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転生したらもふもふだった まるんな前脚で頑張る!  作者: 綾瀬 律


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6.探索をする

 当面の目標はこれだ!


 1.寝床を安全かつ快適にする

 2.周囲の把握

 3.自分の能力の把握

 4.ルリハの能力の把握


 で、1.2.4.はひとまず終わった。となると2.の巣穴周囲の把握だ。俺の記憶では、前世の事を思い出した場所(多分、大きな木の根本)と蓮華の花畑(ハッチと出会った場所)、少し離れた木苺の木がある場所、その3ヶ所しか知らない。


 周辺に生息する魔物や動物などの生き物、植生、環境など把握したいことが沢山ある。

 特に生き物関連と環境は大事だ。今が夏なのは分かる。冬が来るのか、寒いのか…備えは?冬眠するのか、生き物は天敵(イタチは把握済み)は何か?


 生き延びる為に必要な情報だ。水と食料がなんとかなって巣穴も充実したからこそだ。

 俺はルリハと探索に行く事にした。


『ルリハー、いるか?』

 ルリハはネズミなので、昼間は穴を掘ったり部屋で寛いだりしている。

『なんだ、ハルカ』

『外の探索に行こうぜ!』

『あぁ、そうだな。地上は散策しないからな!』


 ルリハは地下通路を通って色々な場所に行ってるようだが、地上は危険がいっぱいだからな。


 ルリハを背中に乗せて、扉を開けて外を様子を伺う。耳を傾けて全方位の音を拾う。

 うん、大丈夫そうだな。のそのそと巣穴から出る。出た所でまた鼻をぷもぷもして匂いをかぎ、耳を澄ませて音を拾う。

 うん、大丈夫そうだ。


 慎重に進んで行く。今まで行ったことのない方向に進んで行く。

 背中のルリハが飛び降りた。

『ルリハ?』

『やった!来たぞーハルカ、俺も鑑定が使えるようになった!』

 えっ、そうなのか?まぁあれば便利だよな。

『苦節7日…』

 短っめっちゃ短いぞ?それで鑑定取れるとか凄いネズミだな…。


『これが薬草なんだよ!俺は治癒魔法使えないからさ。ポーションでも作ろうかと』

 作れるのか!いや、それはマイホーム(巣穴)に戻ったからだ。せっせと風魔法で収穫する白いネズミ。うん、可愛いな。


 小さな斜め掛けバックにどしどしと放り込んで、満足したのか、立ち上がってヒゲをそよがせる。うん、小さなネズミがドヤってるな…。

『ルリハ、行くぞ!』

『おう』


 チョロチョロとやって来て俺の背中に張り付く。そのまま進む。こっちは木々が鬱蒼としている。

 ん?なんか嫌な予感がする。咄嗟に横に跳ねた。と、俺が少し前までいた場所に木の枝が突き刺さっている。


 は、枝…見上げると幹に顔が浮かんでいた。キモッ、これはヤバいのでは?

 弾かれたように一目散に逃げ出す。怖えー枝が追ってくる。

 はぁはぁ、なんとか逃げ切った。上にも危険がいっぱいだ。焦った。いっそこの辺りに避難用の巣穴2を作るか?


『ルリハ、避難&探索拠点用にこの辺りに小さな巣穴作らないか?』

『助かる!外に出た時に逃げ込めるなら安心だ』

 という事で、ここは俺の出番だな!さぁ、掘るぞ、と勢い込んだが…ルリハが土魔法ででズズズン、と穴を作った…俺の出番は、これからだな。


 気を取り直して、入り口を広げて斜めに掘り進める。

 ある程度は進んだら平にして居場所を確保だ。

 後はルリハが崩落しないように側を魔法で固めたり、保管部屋や個室を作った。俺は穴の入り口に扉を付けておく。


 巣穴は分散させれば色々と安心だからな!

 個室には簡易ベットと乾いた草を敷き詰めて、拠点2の出来上がりだ。


 水を飲んで少し休む。いや、探索ほとんどしてないな…うん、ここから扇状に探索範囲を広げよう。

 耳を澄ます。遠くで獣の鳴き声が聞こえる。だいぶ離れてるから大丈夫だろう。


 さて、そろそろと扉を開けて外に出る。ルリハを背中に乗せて、薬草は時々見かけたので順番に採取。どちらがが警戒しながらだ。

 きのこも見つけたし、木の実や果物も見つけたので採取する。


 探索の能力なのか、巣穴や地形などはしっかりと記憶できる。生き物としても本能かもしれない。

 こうして離れすぎないように気を付けながら探索を進めた。


 ん?これは…。

『スンスン、水の匂いがする!』

 ルリハが叫ぶ。そう、水の匂い。川なのか湖なのか。

 後ろ脚で立って周囲に耳を澄ます。鳥の囀りが聞こえる。生き物の声は聞こえない。

 よし、進もう。水の気配を辿って進むと、着いた!

 どうやら湖だ。


 俺が小さいからか、途轍もなく大きく感じる。

 湖のヘリに近づく。恐る恐る前脚を水につける。冷たい!これは気持ちいいぞ。

 ルリハも背中から降りてきて、しっぽを俺の前脚に引っ掛けて前脚で水に触れる。

『冷たい!気持ちいいな!』


 季節は初夏(多分)とはいえ、日差しが降り注ぐと暑いくらいだ。なんせ毛皮をしょってるからな!

 この水は安全なのか…?

 そのキラキラする湖面を見つめると


(レナン湖 飲料可 美味しい魔力が含まれている命の水 傷や病気を治せる)


 凄いぞ、これ。

『凄えな…命の水だってさ。汲もうぜ!』

 そうだな、でもどこに?俺たちは入れ物なんて持ってない。どうしよう。ルリハは俺が考えている間に口を付けて飲んでる。

『うめぇー!』


 俺はこの水を持って帰りたい。何かないか…と考えて、湖の周りには背の高い茎っぽい植物が生えている。それを風魔法で1本切って前脚で抱える。中は空洞だ。

 それに圧縮空気で穴を2ヶ所開けて、木の繊維をよって作った紐を通す。お試しだからまずは1個。それに湖の水を空間魔法で転移させる。

 

 うん、出来たな。蓋は切った茎を潰して嵌め込む。無くさないように紐で固定して、よし。前脚で持って飲んでみる。美味いな、確かに。


 入れ物はこの小さな筒で大丈夫だ。それを後4つほど作ると、空間を拡張した。そうだな、イメージは樽か…いや、どうせ転移させるならば半分より少なくなったら自動で水を転移させればいいか。


 どうしたらいいのか、自動って。水筒と湖の空間を繋げて、うーん。半分とか無理だな。もう空間だけ繋げて、蓋から溢れないようにしたらいいか。

 いつでも満杯だ!

 ルリハが満足したのか俺の元に来る。


『ハルカは飲まないのか?何してる?』

『水を持って帰れないかなって。で、これな!』

 ルリハに水筒を渡す。俺も斜め掛けにして水筒を吊るしたのだ。ルリハサイズで作った水筒は斜めがけバックに固定できる。


『水筒?バックに付けられるのか…でもすぐなくなるぞ!』

『だから空間魔法でな、湖と繋げた』

 ネズミのルリハは水筒をバックに固定した状態で固まった。


『はっ?これの空間を湖と繋げた?…空間を拡張したんじゃなく?』

『あぁ、なんかその方が楽だったし』

『…ハルカ、やっぱり凄えな!発想がさ、ぶっ飛んでる!』


 ニコニコしてルリハが言う。いや、ネズミだし無表情なんだけど笑顔だなってなぜか分かる。

 その小さな前脚をで水筒をテシテシすると俺の胸毛にダイブして来た。ほんわかするな…。


 と油断していた…。突然、湖の中から大きな魚が飛び出して来てルリハごと俺を口に咥えて湖に潜った。

 いや、俺らは岸にいたんだぞ?どうやって湖に戻った…?


 咥えられてからその勢いのままなら岸に打ち上げられる筈。少し前の光景を思い出す。

 いや、その前に息をしないと。慌ててルリハごと空気の膜で包む。正確には膜を作って空気を充した。膜は治癒魔法の応用で、空気は空間魔法だ。


 冷静に考えてる場合じゃないが、気になる。

 えっと、俺らを咥えてからその勢いで茎に尾ビレを絡めてクルッと回転して湖に入った。

 いやいやいや、体操選手も真っ青な芸だな。


 で、目下水中を進んでいる。咥えての通りで噛みつかれて無いから安全だ。むしろ優しさすらに感じる。

 なんだろうな、これ。

 深く深く潜って、その都度膜の中の空気を増やしていく。水圧で圧縮されるからな!


 やがて水中の宮殿に着いた。水中なのにな、立派な宮殿が建ってる。

 腕の中のルリハもポカンとしてる。

『ハルカ、俺…目がおかしくなったかも』

『いや、俺もだ。宮殿が見える』

『ハルカもか?』

 2人で口から解放されて宮殿を見ていた。


 すると、中から金色の服を着た人が出て来た。でも小さい。俺の3倍くらい、およそ60cm。

『ようこそ、水底宮殿へ』

 ようこそも何も、有無を言わさず連れて来られたんだが?


『あぁ、ここは空気があるからその膜は解除しよう』

 俺の作った膜に触れて消した。えっと打ち消された?

『あはは、ごめんごめん。魔法を解除したんだよ!息は出来るだろう?』

 確かに、苦しくない。


『自己紹介をしないとな。僕はこの水底宮殿の管理者で、アベルだ。よろしくな』

『水底宮殿?』

 ルリハが聞く。


『そうだよ!僕は人魚族なんだ。君たちは魔獣だよね?なのに戦意が全くない。だから気になって。アオに連れて来て貰ったんだ』

『アオ?』

『さっきの魚だよ!彼は人魚を守る兵隊魚でね、サバキン族だ』

『凄えー!』

 この状況で凄えーっえ叫べるルリハが凄い。俺は情報処理が追いつかない。


 人魚族のアベルは笑いながら

『うさぎさんは固まっちゃったね?突然で』

『いやいや、ここに来るまでに下手したら死んでたぞ?空気はないし水圧で押されて…』

『死んでもここでならすぐに蘇生出来るしって思ったんだよ!』

 無邪気に言ってるけど、やっぱり死ぬとこだったのか…。怖っ。


『マジで!うわ、怖えー』

 その割にはキョロキョロと周りを見る余裕があるルリハ。俺はちょっと無理かも。

 まずは水を飲もう。水筒から水を飲む。ふぅ、おちつくな。前脚で顔を洗う仕草をして、丸まる。やっと落ち着いた。





※読んでくださる皆さんにお願い※


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