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転生したらもふもふだった まるんな前脚で頑張る!  作者: 綾瀬 律


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11.九死に一生を得た

 くたりとしているルリハを抱えて一目散に近くの巣穴2に駆け込んだ。


『ルリハ、ルリハ!』

『うん、もう少し…寝かせて、ハルカ…』

『ルリハ、起きろ!』

『う、ん…、ハルカ?あれ…あ、ゴブリン!』

 ルリハが飛び起きた。


『あれ、ここは?』

『巣穴2だ、なんとかやったぞ?力尽きそうになったら、レベルが10になってな、体力と魔力が全快になったんだ!』

 ルリハはその潤んだような黒目で俺を見ると、ヒシと抱きついて来た。


『ハルカー、死ぬかと思ったよぉ…ぐすん』

 俺もルリハを抱きしめて

『俺もだ…良かった、生きてて』

『うん、ハルカ…ありがとな!』

『俺もルリハがいなければとっくに諦めてた』


 ルリハは泣き笑いの顔で

『じゃあお互いに助け合ったってことか?』

『そうだな…』

 ルリハは照れくさそうに前脚で鼻を擦った。俺はその小さな頭をそっと撫でる。


『ルリハもレベルがかなり上がったんじゃ無いか?』

『見てみる!』

 ルリハ鑑定中…



 ルリハ

 種族 白魔ネズミ

 年齢 3ヶ月

 レベル9

 体力 270

 魔力 350

 知力 470

 魔法 土魔法レベル4 風魔法レベル2

 従魔契約者 ハルカ

 友達 人魚族の王子


 『ハルカ、凄え上がってるぞ?嬉しいな…でも流石にちょっとな…』

 まぁ、分かる。でレベルが8上がって体力と魔力もかなり伸びてたな。

 土魔法のレベルがまた上がってる。穴たくさん掘ってたからな。


 俺はどうだろうか。



 ハルカ

 種族 白魔うさぎ

 年齢 1ヶ月

 レベル10

 体力 300

 魔力 430

 知力 530

 魔法 浄化魔法レベル3 風魔法レベル4 治癒魔法レベル3 従魔法レベル3 空間魔法レベル3 氷魔法レベル2 雷魔法レベル2

 従魔 白魔ネズミ、魔蜂

 友達 人魚族の王子


 レベルは分かってたが、魔力と知力に魔法も全般的に上がったな。ゴブリンは放置するわけにも行かなかったから、取り敢えず亜空間に収納した。何体いたんだろう?

 頭の中で亜空間にあるものを確認する。


(ゴブリン 18体 ゴブリンジェネラル 1体)


 そんなにいたのか!で、大きかったヤツはこの将軍か…全く。アベルめ。

 しかも、前回はスルーしてたけどさ、友達ってのが出来てて…人魚族の王子って書いてある。王子なのか?屋敷の管理者って言ってなかったか?


 はぁぁ、色々と言いたいことはある。でもきっと、レベル上がったでしょ?良かったねー、とか言いそう。こっちは死ぬ思いだったのに。


 この時の俺はレベル10が実はうさぎ的には英雄クラスの偉業であると知らなかった、もちろん、ネズミ的にもレベル9は伝説級なのだが、ルリハも当然知らなかった。


 そもそもこの世界のレベルは後からアベルに聞いたのだが


 人

 普通の女子供 2から5

 普通の男性 4から10

 冒険者

 Fランク 2から5

 Dランク 5から10

 Cランク 10から50

 Bランク 50から75

 Aランク 75から100

 Sランク 100オーバー

 騎士見習い 30から50

 騎士 50以上

 騎士団長 75以上


 魔獣

 人のレベルに換算すると4倍かける


 ゴブリン 1から2 ジェネラル3 キング 4

 オーク 5から10 ジェネラル 13 キング 15


 ハルカのレベルが10なので、人に換算すると40、魔獣ならオーク並の強さとなる。手乗りサイズのうさぎが、だ。

 しかも、この討伐レベルは単体の時なので、群れれば脅威度はさらに上がる。


 ゴブリンの討伐レベルはどうだったんだろう…ふと遠い目になった俺は悪くないと思う。

 なんにせよ、荒療治でレベルがかなり上がったな。でもナツキの役に立つためにはもっと上げないと。

 ゴブリンとかはもう狩っても自分よりレベルが低いから経験値にならないのかな?


 アベルが帰って来たら色々と聞こう。

 ひとまず、ルリハを前脚に抱えてベットに横になる。疲れた…



 うとうとしてたらしい。

『ハルカー、ルリハー生きてるー?』

 生きてるけどな、一歩間違えば死んでたぞ!疲れて横になったまま扉を睨む。

 バァン!と部屋の扉が開いた。


『ハルカ、ルリハ…ケガは?痛いところは?』

 泣きそうな顔で飛び込んできたアベルを見て言おうとしていた文句が引っ込んだ。

 俺とルリハの全身を確認(もふっただけ?)して

『良かったーえぐっ、えぐっ…母上ってば酷いんだよぉ…せっかく出来た友達なのに…うわぁぁん…』

 号泣し始めた。いや、これどうすりゃいいんだよ?


 ルリハを見ると首を振る。

 だよな?泣き止むまで待つか?でもな、オレのもふもふな首毛に顔をすりすりして泣いてるからな、ウザイんだよな…、あ、待て…クソッ。


 ルリハめ、逃げやがったな。ちくせう、俺は涙と鼻水の餌食だ、もふもふな毛皮が…。

 それに泣きたいのは俺たちの方だぞ?全く。仕方ないな…。しばらく耐えよう。

 どれくらいか、やっとアベルが泣き止んだ。はぁ、俺の自慢の毛皮が涙と鼻水で濡れている。アベルが離れたタイミングでサクッと浄化した。


 アベルは目を真っ赤にしたまま俺を手のひらに包むと

『ごめんね…まさか、あのゴブリンは斥候で後ろから18体も来たなんて知らなくて…しかもジェネラルがいたなんて…死ななくて良かった、うぐっ、ぐすっ…』


 やっと泣き止んだのに、また思い出して泣き始めた。しかも

『本当にケガを、ぐすっ、してない?うぐっ、ぐすっ…大丈夫?』

 と言いながら全身撫で撫でさわさわされた。仕舞いには仰向けにして股の中まで覗きやがった。


 毛に包まれた可愛い鈴みたいなのが2個あるのを見て、頬を染めるのはやめてくれ!

 見たのはお前だろ、全く。何が悲しくてお股全開で男の前に寝転んでるんだよ…うさぎ的にもダメだろ。


 取り敢えず、後ろ脚でアベルを顔をテシテシしたぞ?

『あ、ご褒美…』

 何か聞こえた気もするが、もふもふな毛皮の俺はひたすら可愛いのだ、そういう性癖はお断りなのだ。


『アベル、何があったんだ?何でゴブリンの数とかジェネラルの事を知ってるんだ?』

 アベルはしょんぼりと座り込むと膝を抱えてこちらを見る。


『久しぶりに母上に呼ばれて、忙しいって言ったけど屋敷の管理は?って聞かれて…。仕方なく急いで戻ったんだ』

 屋敷の管理をサボってたのがバレたと。


『そしたらさ、屋敷に母上がいて。楽しそうねって。私も混ざりたいわーとか言うから。僕の友達だもんって…』

 だもんって子供か?いや、まぁ母上から見れば子供だろうが。


『あら、あなたには早いのでは?今もお友達は追加のゴブリンに息も絶え絶えよ?って言われて。すぐに戻ろうとしたら、命の危険があれば、私が遠隔で助けるから大丈夫よ!って言われて…。屋敷の管理を続けてたんだよ。そしたらあらま、ジェネラルがいたのね!って言うからさ、母上の静止を振り切って急いで戻って来たんだよ!巣穴にいるのが分かって安心したんだ!本当に母上は。お茶目さんだから…』


 思わずルリハを顔を見合わせる。

『お茶目とかそういう話じゃないよな?』

 ヒソヒソとルリハが言う。

『だよな?なんか常識が違うよな?』


 頷き合っていると

『えっと、その…母上はそれなりにお強いから、人と、君たちは今は魔獣だけど、魔獣と認識の差があるんだ。ジェネラルどころか、キングでも瞬殺だし。僕は流石に瞬殺とまではいかないからさ…』


 その後でアベルから人のレベルとかゴブリンやオークのレベルを聞いたのだった。

 どうやらアベルの母上はレベル100オーバー、それも魔獣基準らしい。


 とにかく強いってのは分かった。アベルは

『僕なんてまだまだだよ…』

 と言っていたが、それでもレベルは35だそうだ。冒険者ならSランク、間違いなくチートだな。

 まずは20を目標に頑張るぞ!


『目標は決まったし、今日はもう寝る…疲れた』

『えーもっとさぁ友達っぽい事しようよー』

 アベルが言う。今日は無理だ。小さいんだから体力もないんだぞ?アベルは体力1000近いらしいけど、俺はまだまだ300だ。この小さな体で頑張ったんだ。寝させてくれ…。ルリハはすでにオレの胸毛に抱きついて寝てるぞ?


 口を尖らせて

『なら僕も混ぜて!』

 と無理やり小さくなってマイルームに入って来て、俺ごとルリハも抱きしめてベットに横になった。


 目を瞑っているアベルを見る。柔らかそうなほっぺは紅く色付いていて、黙ってたら普通に可愛らしい。

 ちょっとズレてるけどな!


 まぁ悪気は無かったみたいだし、しょうがないな。その胸に寄り添って俺も目を瞑った。

 こうして危機一髪のレベル上げの1日が終わった。





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