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転生したらもふもふだった まるんな前脚で頑張る!  作者: 綾瀬 律


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37.ミツキの成長

 ミツキはホワイトウルフの家族7頭と一緒に暮らしている。私もスカイとナイト連れている。

 ヒトハたちも魔獣だが契約はしていないし、完全に人としてそこに存在しているということにした。


 私はホワイトウルフの中の1頭に注目する。ミツキへの懐き方が尋常ではない。単に懐いてると言うよりは守っている?

 しかも明らかに他の子供たちに比べて知能が高い。そのことに私より先に気がついたのはハッチだ。


 さらにミツキだ。

 ホワイトウルフに付けた名前がとても気になったのだ。テッドとマーヤは別として、ルカ、リハ、イチ、そしてナツとフユ。


 明らかに日本語の気がする。しかもルカはハルカから、リハはルリハから、イチは一葉かずはの漢字からとったんじゃないかとそう思える。ならばやっぱりミツキはナツキなんじゃないだろうか。


 そしてナツキはやっぱりイチを特別に思っている。イチがカズハからとった名前なのであれば、彼はカズハなんじゃないだろうか。


 めったにミツキから離れないが、お風呂の時間はドアの前で待っている。だからその時にイチに話しかけてみた。


「君はカズハかい?私の友達にハルカとルリハって子がいるんだ。ハルカには弟がいてナツキって言うんだけど…君はナツキが今のミツキだって知っているんじゃないか?」

 うぅと唸るイチ。


「私はレイカだよ。カズハの名前を読み間違えて、ヒトハって呼んだあのレイカだ。私は転生したんだよ。ねぇカズハ、君がもし本当にカズハなら私の手に左前脚を乗せてくれないか?」


 チョンと私の手にホワイトウルフの左前脚が乗せられた。あぁやっぱりそうなのか、カズハも転生していたんだな。この話を聞いたらハルカはきっと喜ぶだろう。

 私は、ヒトハ、ハッチ、アンを呼んだ。


「どうした?」

「ハルカたちの、探していた人を見つけたよ!」

「ナツキか?」

「違うカズハの方だ」

「でもナツキも多分間違ない」

「ミツキか?」

「そうだ」

 どうしてわかったんだろう?


「似てるよな、ハルカにどことなく」

「あぁそうだなぁ、顔立ちとかそういうとこじゃないんだが…なんというか仕草が似ている」

「それな、俺も思ってた」

 そうだったのか。


『俺も話に混ぜろ』とはイチだ。

 それからカズハに向かってハルカ達と出会ったときのいきさつを話した。ミツキがハルカの弟のナツキだって知っていたのか?そう聞けばカズハはすぐにわかったとそう答えた。


 多分ナツキも俺のことをカズハだと思っているんじゃないだろうか。だから俺にイチと名付けた。とも。


 カズハにはハッチたちが実は魔獣で、人型になっていると言うことを伝えた。とても驚いていた。ならば俺も人型になれるのかと聞かれたが、ハッチたちが言うにはレベルが足りてないからまだまだ無理だと言うことだった。


「レベルが分かるのか?」

 私もそのことについてはとても疑問に思っていた。

「鑑定が使えるからもちろんわかるぞ」

 当たり前みたいにハッチが答えた。まじか!

 どうやらハルカたちは全員使えるらしい。もちろんヒトハもアンも使える。


「なぁ、明日は森に入るか?」

 ハッチが聞く。

「必要なら入るが?」

「合わせてやりたいんだ…ハルカに」

 カズハも

『俺も行く!ハルカとルリハに会いたい!』


 ミツキには言わないで森に向かうことにした。スカイやハッチたちがいれば大丈夫だ。というか、過剰戦力だ。

 護衛として推薦したら

「子供とは言え手加減しないぞ」

 と領軍の隊長が相手をした。


 瞬殺だった。もちろん、ハッチが勝った。当たり前だ、ハッチはすでにレベル35、人にしたらSランク相当なのだから。




 風呂から上がったミツキにカズハが戯れつく。毛が抜けないと思っていたが、違うな。浄化で常にきれいにしてるんだ。カズハもなかなかチートだな。


 翌日、伯爵には私とスカイ、ハッチが同行するからと森に入ることを認めてもらった。もちろん、ヒトハもアンも同行する。彼らも十分強い。万が一にもケガをさせるような事はないだろう。


 ミツキには訓練とだけ伝えた。

 ホワイトウルフはテッドとイチだけ参加した。しばらく森を進むと、ハルカとルリハとスパの魔力を感じた。もちろん、人型で。


 彼らはあれからなるべく人型のまま過ごした。住む場所も自分たちの巣穴を壊さないよう、離れた場所に作って。

 時々はルクレツィアの森で会っていた。ハルカはいつでもルリハと共にいた。

 今はまだまだ視認できないほど遠い距離にいる。


 するとカズハが猛然と走り始めた。慌てて追いかける。遥かに先でイチに気がついたハルカとルリハが腕を広げてカズハを受け止めた。


「カズハ!」

『ハルカ、ルリハ!』


 そのままルリハは号泣し、ハルカも泣いていた。カズハは狼だから涙は流していないが、鳴いている。

 しばらく抱き合ってからポツリとハルカが呟いた。 

「カズハも来てしまったんだな…」

『ルリハ、元気か?ハルカと一緒だったんだな』


 なんとなく言ってる事はわかっても会話自体は成立しない。するとルリハがネズミに戻った。ハルカもうさぎになる。


『カズハ、これなら話ができるな』

『ルリハは白ネズミだったのか?』

『進化したから白魔ネズミだ』

『カズハはまだ人型にはなれないな』

『レベルが低いからか?』

『そうだ少なくとも25位にはならないと』

『今のレベルがわからないぞ』

『鑑定は使えないのか』

『使えるのか?』

『使おうと思ったらすぐに入るスキルだぞ』


「カズハ!」

 ようやくミツキがスカイやハッチたちと追いついて来た。ミツキが足を止める。うさぎのまま見上げたハルカはミツキを見た。ミツキもうさぎのハルカを見る。


「ハル兄さん…?」

『ナツキか?』

 ハルカはナツキの名前を呼んだ。呼ばれたミツキは目を潤ませて迷いなくハルカに駆け寄って胸に抱きしめた。


「ハル兄!」

『ナツキ…本当にナツキなんだな?』

 前脚でナツキの頬をテシテシする。


「そうだよ、ハル兄。ナツキだよ…やっと会えた。うぅ、兄ちゃん。なんで先に死んじゃったんだよぉ…うぅ、ぐすっ…兄ちゃん。それに、こんな可愛いらしいうさぎで…ぐすっ。今度は僕が守るから…」

 ナツキは愛おしそうにハルカの頭を撫でる。いや、全身撫でて頬ずりした。


『ごめんな、兄ちゃん安心してしまったんだ。ナツキが立派になって、俺に会いに来てくれて。でもな、兄ちゃん、ナツキにあっても恥ずかしくないように、頑張って強くなったんだぞ!』


 隣でネズミのルリハが盛大に涙を流していた。カズハは…やっぱり目を潤ませている。

 で、さっきの鑑定の話のつづきだ。


『鑑定は使えないのか』

『使えるのか?』

『使おうと思ったらすぐに入るスキルだぞ』

 マジか?そんな話ハッチからも聞いてないぞ。

「言ってないないからな」

 ガクッとした。


 その後ルリハから手ほどきを受けたカズハは、無事に鑑定のスキルが生えたようだ。

「私も鑑定が使えるようになりたいんだが?」

『使いたいと信じればいいさ』

 またそれなのか。


 使えないのが当たり前だとどこかで考えていたから使えなかったのかもしれない。

 私は鑑定が使える、そう信じて鑑定を使いたい鑑定を使いたいと念じてみた。そして使えた。まじか…



 それによると現在のカズハのレベルは5。まだまだ先は長そうだ。

 でもやっぱりカズハも人型になりたかったし、ハルカたちもそうしてほしいと願った。

 ミツキもイチがカズハだと改めて分かったことで人型になって欲しいと考えた。


 そのためホワイトウルフの子供たちはハルカがルクレツィアの森で育てることにした。望めば全員が人型になれる位までレベルを上げてくれるそうだ。


 ホワイトウルフのテッドとマーヤのほうはハッチたちがレベル上げを手伝うことにした。



 貴族の子供たちはやがて貴族学院に通うことになる。だから人型になれれば一緒に学院に通える。ハッチとヒトハとアンは子爵家の養子としたが、ハルカとルリハについてはまたお父様に相談しようと思う。


 なぜならその2人のスキルは特に有用で実家の伯爵家にとっても良いことしかないし、何よりもミツキと心が兄弟なわけだから、辺境伯爵家同士の結びつきと考えても非常に有用だからだ。


 鑑定で見えたハルカのレベルとスキルはとにかく凄かった。しかも人型の耳にはピアスが嵌っている。凄く濃い魔力を感じるのだ。

 胸元からも濃厚な魔力。


「これは龍玉だな。カゲツの魔力を溜め込んだものだ」

 僕はひっくり返りそうになった。龍玉?マジか。

 人型に戻ったハルカにミツキは心なしか残念そうだった。うさぎはモフいからな。


 それでもハルカにベッタリだ。

「兄ちゃん、それカッコいい」

「ん?これか。ナツキの分を作るか」

 なにやら唸るとコロンと手にカットされた石があった。キラキラしている。


「うわぁ、凄い!」

 目をキラキラさせて喜ぶナツキ。

 器用に金具を付けると

「耳に付けるか?」

「うん!」

「穴開けるんだぞ?」

「兄ちゃんとお揃いがいい」

「分かった」


 ハルカの手に魔力が集まる。なるほどなぁ。まったく過保護だ。

 ナツキの耳に穴を開けてピアスを嵌める。

「痛くないか?」

「大丈夫。もしかして治癒魔法?」

「そうだぞ!」

 嬉しそうに耳を触ってハルカにぐりぐりと抱き付く。幼児は可愛い。


 龍玉は、カゲツが不安になって探すので試行錯誤して魔力玉を作ったハルカたち。それを真似たカゲツが小さな龍玉を作ったのだ。嬉々としてハルカとルリハに贈ったのだとか。


 僕は卒倒しそうになった。龍玉…そんな凄いものが剥き出しで?しかしハルカとルリハの魔力を込めたと言う魔力玉も小さいながらも相当なものだった。しかも繊細なカットが施されている。


 こうして、転生したと思われる仲間たちがみんな顔を揃えることができた。




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