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コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第四章 『誰が為に』
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第四章 『誰が為に』 3-2

ついに雄介と美夏との対決に終止符が打たれる!



では、どうぞ!

「く……ッ!」





 美夏はとっさに自らの周りに結界を張る。



大量の魔力を吸収していたせいで、


美夏が結界を普通に展開しただけで余分な魔力がそこから一気に溢れ出し、


それは結界の内側を除く辺り一面に強烈な突風を浴びせた。



まるで嵐のように。





「ぐあッ!」





 雄介は、大量に魔力を奪われたせいで頭がぼーっとしてとっさの判断が遅れ、


受け身もとれないまま後ろに吹き飛ばされ、


そのまま屋上のドア横のコンクリートの壁に頭と背中を強く打ちつけた。





「か、は……ッ!」





 雄介が苦しげな声を上げる。



肺が圧迫されて息が一時的に出来なくなり、


頭を強く打ち付けて一瞬だけ雄介の視界が暗くなった。




 あまりの衝撃でしばらく身じろぎ一つ出来なかった雄介だったが、


何とか腕を動かして跪くようにして雄介が息を整えていると、


雄介の頭から数滴の血が屋上の床に滴り落ちた。





「ぐ、うううううあああああああぁぁぁぁぁぁ!!」





 だが、それでも雄介は雄たけびを上げながら再び立ち上がる。





「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」





 そして再び美夏に向かって走り出す。




が、再び吹き飛ばされる。




それでも雄介は何度も立ち上がっては吹き飛ばされ、


立ち上がっては吹き飛ばされを繰り返した。




その間、一度も結界には触れることは出来なかった。




しかも、雄介は吹き飛ばされるたびに体のあちこちを壁にぶつけているため、


美夏と同様に体中から血が流れていた。




いや、むしろ雄介の方が酷いとも言える方だった。



禁術によって魔力を奪われ続け、



頭からは大量の血が止めどなく流れ出しているのだから。




目にも血が入り込んでいて、


もはやまともに美夏の姿すらも見えないはずだった。




 美夏はそんな雄介の様子を見て、胸が張り裂けそうな思いだった。





「な、んでよ……」





 美夏がそうつぶやくのと同時に雄介が再び結界のすぐ側まで接近し、右手を伸ばした。




よく見ると、雄介の左腕はいつの間にかありえない方向に曲がっていた。



おそらく、何度目かの壁との衝突で左腕を折ったのだろう。



とても痛々しい光景だが、


雄介の目の光は一切失われていなかった。





「なんで、そこまで……」





 美夏がかすれた声で雄介に向かって問う。



その問いに対して、雄介は美夏に向かって優しく微笑みかけた。





「言ったろ?



お前を助けるって、お前は俺の友達だからって、


苦しんでいる人がいたら助けるって、さ」





「わ、私は……苦しんでなんか……」





 そこで、雄介は再び美夏に微笑みかけた。





「……じゃあ、お前のその目から流れてる奴は何なんだ?」





 美夏ははっとした。



思わず手を自分の頬にあてると、湿った感覚が自分の手に伝わった。



それは止まることなく次々と美夏の頬を伝わって、そして床に落ちていく。





「わ、私……私は……」





「もういいんだ、いいんだよ美夏」





 雄介が美夏に優しく語りかける。





「もう、苦しまなくて、いいんだ」





 雄介がそう言うのと同時に、雄介の右手がついに結界に触れた。



その瞬間、さっきまで吹き荒れていた魔力の嵐が徐々におさまっていく。





 しかし、魔力が消え失せたわけではなかった。



大気中に散らばった魔力を含む美夏の展開した結界もろとも、



全て雄介の右手に集まっていた。



それを見た美夏は困惑する。





「これって……」





 やがて嵐は完全におさまり、結界も消え、



雄介が倒れ込むようにして右手で美夏を抱きしめる。





「……『俺の両手は』って言ったろ?」





 雄介が美夏の耳元でささやく。





「……お疲れ様、美夏」





 雄介はそうつぶやくと、右手を美夏の背中にかざした。




途端、美夏の背中から幾色もの魔力が雄介の右手に吸い込まれていく。



しばらく動揺していた美夏だったが、


しばらくしてそのまま雄介の腕の中で気を失った。



その瞬間、禁術も一瞬にして掻き消え、空はいつもの青空に戻った。





「安心しろ美夏、俺がずっと傍にいてやる。



だから今は、安心して眠れ」





 気絶した美夏にそうささやいて、


雄介は折れた左腕を空へと掲げた。





「ぐ、うッ!」





 左腕に激痛が走る。





「もう少し頑張ってくれよ、俺の左腕ッ!」





 苦しげに雄介がそう叫ぶと、


雄介の左手の平から、


ついさっき雄介が美夏から吸収した幾色もの魔力が空高く吹き上がる。



それはしばらく空中にとどまり、



やがて自らの宿主の元へと自然に帰っていった。



その様子はまるで、全方位に伸びる虹のようだった。





「良かった……これで、あん、しん…………」





 安心した雄介は気を失い、美夏と共に倒れ込んだ。




 さっきまでの惨劇が嘘だったかのように、


辺りにはしばらくの間、おとなしい静けさが続いていた。

第四章3-2段落、いかがでしたでしょうか?



捕食者編完結。



ついに雄介と美夏との対決に終止符が打たれました。



果たして雄介は生徒たちや生徒会メンバー、


そして美夏との間にこれからどのような関係を築いていくのでしょうか。



約一ヶ月間欠かさず続けてきたレヴァリエも、


もう残すところ後数回の投稿で完結ですね(しみじみ)。




ここまで呼んでくださった読者の皆様!




本当にありがとうございます!




次回、


捕食者編のその後日談が語られます。




禁術に手を出してしまった美夏はこれからどうなってゆくのでしょうか?



感想をいただけると嬉しいです。





では、お楽しみに!

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