34.町に帰る
僕はその日、驚きの連続だった。
まずはスカイ。人型になった。なれるなんて知らなかったんだ。人型になったスカイは裸で、とても立派な体をしていた。
するとスカイがうさぎを持ち上げて額を合わせた。何か会話をしている。そしてウサギが人型になった。まだ小さな子供だ。
そしてもう片方のうさぎと白ねずみも人型になった。やっぱりまだ小さな子供だ。
そして後ろで控えていたミツバチと蜘蛛とアリも人型になっていた。みんな同じ位の歳だろうか。まだ小さくて可愛らしい。
ふと空が陰った。見上げるとドラゴン?急降下してスカイと人型になったウサギたちの間に着地した。
唸って威嚇する。
するとウサギの人型がドラゴンの前に立って何やら話をしている。
そして空中を翔けて、ドラゴンの前に浮いた。
はっ?
なんで空を歩ける?なんで空中にとどまれる??
何やら額を合わせた後、消えた。いつの間にか地上にいる。はっ?
その後ドラゴンが小さな子供になった。また2歳位だろうか?ぷくぷくとしてとても可愛らしい。
そして元うさぎの人型に向かってパパと呼んだ。
振り返ったうさぎの人型が名付け親だと言った。それはまぁ、うさぎからドラゴンは生まれないだろう。
その後で衝撃的な話を聞いた。なんと、白いうさぎの片方はハルカで、ネズミはルリハだったんだ。彼らも転生したらしい。それにしても俺より先に死んでいたはずなのに、転生したのはかなり遅かったんだなぁ。
でもなんだかとても嬉しかった。だってもう片方の雪うさぎにつけられた名前は、俺がカズハの名前を間違えて読んだヒトハと言う名前だったから。
俺は目の前の裸で立っているスカイに着ていたロープを手渡そうとした。
不思議そうな顔するスカイ。確かに普段は裸なわけなので違和感があるのかもしれないが、今は人型なので服を着て欲しい。
立派な下半身が色々と見えてしまって目のやり場に困るからだ。鍛えられた腹筋やしっかりとした太ももたくましい二の腕、そしてとても立派な男性の象徴も全部見えてしまうから。
人型になったドラゴンはなぜか首元にだけ覆う布をしてて裸だった。服を着ていないのだから当たり前だが。ハルカがどこかから布を出して簡単に着られる服を作っていた。うまいものだ。
そしてローブを羽織ったスカイを見て、またどこかから布を取り出した。何かするのかと思ったけど、腕にはドラゴンの赤ちゃんがしがみついている。
すると布が勝手にカットされ縫製されていく。
なんでだ?
理屈はわからないが服を作っているのだけはわかった。
ご丁寧に下着まである。その脇で何やらアリと蜘蛛がやっぱりどこかから皮を出してブーツを作っていた。
早い上にうまい。
それらはスカイのために使ったもので、スカイはローブを脱いだ。
するとハルカとルリハがかいがいしく世話をして、服を着せてくれた。冒険者風の服を着たスカイはとてもかっこよかった。
知りたいことや聞きたい事はたくさんあるけれど、今後のことを話し合おうと言うことになった。そして、雪うさぎのヒトハ、魔ハチのハッチ、そして軍隊アリのアンが僕と一緒に来ることになった。
彼らはどうやってかわからないが、連絡出来ると言う。そしてルリハの眷属であるネズミやアンの仲間であるアリたちもついてくることになった。何かあっても直接連絡が取れるらしい。
スカイが狼の姿に戻った。その際に服は一緒に縮んだけれど靴だけはそこに置きっぱなしになっていた。
ハルカが靴は亜空間にしまえば良いと言うと、消えた。
と思ったら亜空間に収納したと言うではないか。
ってかスカイは亜空間が使えるのか?そんなことすら僕は知らなかったんだ。
ハルカに使い方を教えてくれと言ったら、使いたいと思え!と言われた。思わずはい?と言ったら以上だと言われたので、亜空間を使いたい亜空間を使いたい亜空間を使いたいと念じた。そしたら使えた。まぢか。
思わずハルカに抱きつこうとしたら、ハルカの腕の中にはドラゴンの子供がいて、だから隣にいるルリハに抱きついた。まだ小さなルリハはぷくぷくして暖かかった。
こうして、まだ小さなヒトハ、ハッチ、アンをスカイの背中に乗せて屋敷に帰った。その後はちょっとした騒動になった。突然僕が3人の幼い子供を連れて帰ったからね。
「彼らは魔獣だよ?」
そう、結局…契約はしなかった。というか、出来なかった。なぜなら、彼らはすでにハルカと、ヒトハはルリハと契約済みだったから。
スカイに聞いても
『レベルが高すぎて契約出来ないんだな』
と言われた。契約者のハルカもルリハも僕よりかなりレベルが高いから、無理らしい。
契約しているかどうかは本人自身と鑑定が無ければわからない。スカイ曰く、彼らのレベルだと並の鑑定では弾かれるだろうと。
「そんなにレベルが高いの?」
『人に換算したら英雄クラスだろうな』
うわぁ、マジか…。その頃の僕はテイマーとして冒険者ギルドに登録していた。レベルは25で、ランクはC、スカイとナイトのお陰だ。それでも、それこそがテイマーの真骨頂。年齢の割にはレベルが高いと言われていたけど?
ヒトハは
「俺はレベル23だ」
あれ、僕と変わらないじゃないか。ハッチとアンはレベル21。確かにうさぎ、ハチ、アリ。その彼らが僕と同じレベルならそれなりに凄いのか。
『ふはっはっ。魔獣のレベルは人に換算すると4倍だ』
なんて?4倍!じゃあ彼らはレベル100近いんじゃないか。それは人に換算すればAランクだ。どおりでスカイが強いと言うわけだ。
ちなみにスカイはと聞けば、レベルは80だそうだ。人に換算したら320、Sランクも真っ青じゃないか。全く敵わないわけだ。
で家族にその話をして、契約はできなかったけれど彼らは人型になれるほどのレベルの高い魔獣なんだと説明をした。魔獣なのは元の姿になって理解されたが、いかんせん小さい。
さすがの家族もすぐには信じてくれなかったが、ルクレツィアの森とは別の方向で魔獣が散見されたので、彼らと父様とお兄様と共に向かった。
圧倒的だった。人型になっているからレベルが下がっていると言っていたが、遠隔から魔法操作だけでザックザックと魔獣を切り倒していた。しかも怪我をした人たちには的確に治癒魔法まで施していた。
さらに女性や子供たちには結界魔法まで。
仕留めた魔獣はアンとどこからかやってきたスパの眷属たちがさっさと解体してくれた。血の匂いすら残っていない。
さすがにこれを見た父様と兄様は信じざるを得なかった。人にしてはあまりにも強すぎる。だって見た目は4歳児なのだから。
こうして彼らは人間として不自然にならないようにに暮らすことを少しずつ覚えることになった。
ハルカが探しているナツキがどこかにいるかもしれないから。
彼らの力もあり、僕は貴族学院に通いながら腕を上げた。そして2年たった。
僕は若干15才にしてSランクにまで冒険者の級が上がった。契約をしていないからヒトハたちの討伐した経験値は入らないが、それでも彼らの協力があり魔法の使い方が飛躍的に向上したのだ。
どうやらハルカとルリハが色々と試行錯誤して開発した魔力や魔法の使い方が、画期的だった事も大きく影響した。そして、スカイと同じホワイトウルフの毛皮が王都で人気になっていると聞き、ルクレツィアの森の続きにある北の森に向かった。そこも広義ではルクレツィアの森だ。
スカイが
『嫌な予感がする』
と言ったから。そこで、衝撃的な事件が起きた。ホワイトウルフに5才の子が連れ去られたのだ。
無事にその子を見つけ、ホワイトウルフも保護出来た。そして僕はミツキと言う名の子と出会う。辺境伯爵家の三男だ。
ミツキ…人型になったハルカに何処となく似ている。冷静に比べたらそこまで似てはいないんだが、うまく言えないがやっぱり似ている。
金色の髪の毛に青い目のミツキ、ハルカは白と言うよりは白銀の髪に薄い紫の目だ。色も違うし顔立ちだってやっぱり似ているわけじゃないが、なんというか仕草というかそういったところが似ている、そう感じた。
だから伯爵の家庭教師にならないかと言う提案をすぐに受けた。貴族学院のほうはしばらく休学になりそうだが、ハルカが探しているナツキがもしこのミツキなら。そう考えたら学院に行くのは後でもいいとそう思えた。
そしてミツキの従者としてヒトハ、アン、護衛としてハッチを推薦した。ヒトハたちは今ちょうど人間にすると6歳位。
この先何かあった時もミツキのそばで彼を守れる。ヒトハ、ハッチ、アンは遠縁の子爵家に養子として登録したから、彼らも貴族として、必要な知識を身に付ける良い機会になるだろう。何よりミツキの友達になって欲しいそう思った。
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