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転生したらもふもふだった まるんな前脚で頑張る!  作者: 綾瀬 律


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30.ヒトハと冬籠り

 俺たちはヒトハを仲間にして冬籠りを始めた。籠ると言っても巣は繋がっている。体を小さくしたらあちらこちらに地中で行ける。


 ヒトハはまだまだ弱いから、巣の近くでチョロチョロしながら腕を上げた。川には魚が泳いでいるし、2足歩行の魔獣は眠らない。ゴブリンはレベル上げに必須だ。


 アンが地中に控えスパが結界を張り、俺とルリハが近くで見守る。

 ヒトハは最弱で、レベルも1で弱かったが冬の準備を終えた巣を追われたのがよほど悔しかったのか。

 とても頑張ってレベルを上げた。


 そして浄化、風魔法、土魔法、空間魔法などを取得、強化してメキメキ腕を上げた。

 最適なレベルのあげ方を知ってるからな!俺よりも年上で体も少し大きかったのも良かった。

 そして、冬が終わる頃には結構なレベルになった。



 ヒトハ

 種族 白魔うさぎ

 年齢 10ヶ月

 レベル20

 体力400

 魔力320

 知力420

 魔法

 風魔法レベル5 治癒魔法レベル4 土魔法レベル1 空間魔法レベル3

 従魔契約者 ルリハ

 仲間 ハルカ、ハッチ、スパ、アン


 やっぱり赤ちゃんだった俺より成長が早かった。


 俺は生後6か月になり、ルリハとの魔法による試行錯誤の成果か…レベルが30、知力は700迄上がった。ルリハもレベルが25、知力は620。すでに小動物ではあり得ないくらいレベルが上がった。因みにヒトハも鑑定が使えるようになった。


 カゲツはぐんと大きくなり、すでに1mある。見上げるサイズだ。まだほんの2ヶ月。そして、しきりに翼を動かす。飛びたいんだろう。冬が終われば巣立つと言っていた。親元を離れて俺たちと暮らすのだろうか?

 でもな、俺たちの巣は土の中だし狭い。どうするんだろうな。他人事のように考えていた。


 ぬくい日が続くようになった。ようやく冬が終わる。生後5ヶ月目から冬が始まり生後7ヶ月になる頃に春が来た。ルリハは俺より2ヶ月早く生まれている。ヒトハは4ヶ月早く生まれている。そしてカゲツは生後3ヶ月だ。

 ドラゴン族の冬ごもりが終わったので、巣を出て俺たちと合流することになった。


 合流するのはいいんだがどこに住むんだろう?


 なんてことだ、聞かなければよかった。いやその前に安請け合いしなければよかったのか。まさかこんなことになるとは。ルリハもそれを聞いて青ざめていた。

 だよな?任せろって言ってたもんな。

 しかし言ってしまったからには仕方がない。これも運命だと思って諦めよう。


 既にこの森ではそれなりの強さになってしまったからな。外に出ないとこれ以上のレベル上げは無理だろう。

 ハッチやスパ、そしてアンは俺たちについてくると言った。彼らの目標も俺と同じで人化だ。


 俺はレベル30を超えて、ルリハも25、ハッチたちもそれなりに頑張って、小さいながらもレベルが20を突破した。それはきっと凄いことなんだろう。

 でもせっかくの仲間だ、どうせならみんなで人化したいじゃないか。


 ハッチたちは後輩に業務の引き継ぎを行って、今まで集めたたくさんの羊毛やら布やら諸々を亜空間に詰め込んだ。

 ここらでたくさん取れる薬草も。


 実は治癒魔法だけだと使う相手がそばにいなかったら治療ができない。当たり前の話だが。それならばと薬を作ることにした。

 薬草ならこの森にはたくさん生えている。他の森に生えているのかわからないから、若葉が生える頃にたくさん収穫をして、この森をカゲツと一緒に出ることに決めた。


 うさぎに転生したと知ってから約6ヶ月。何度も何度も死にかけて、頑張ってレベルを上げた。最底辺最弱な獣なのに、ここまで生き残れた。


 俺たちにはたくさんの仲間がいる。これからも一緒に切磋琢磨してレベルを上げていきたい。

 それになんて言ったって、ドラゴンの子供が一緒だ。彼と一緒にいればレベルもまた上がるかもしれない。

 新たな旅がまた始まる。



 こうして飛べるようになってさらに成長したカゲツの背中に乗って進む。進む先はヒトハが住んでいた場所。

『結構遠かった…』

 どうやらイタチに追われて逃げて、うさぎ的にはかなり移動したようだ。

 ちょうどドラゴンの巣とは反対方向だ。縄張りの中で、と言われるてからちょうど良さそうだしな。


 カゲツの背中に乗って3時間ほど、自力で移動したら数日の距離を移動した。そこはルクレツィアの森の端っこだった。思ったより広い。森の覇者になった気持ちでいたが、まだまだだったな。



 そして、ここに足を踏み入れたことで…俺たちの運命が大きく動くのだった。




 ヒトハの元巣穴に向かって進む。

 いた…イタチだ。しかもベビーもいる。子育て中ならさらに獰猛になってるだろう。どうするヒトハ。

 子供に罪は無いかもしれないけど成長したら俺たちの脅威にしかならない。


 だよな?

『やるか?』

『俺にやらせてくれ!』

 ルリハと俺はうなずいた。


 うさぎ生的には既にヒトハも充分に強い。君ならやれる!



 ズバンッ


 あやまたず首を落とした。

『お見事だな』

『呆気なかった…』

 ポツリと一葉がつぶやく。

『巣の中に入ってみようぜ!』

 ルリハが元気に言う。そうだなとヒトハが答えて、巣の中に入っていった。


 中はかなり荒れていた。どうやら無理矢理入り口を広げて、子育てをしていたようだ。

 まだ小さな子供は穴に入れるからな。

 がっくりした顔のヒトハ。それでも仕方ない。奴らはちゃんと保管したから、毛皮でカーペットでも作ればいい。


『俺はこの巣穴を中心にしばらく過ごしたいと思う』 『わかったぞ』

 さて俺たちはどうするか。カゲツが暮らせる場所をまずは探さないといけない。やっぱり洞窟だろうなぁ。


『カゲツ巣穴を探そう』

『うんパパ』

 カゲツが低いところを飛びながら巣穴になりそうな洞窟を探す。


『あ、あそこ!』

 どうやら候補が見つかったようだ。近づいてみると、入り口はそんなに広くないが、中はそれなりに広い空間があった。


 他の獣が住み着いている様子もない。

『どうだ?』

『うん、いい感じ』

 歩き回って確認していたカゲツから返事があった。

 さて俺たちはどうするか。


『パパたちも近くにいて欲しい』

 だよな、まだ赤ちゃんだからな。

『ならこの洞窟から地下に入るように巣穴を作ったらいいんじゃないか』

 それも良さそうだ。ヒトハの巣穴からはそこまで遠くなかったから。


 ハッチもスパもアンも、俺たちの近くでそれぞれの巣を作ることにした。もっともハッチの場合は俺たちの巣穴と一緒だが。

 こうしてそれぞれが過ごしやすい巣を確保するためにしばらくは活動していた。


 何せみんな空間魔法が使えるから、必要なものは空間に振り込んできていた。食べ物は困らないし水は例の湖から手に入れた命の水が飲めるし。


 しかも、ハッチ、スパ、アンたちはここらの同族をちゃっかり眷属にしていた。明らかに強者だからな。彼らも眷属がいれば出来ることも増える。数は力だ。もちろん、ルリハはここのネズミたちにもリスペクトされていた。俺…?


 ぼっちだ。いや、ヒトハがいるな。うんうん、決してぼっちじゃないぞ。


 なので寝る場所が整えられたら、周囲の散策に向かうことにした。食べ物のストックがあるとは言え、やっぱりここでも食べ物を取らないといけない。いつか人型になったら、薬草なんか売れるかもしれないし。


 できる事は何でもするぞ!

 そう決めてまた各自で動いた。とはいえ、俺以外は眷属たちから情報を集めていたが。決してぼっちじゃないぞ。


 この辺はルクレツィアの森だから、多少の違いはあるけれど生態系や生息しているものには大きな違いがなかった。だからそれなりに貴重だと思われる薬草もたくさん取れた。

 ただここは、ルクレツィアの森の中でも比較的街に近い場所だ。だから人に会わないようには充分気をつけた。


 まだ赤ちゃんのドラゴンなんて人に見つかったら大変だからな!

 こうして春が過ぎまた夏がやってきた。俺がこの世界に転生したと自覚してから1年が経っていた。





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