどうなったんですか?



それに……」





「美夏も、か?」





「……」





 雄介は静かにうなずいた。



それを見た紫は呆れたように小さくため息をついた。





「まったくお前と言う奴は、自分の体の心配をしたらどうなんだ?



お前は下手をしたら後少しで死んでたかもしれないんだぞ?」





「……すみません」





 うつむいて落ち込む雄介を見て、


紫はまた小さくため息をついて次の言葉でねぎらった。





「安心しろ。



万が一を考えて、こういうときの為に私はお前と別れた後、


あーちゃんにあらかじめ病院の設備や部屋を整えさせておいたのだ。



全員無事だ。



すぐに魔力を宿主に戻したのが良かったのだろうな



もちろん、美夏もだ」





「……ッ!本当ですか!?痛……ッ!」





 がばっと起き上がった雄介の全身に激痛が走る。





「ばか者、お前は重傷者なんだ。



安静にしてろ。



安心しろ、嘘をついて私に何のメリットがあるというのだ」





 それを聞いた雄介は体中から一気に力が抜け、ベッドに倒れこんだ。



気づけば左腕にギプスがしてある。





「はぁ、良かったぁ……」





 安心しきった雄介を見て、紫は一つ咳払いをした。





「だが、無事だからといって禁術に手を出した事をないがしろにするわけじゃない」





「!」





 そうだ。



美夏には『禁術・悪魔の手』に手を出したと言う大罪がこれからついて回る。




 今後の処分によって、美夏のこれからの人生も大きく変わっていくことだろう。





「ま、安心するがいいさ」





「え?」





 紫の突然の余裕ぶりに、


雄介は紫が何を何を考えているのか全く分からなかった。





「『禁術の間』を守る禁術結界術式自体、


とてつもなく長い年月が経って大分弱ってしまっていたからな。



ついうっかり、何も知らない新入生が偶然そこに足を踏み入れてしまい、


これまた偶然『禁術・悪魔の手』に触れてしまったと……な?」





「いや、『な?』って言われても……



それはちょっと無理があるんじゃ……」





「私を誰だと思ってる、無理など無理やり貫き通させるさ」





「んな無茶苦茶な……」




「それと、美夏が言っていた『奴ら』のことだが……」





 その言葉に、雄介は唾を飲んだ。





「美夏の言う奴らとは、どうやら『セフィロト』のことらしい」





「『セフィロト』?」





「そうだ。『セフィロト』は目的も、


その全貌も、


その全てが謎に包まれているいわゆる秘密結社といったところだ。



私も名前だけしか知らないただの噂話か伝説程度にしか思っていなかったがな」





「なんでそんな奴らが美夏の親を」





「さあな、そこまではさすがの私でもわからん」





「そう、ですか……でも……」




「そ・れ・よ・り!」





 紫は無理やり雄介の言葉を切った。





「問題なのは江室、お前のその力のことだ」





「!」





「江向から連絡を受けて、私も遠くから屋上の様子を見ていたのだ」





「そう、だったんですか……」





 雄介はあの時の美夏との対決を思い出す。





「で、だ。



私が思うに……」





「?」





「江室、お前の力は……『悪魔の手』は正真正銘の本物だ」





「…………は?」





 突然の紫の発言に、雄介は一瞬思考が停止した。





「え、でも。



美夏は本物は手に魔方陣が描かれてるって言ってましたし」





「それこそ、『悪魔の手』を模倣した魔術、


つまりそれこそが偽物ってわけだ。



だがまあ、大変危険な物であることには変わりないから禁術として扱われていたがね」





「でも、なんで先輩がそんなことを?」





「私の家は先祖代々受け継がれる由緒正しい天宮家魔術者家系だとあの時言っただろう。



昔の記述が未だ家に残されていたのだ。



そこには『悪魔の手』に関する様々な情報が明記されていたよ。



その記述によると、『悪魔の手』が司る力は魔力の『吸収』と『放出』」





「え?『破壊』、ではなくて?」





 雄介の問いに紫はうなずく。





「お前の場合、


どうやら左手が『放出』、


右手が『吸収』を司っているようだな。



トーナメントのあの大爆発も魔力が岩塊の内側から膨張して……って、というか江室」





「はい?」





「お前は、今までこれらの自覚もなかったのか。



さっきも破壊だとかなんとか言っていたが」





「え、あ、ですから、左手が『物理破壊』、


右手が『魔力破壊』なのかなって……」





「じゃああの時、美夏から魔力を吸い取った時、


なぜ左手から放出できるってわかったんだ?」





「あ、えっと、あれは……



左手を使う時はいつも魔力の流れが手の平に集まるのを感じていたので、


もしかしたらと思って」





「賭けに出たと?」





 雄介は素直にうなずく。




 雄介の返答に、紫は心底あきれ返ったように深いため息をついた。





「あきれた。



自分の力のこともまともに理解できていないとは。



これは思っていた以上にお前の目は節穴のようだ」





 そんな紫の嫌味に、雄介はむっとした。





「先輩こそ、いくら家に記述が残されていたからといって、


そんな危なっかしい物を読むなんてどうかしてるんじゃないんですか……っと」





 雄介はそこで少し言い過ぎたかなと口を閉じた。



あの紫にこんなことを言ってどんな仕打ちをされるかわかったものじゃないからだ。




 と、雄介が心配しているのをよそに、


紫はどこか真剣な表情になっていた。





「……知りたいか?」





「え?」





「私がなぜ禁術や『悪魔の手』のことについて調べていたのかを」





「別に」





 即答。





「し・り・た・い・か?」





 紫がいつも以上にすごむ。





「し、知りたいですハイ……」





 雄介がそう言うと、紫は「よろしい」と言いながら姿勢を戻した。



これから紫の言うことには素直に「はい」と答えようと肝に銘じた雄介だった。

第四章4-1段落、いかがでしたでしょうか?




ついに最終段落に達したレヴァリエももうすぐ終わりですね。





さて、今回は雄介と美夏との対決の後日談を書きました。




雄介の力の正体も明かされ、


生徒会長のおかげで美夏の今後も安心できそうです。




にしても徹哀れ。



雄介に心配されていないという(笑)






それでは次回、




紫の過去と雄介の過去が同時に描写されます。






では、お楽しみに!

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