33.ヒトハとレイカ
そこにいたのはまだ少年。
そして何故か懐かしい匂いがした。
少年は俺たちを見て驚いて
「えっ?みんな…」
違うぞ!あたふたした様子もなんだか懐かしいな。
『ようやく会えたな。俺はスカイ。ホワイトウルフだ』
おぉー白いもふもふだ!俺よりもふい。くっ胸毛にダイブしたいが、今はダメだ。
ルリハは
『ホワイトウルフ!』
前脚を合わせて感動していた。
『ヒトハだ!』
『ハルカ』
『ルリハ!』
『そうか、空の上のはナイトだな』
見上げるとオオワシがいた。
ちなみにこの会話は少年には聞こえていない。
『契約するのはお前か?』
スカイがヒトハを見る。頷くヒトハ。
『人型になりたい!』
『なるほど…レベルはかなり高いな』
『死ぬ思いをしたからな!』
『ふっ、そうか。ならばコヤツのそばにいればいい。人型になれるか?』
『いや、まだだ。レベルは大丈夫か?』
スカイは俺たちを見る。いつのまにかハッチにスパ、アンもいる。
『こうすれば良い…』
シュラン
光るとそこには白い髪の立派な大人の人がいた。もっとも、裸だが。
スカイは目を丸くして腰の付近を見ている少年を無視してヒトハに近付いた。持ち上げて額を合わせる。
「やってみろ」
『おう!』
シャラン
ヒトハが白色の髪に水色の目の子供になった。服は…うさぎの時に来てたから大丈夫、裸じゃない。
スカイがルリハと俺も持ち上げて額を合わせる。
なるほど。ルリハと顔を見合わせると頷いた。そして
シャラン
目線が高い。出来たのか?!
ルリハを見る。手を握ったり開いたりしている。
「凄え…ハルカ、来たぞ!」
「あぁ、ルリハ…やっと、だな」
白い柔らかそうな髪に黒い潤んだような目。ほぼ同じ目線のルリハはもうクセになっている俺の胸にダイブした。今は人型だが、思いの外キモく無かった。その柔らかそうな髪を撫でる。見た目通り柔らかかった。
「出来たな!」
スカイに頷くとハッチには俺が、スパにはルリハが、そしてアンにはヒトハが額を合わせた。
シャラン
光が収まると、そこには金色の髪に金色の目のハッチ、白い髪に青い目のスパ、黒い髪に黒い目のアンがいた。ハッチは俺よりも大きく、スパとアンは少し小さい。
見た目的には4才とかぐらい?まだほんの子供だ。まぁ俺がやっと生後1年。4倍早く年をとるとしても、4才だ。
ハッチもスパもアンも手を握ったり開いたりしてから
「ヤッタ!」
「来たぞ!」
「凄え!」
まだまだ子供だがな。
空が翳った。
バサッ
カゲツが俺たちとスカイの間に着地すると、翼を広げて威嚇した。
『ぎゃー!』
俺はカゲツの前に回り込み
「カゲツ、見ろ!人型になれたぞ!!」
俺を見たカゲツは頭を下げて
『パパ、凄い!』
良かった。気をそらせた。
「カゲツも出来るんじゃないか?」
そう、カゲツはまだまだ赤ちゃんだが、すでにレベルは俺を超えている。
『なるー』
空間魔法で階段を出してカゲツの顔の前に立つ。額を合わせると
『分かったよー!』
俺は地上に転移した。
カゲツは目を瞑ると…
シャラン
おぉーちったいぞ!よちよちだ。脇に手を入れて抱き上げる。黒の髪に金色の目の、ぷくぷくした可愛い子だ。
「パパ!」
「凄いぞ、カゲツ!」
嬉しそうに頭を俺の胸にぐりぐりする。
「レベルがどうなってるか確認しよう」
「あい!」
ぐっ可愛いぞ。まだ2才くらいのカゲツ。能力は…
名前 カゲツ
種族 ドラゴン
体力 680(800)
魔力 700(850)
知力 600(520)
その他の魔法なんかは変わりがない。例え人型になっても火魔法はレベル10でカンストしているままだ。
「体力と魔力は下がってるが知力は上がってるな。他のは違いがない」
「飛べるのか?」
ルリハが横から聞く。カゲツは俺に抱き付いたまま飛んだ。俺ごとだ。
どうやら飛べるみたいだ。
「飛べるよー!」
「ま、待って待って…えっ?ドラゴン」
あ、こいつを忘れてた。
「カゲツだ。名付け親だな、俺は」
口をポカンと開けて呆けている。そういや、コイツの名前を聞いてないぞ。
「お前の名前は?俺はハッチだ」
同じことに気が付いたハッチが聞く。
あっという顔をして
「レイカだよ!」
レイカ、なんかドジっ子を地でいく感じ、懐かしい匂い。ルリハと目を合わせる。
「「カズハをヒトハって呼んだあのレイカか!」」
目を零れ落ちそうなくらい開くと
「ハルカだ」
「ルリハだ」
「えっ、えっ…あのハルカとルリハ?いつもカズハと3人でいた?」
「だな」
「おう」
「えぇーーー!」
だよな?まさか俺とルリハに次いでコイツまで転生とはな。しかし、随分早く転生したんだな。13才くらいか?
ひとまず、あのレイカなら安心だ。悪意とは対極にある奴だからな。
それから今後のことを話し合った。
俺は人型に慣れる為、まだ森から出るつもりはない。カゲツの事もあるしな。俺がそう考えたことはルリハも気が付いている。
結果、ヒトハとハッチとアンがレイカと共に人里で暮らすことにした。契約はしないで、人型のまま。
アンがいれば連絡はいつでもアリたちが伝えてくれるからな。ルリハの眷属たちとスパの眷属もついて行く。しかも、俺らは遠くに居ても、会話が出来るからな。
「あの、スカイ…これ来て」
レイカが自分が着ていたローブを渡そうとする。スカイは人型、だから裸のままで首を傾げる。
「別にいらんが?」
どうやら目のやり場に困っているようだ。スカイには立派な男の象徴が付いていたから。
ルリハやヒトハは単に凄え、としか思わなかったがレイカは困っているようだ。
俺らは獣仲間だからか、気にはならないな。
とは言え、困らせたいわけでは無かったのか、素直に羽織った。
「裸のにローブの方が背徳感あるよな?」
ルリハ、言ってやるな、テンパってるぞ!
俺は人型になってほぼ裸だった(首元にスカーフと耳に俺とルリハの魔力玉ピアス)カゲツに、スパの布で簡単に服を作って着せた。下着はふんどし風にして。
スパの布はまだまだ沢山ある。スカイの為にシャツとズボンを作るか。なんせ手があるからな。
俺はポーチから布を取り出すと風魔法でカットして、後はマジックハンドで簡単に縫った。下着もだぞ!
手があっても使わなかったな。てへっ。
「スカイ、レイカが困ってるから…服作ったぞ」
俺がマジックハンドでサクサク服を作るのをえぇーとかマジィとか言いながらレイカは見ていたのだ。
「そうか、ならば」
ローブを脱いでまた裸になったから、下着を履かせシャツを着せズボンを履かせた。
靴はスパとアンの仲間たちがジャイアントトードの皮でサクッと作っていた。足首までのブーツだな。
ローブはレイカに返していた。
獣に戻っても服は体にフィットするようにしてある。靴だけは脱いで亜空間に収納だな。そう伝えたらちゃんと収納していた。
レイカは何故か驚いている。
「スカイ、どこにしまったの?」
『亜空間だが?』
「えっ…まじで?!」
知らなかったらしい。
「使えると便利だぞ?」
ぐりんとこちらを振り返る。
「ハルカ、教えてくれ!」
顔が近いわ!
「使いたいと思え、以上だ」
「はっ?」
それが全てだぞ!
うんうん唸っていたが
「あっ…出来た!」
手に持っていたローブが消えたり出たりした。
「ほらな?」
レイカは固まった後、カゲツを抱っこしている俺に抱きつこうとして無理だと思ったらしく、何故かルリハを抱きしめていた。
ルリハは大人しく抱っこされている。ネズミだったから抱っこには慣れてるんだろう。
「ありがとう!」
やっとルリハを解放したレイカは
「ハルカたちはやっぱりなんて言うか…不思議だよなぁ」
とそんなことがあって、俺たちは念願の人型を手に入れたのだった。
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