第四章 『誰が為に』 1-1
今回はちょっとした回想編です。
二つに分けて描写していきます。
では、どうぞ!
あれからどれほどの月日が経っただろうか。
人に罵られ、
蔑まれ、
嫌われ、
人生というもの全てがまるで地獄そのもののように感じてからは、
生きていくのが無意味に思えてきていた。
「もうどうなったっていい」
自らの命を絶つ、
その程度のことでこの地獄から抜け出せるのならば、
それで今の苦しみから開放されるのであれば容易いこと。
刃物を手首にあてがって勢いよく引けばすぐに死ねるだろう。
縄を首に巻いてぶら下がればすぐに死ねるだろう。
足に重りをつけて海に飛び込めばすぐに死ねるだろう。
毒薬を飲めばすぐに死ねるだろう。
手段なんて腐るほどある。
自分が苦しむことなんて無くなる。
なんて簡単なことなのだろうか。
こんなにも身近に楽になれる方法があったなんて。
人との関係をこんなにも容易く断ち切ることが出来る方法があるなんて。
こんなにも……人生の悲しみから抜け出せる方法があったなんて。
そうだ、自分が死んでも悲しむ人なんていない。
自分一人が死んだところで世界は一秒も止まることなく回りつづける。
それが物事の理。摂理。原理。そして真理。
自分が今建物の屋上から飛び降りたところで、それは一時の出来事に過ぎない。
すぐに新しい出来事に埋もれ、そして忘れ去られる。
今この一歩を踏み出せば、自分は皆から忘れ去られて、自分は開放される。
なんてすばらしいことなのだろうか。
もう『人』と呼ばれる者全員から蔑まれることもない。
この一歩を踏み出せば――――
――――駄目!!
誰かが腕を掴んで落下を防いだ。
「母さん……」
とっても優しい母さん。
いつでも自分のことを気遣ってくれていた母さん。
暖かい笑顔をいつも見せていてくれた母さん。
そんな母さんも、今ではもう見るも無残なその姿。
体はほっそりとやつれ、頬は痩せこけている。
誰もが着ているようなごく一般的なその服もところどころが破け、
その状態のまま金をねだればただの乞食にしか見えないだろう。
ただ、自分の腕を握るその手はとても力強かった。
とても暖かかった。
自分のことなんか放っておけばいいのに、
母さんは腕を引いて自分を強く抱き寄せた。
理解できなかった。
自分をかくまっているだけで皆から罵られる対象になってしまうというのに。
――――死のうなんて考えちゃ駄目!
「……どうして?」
――――あなたが死んで、残された人はどれだけ悲しむと思ってるの?
「……たとえ命を絶ったって誰も悲しむ人なんかいないでしょ?」
その瞬間、左頬に強烈な痛みが走った。
すぐに自分は母さんにぶたれたのだと知った。
第四章1-1段落、いかがでしたでしょうか?
とうとう第四章までこぎつけたレヴァリエももうすぐ終盤。
もし感想を頂けたらうれしいです。
さて、今回はとある人物の回想(過去?)を描きました。
これだけ読むと何のことだかさっぱりだと思います(汗)
このようにちょこちょこ過去の話を割り込ませる予定ではありますので、
一体過去に何があったのか
と言う視点で見ていただけたらと思います。
次回、
引き続き回想編です。
でも次で終わりです。
今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです!
(●´∀`●)
では、お楽しみに!




