38.ナツキとの再会
カズハのもふもふにもふもふでダイブしていると、これは…?
顔を上げる。まだ小さな子が目に入った。
子供が足を止める。俺をじっと見つめた。うさぎのまま見上げた俺もその子を見る。
まだぷくっとした頬の金髪に青い目の幼児だ。
「ハル兄さん…?」
まさか、いやでもこの感じは…
『ナツキか?』
俺ははナツキの名前を呼んだ。呼ばれたその子は目を潤ませて迷いなく俺に駆け寄って胸に抱きしめた。
「ハル兄!」
『ナツキ…本当にナツキなんだな?』
前脚でナツキの頬をテシテシする。
「そうだよ、ハル兄。ナツキだよ…やっと会えた。うぅ、兄ちゃん。なんで先に死んじゃったんだよぉ…うぅ、ぐすっ…兄ちゃん。それに、こんな可愛いらしいうさぎで…ぐすっ。今度は僕が守るから…」
ナツキは愛おしそうに俺の頭を撫でる。いや、全身撫でて頬ずりした。
『ごめんな、兄ちゃん安心してしまったんだ。ナツキが立派になって、俺に会いに来てくれて。でもな、兄ちゃん、ナツキにあっても恥ずかしくないように、頑張って強くなったんだぞ!』
隣でネズミのルリハが盛大に涙を流していた。カズハは…やっぱり目を潤ませている。みんな、願ってくれてたんだな。ありがとう。
「兄ちゃん…ぐすっ、会いたかったよ…。でも、うさちゃんだね?」
うっ、弟にうさちゃん呼ばわりは傷付くぞ。カズハと話をするためにうさぎになったからなぁ。でも撫で撫でが気持ちよくて…いや、断じてそんなことは…ほわぁそこ気持ちいい!
じゃなくて!!
『兄ちゃん、人型になれるぞ!』
まだ泣きながらえっと言う。無意識にレイカを見た。
「なって貰えばいい。ここにいるハッチたちも魔獣だから」
「えっ…?」
撫で撫では名残惜しいが、いや、違う。やはりここは兄として威厳のある姿を!
「とうっ!」
人型になったぞ。腰に手を当てて胸を張る。
「ハル兄さん?」
「そうだぞ!」
「か、」
か?
「可愛い…!」
なん、だと?出来るお兄ちゃんじゃ無いのか?
ルリハを見る。スッと目を逸らした。
カズハを見る。サッと目を逸らした。
レイカを見る。目線が合わない。
ハッチは、笑ってるじゃ無いか!
「あはは、腹痛い…!ハルカは可愛いんだよ」
クソッ弟の前で可愛さは不要なんだ。
「兄ちゃん…」
ぎゅむっとナツキが抱きしめてきた。
「凄い可愛い!大好きだよー」
そうか、へへっ。
チョロいハルカだった。
実際、ハルカは白銀の髪に薄い紫の目。非常にきれいな色合いだった。しかも魔獣になって視力が全開だからか、目付きは悪くなく…切れ長で少し吊り上がった目は非常に愛らしかったのだ。
「兄ちゃん…」
ぐりぐりとしてくるナツキが可愛くて、昔を思い出して涙が出て溢れた。ナツキも泣いた。いつの間にか人型に戻ったルリハがカズハを抱っこしながら泣いている。
「ぐすっ、良かったな…ハルカ。ぐすっ…本当に良かっ…」
言葉にならず、カズハの毛皮に顔を埋めて泣いた。
俺はナツキに
「ルリハだ、そっちのホワイトウルフはカズハだ。俺の、俺の親友たちだ。2人とも良い奴なんだ!」
ナツキは泣きながら驚いて
「ルリハ、さん?それにやっぱりカズハさんだったんだ」
「ぐすっ、ナツキ…初めましてだけど、なんか懐かしいぞ。ぐすっ、さんざんハルカから聞いてたから…」
『俺は初めましてじゃ無いぞ!』
さっきは分からなかったが、今は言葉が分かる。魔獣の姿で交流したからか。
「まぁ、積もる話もあるだろうけど、座らないか?」
レイカに言われてすっかり奴らの存在を忘れていたことに気が付いた。
「そう、だな…。悪い」
「構わないぞ!会いたかった弟にやっと会えたんだからな」
「そうだ、気にするな」
「水くさいぞ!」
「その通りだ。仲間だろう?」
みんな、良い奴だ。
「座ろうぜ!」
ルリハの一言で座った。ナツキは俺の膝の上だ。俺もまだ小さいがナツキはもっと小さいからな。
『パパー!』
あ、マズイぞ。
ヒュン
ひしっ。頭にカゲツがしがみ付いた。ちびっ子サイズだぞ?流石に2mはデカいからな。
「…兄ちゃん?」
『パパー!うぇーん…パパの魔力が乱れたよぉー』
あ、それでか。
カゲツを撫でると
「心配してくれたんだな。大丈夫だぞ?会いたかった弟に会えたんだ。だから感情が昂ってな」
俺は良くも悪くも、仲間が死にかけるくらいのことが無ければ感情が大きく動かない。それに慣れていたカゲツが急な揺らぎを感じて慌てたようだ。
『大丈夫なの…?ぐすん』
「大丈夫だ、カゲツも来てくれたからな」
『ほんと?僕来たら嬉しい?』
「もちろんだぞ!大切なカゲツが来てくれてすごく嬉しいぞ」
『パパー』
と、そんな会話をしていた。ナツキは驚いて
「兄ちゃん、ドラゴン?」
「そうだぞ?名付け親なんだ!カゲツって言う」
驚くと
「カゲツ…」
くしゃりと笑った。
「僕の、弟…だ。覚えてて、くれたんだね…?ぐすっ、やっぱり兄ちゃんは、最高だよ!ぐすっ」
また泣き始めてしまった。
「ぼ、僕の名前…はミツキ」
「妹か?」
「ち、違うよ!」
髪を尖らせたナツキはやっぱり可愛かった。
「カゲツ、お前のお兄ちゃんだぞ?ナツキだ」
『ナツキ兄ちゃん?よろしく!カゲツだよー』
「よろしく!カゲツ」
何故かドラゴンの言葉は契約してなくても分かるんだ。凄いよな。
それからナツキにルリハとカズハを改めて紹介した。
「僕ね、ルリハさんのお葬式でカズハさんと会ったんだ」
そこで俺は初めてルリハが死んだ後のことを聞いた。
カズハがルリハの葬儀をしたこと。来たのは施設の職員と僅かな友だち、そしてナツキだった。ポツンと座っていたカズハ。
遺影が俺たち3人が肩を組んで笑っているもので、ナツキがそれを見て兄さんと呟いたことで、カズハはナツキだと分かったそうだ。
2人はそれから1年ほど交流して、俺の命日にカズハも死んだ。そんな事になってたとはなぁ。
「な?だから俺はキューピットだ」
それを聞いて狼のカズハが器用に吹き出した。
『あはは、やっぱりルリハだなぁ』
ナツキは何のことかわからずポカンとしている。ハッチやスパ、アンは付き合いの長さで分かったみたいだ。
キョトンとしたナツキに説明した。
「ルリハと話してたんだ。カズハとナツキが知り合えたら良いなって」
それでやっと意味が分かったみたいだ。
「確かに。だって兄さんの葬儀でルリハさんもカズハさんも号泣してて…凄く印象に残ってたから」
ちなみに俺の葬儀は万が一に備えて貯めていた貯金からルリハとカズハが執り行った。俺たちはお互いに何かあったらと、金を出し合っていたから。
だからルリハの葬儀もカズハがした。
『俺のは誰かしたのかな?別にしてなくても構わないが』
「僕がしたよ!」
みんなが一斉にレイカを見る。そういやコイツはボンボンだったな。しかも、運の悪さを逆手に取ってアイディア商品で儲けてるって聞いたぞ?
「そう、僕はお金に困らないみたいでね…結構お金持ちだったんだ。実はナツキ君が親からお金を借りてカズハの葬儀をしたいって言って。俺が金なら出すからって」
あー確かにレイカってぽやぽやしてたけど、基本いい奴だったもんな。
「連絡先を交換して、落ち着いたら会おうって思ってたんだよ?でもね…」
そう、ナツキが死んだ。自殺では無いが、限りなく自殺に近い死。ナツキは
「兄さんに呼ばれた気がしたんだ」
無意識に呼んでしまったのか?俺が。
「ご両親はとても後悔してた。幼い兄弟を引き離したことを。ナツキは最後まで私たちに心を開かなかったって。怖かったんだって。ナツキを引き取ってからしばらくして、やっぱりハルカもって考えたらしい。でも、ハルカが来たらナツキは頼ってくれないと思ったって。だから、引き取るのをやめたって。合わせることもしなかったのは、里心が付かないように。自分勝手だよな…」
とレイカが言う。
「分かってたさ。あの人たちは自分が一番可愛んだ。俺じゃ無い、親をしている自分に酔っていた。俺の幸せは兄さんといることだって分かってたのに。
わざと兄さんから遠ざけようとしてるのは知ってたから、だから分からないように兄さんを探した。で、同じ大学を目指したんだ」
まぁ元はと言えば俺たちを残して死んだ母親のせいだけどな。もっと言えば離婚したせいか。
何にせよ、もう時間は戻せない。だからせめて、今から存分にナツキと過ごしたい!新しく兄弟をやり直すんだ。
中途半端ですが、一旦ここで完結となります…
*読んでくださる皆さんにお願いです*
面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪
評価は任意ですが…もらえるととっても嬉しいです!
モチベーションになりますのでどうぞよろしくお願いします♪




