27.冬の到来と新しい仲間
『助かった…お前たちは命の恩人だ』
『同族だからな』
『お前は魔うさぎか?俺はただの雪うさぎだ…最弱なんだ』
しょんぼりする。
『俺だって死にかけて、願って進化した。お前も出来る!思いは力だ』
ルリハが力説する。
ソイツは顔を上げて多分、笑った。
この出会いが大きく運命を変えることになると、その時の俺たちはまだ知らなかった。
『そうなのか?俺、頑張るぞ!』
気が付かないフリをしていたが…オスか。繁殖は無理だな。もふいとみんなメスに見える謎。
『俺はルリハ!』
『俺はハルカだ!』
『…名前、いいなぁ…』
ルリハと顔を見合わせる。ただの獣に名前なんて無い。ハッチもスパもアンも俺が名付けたんだからな。
ルリハが俺を見る。
『名前を付ければいい』
『えっ…?そんな2人みたいに素敵な名前、思いつかない』
素敵かどうかは知らん。散々「男なのに女子ー」って揶揄われたからな。
チラチラと俺を見るうさぎ。ルリハを見れば潤んだような黒目で前脚を合わせて俺を見ていた。
『ハルカ!』
また俺かよ!
『たまにはルリハが付けろよ』
しょぼんとヒゲが下がる。
そして2人同時に
『『あっ!』』
と言った。人じゃ無いから2人じゃ無いんだがそれは誤差ってことで。
『『ヒトハ!』』
だな。
『ヒトハ…カッコいい!ありがとう。俺はヒトハだぞ!』
ピカン
光ったな?
ヒトハ
種族 白魔うさぎ
年齢 8ヶ月
レベル1
体力100
魔力50
知力100
魔法
風魔法レベル1 治癒魔法レベル1
従魔契約者 ルリハ
仲間 ハルカ
おっ情報来たな。やっぱりレベル1か。まぁ仕方ないだろう。風魔法と治癒魔法があるな…走りながらケガしてここまで辿り着いたんだな。
『俺の契約者だ!』
『?』
『ヒトハは俺と従魔契約を結んだんだ!』
『えっそうなの?』
『そうなってるぞ!それから風魔法と治癒魔力のレベルが1だ。使えばドンドン上がるぞ』
『えぇーーー!』
凄く驚いてた。
『でも、住む場所もないよ…』
またしょぼぼんと俯いてしまった。だよな?冬籠の準備が全てパアになったんだから。
ルリハがヒトハの胸毛に抱き付くと
『俺っちの契約者だからな!俺が世話してやる』
嬉しそうだ。まぁルリハはたくさんの眷属を養ってるからな。食べ物もハッチが持って来た種を育成して、温室で育てている。
大好物の人参もあるぞ!1うさぎくらい食い扶持が増えても問題ない。
『いいのか?何も出来ないぞ…』
『いいんだ!もちろん。でも手伝えることは手伝ってもらうぞ?』
『も、もちろんだ!改めてよろしくだぞ』
こうしてヒトハが仲間になった。俺はさりげなくヒトハの胸毛に頭を擦り付けた。うほっ、良き…もふもふ良き!ルリハも参戦した。えへへっ。
俺の胸毛もこんな感じかと感心した。良きもふもふだった。キリッ
ヒトハは嫌がることなく俺たちを前脚でポンポンしていた。俺よりお兄ちゃんだからな。
その日はマイルームで寄り添って寝た。ふかふかのベッドに毛布。ヒトハが感動していたぞ!
そうそう、なぜヒトハか。
小学生の頃、一葉の名前を読みまちがえた奴がいたからだ。名前は…忘れた。なんか女っぽい名前のやろーだったと思う。
「カズハ」を「ヒトハ」と読んだんだ。それをルリハも俺も思い出した。懐かしいなぁ。アイツ元気かなぁ。
際限なく運の悪い奴で…何をしても何かが起きてた。
なのに不思議と俺たちのことも差別しなかったしな、金持ちだったのに。
で、冬の使者が来てからは早かった。空気がドンドン冷たくなって…やがて本格的な冬が来た。
*****
僕はルリハに怒られてハルカに後ろ脚で転移陣に土をかけられて、傷心で屋敷に帰った。
ベッドに倒れ込む。ふかふかの毛布はスパの仲間が作ってくれた。涙が溢れた。もう終わりなの…?
ひとしきり泣いて、僕は考えた。僕に出来ることは何かって。で、ガビルさんに会いに行った。
『どうした?この世の終わりみたいな顔して』
『うん…友達が、またいなくなって…ぐすっ…』
鼻息が頭にかかる。
『ふはっはっ、青いな!なぜ彼らが怒ったか分かってないだろ?』
『母様が…』
『違うぞ!』
えっ?
『誰の友達だ?誰が守ってやるべきだった?』
あ…そうか。僕は結局、見捨てたんだ。彼らより母様に怒られないことを優先した。
そうなのか…
『分かったか?あ奴らもバカではない。お前がどうしたいのか、自分で考えろ!』
そうか、なら僕の出来ることは…。うん、決めた!
『ガビルさん、冬の間…鍛えて欲しい』
『ふっ良き顔だ!』
ハルカたちはアベルがガビルたちの巣穴にいることを聞かされず、遊びに行っていた。
カゲツには分からない場所でアベルはレベルを上げ、練習を積んだ。
冬はドラゴンたちにとって活動が鈍る。動けなくはないが、変温動物であるドラゴン。
動くのにいつもより体力も魔力も使う。
だから適度にアベルをあしらっていた。
そのお陰でいい感じにアベルも強くなれた。死ぬような思いをすることもなく、だ。
そんなことは知らないハルカたちだが、魔力の残滓でアベルが出入りしていることは分かっていた。
分かっていたが、敢えて何も言わなかった。
ハルカもルリハも無意識にだが「友達」はいらないと思っていたのだ。欲しいのは一緒に生きてくれる仲間。
友達じゃない。最弱の彼らには仲良しこよしの友達より、共に生き抜いていける仲間が必要だから。
ステータス画面から友達が消えたのはアベルを嫌ったからではなく、本当の意味で仲間になりたいと思ったから。
ルリハのステータス画面には友達ではなく仲間が出来て、ハッチやスパ、アンがそこに記載された。
それを知らないアベルはただ愚直に訓練した。また一緒にご飯を食べて眠って…仲良くしたいと思っていたから。
ハルカたちはアベルが色々考えてガビルたちの所にいっているだろうことに気が付いていたから、そっとしておいたのだ。
実際に冬ごもりの準備や子育てで忙しかったのもあって。
こうしてそれぞれの想いを包み込んで、ここの森で本格的な冬が到来した。
『なぁ、ハルカ…』
『なんだ?』
『カズハ、どうしてるかな?』
考えなかった訳じゃない。俺たち3人はそれこそ家族みたいな関係だった。
連絡を取らなくても、その絆が失われることを微塵も疑わない程度には家族だった。
もしかしたら、純粋な家族よりもより強い絆で結ばれていたかもしれない。だから当然気になっていた。俺の後を追うように死んでしまったルリハ。
カズハがどれだけ落ち込んだかは想像に難くない。
だからといってカズハもこちらに来た方がいいとはもちろん思わないが。
こちらに来るってことはあちらで死ぬってことだから。死んだからって転生するという保証はない。ないんだが、何となく来そうな気はする。
それを言うならナツキだってもし転生していたら、死んだってことだ。
それはちょっと、いやかなり嫌だな。でもそうだな…寿命を全うしてからならありだ。
ナツキには幸せになってほしいから。
『そうだな、あっちで幸せになっていたらいいな』
『ナツキとカズハが知り合えたらいいのにな…』
そうだな、カズハは俺たちと違って誰から見ても爽やかイケメンだ。
そして面倒見がいい。ルリハはオタクだし、俺は人嫌いだし、爽やかさは欠片もない。
それに引き換え、カズハは人当たりがいい。
実際にはかなりの人見知りで、友達だって俺たちしかいないが。
それでもカズハなら、ナツキと仲良くなれる気がする。
*読んでくださる皆さんにお願いです*
面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪
評価は任意ですが…もらえるととっても嬉しいです!
モチベーションになりますのでどうぞよろしくお願いします♪




