10.レベルを上げよう
初の魔獣狩りが終わった。さて、レベルは上がったのか…?
まずはルリハだな。
ルリハ
種族 白魔ネズミ
年齢 3ヶ月
レベル1
体力 60
魔力 140
知力 450
魔法 土魔法レベル3 風魔法レベル1
従魔契約者 ハルカ
ほんの少しだけ体力とかが伸びてるな。
土魔法のレベルが上がってる。たくさん使ったからな。
俺はどうだろうか。
さすがに獰猛なうさぎ程度じゃ上がらないよな?
見てみよう。
ハルカ
種族 白魔うさぎ
年齢 1ヶ月
レベル2
体力 100
魔力 230
知力 500
魔法 浄化魔法レベル3 風魔法レベル3 治癒魔法レベル2 従魔法レベル2 空間魔法レベル2 氷魔法レベル1
雷魔法レベル1new
従魔 白魔ネズミ、魔蜂
友達 人魚族の王子
おっ、レベルが上がった!体力が100になったからか?嬉しいな。
魔力も少し上がって雷魔法が付いたな。
『少しは上がったかな?』
アベルが俺たちに話しかける。今は、魔獣が寄りつかないという白の木の根元にいる。安全地帯だ。
『俺はやっとレベル2だ。なぁ、これって協力して倒したらみんなのレベルが上がるのか?』
ルリハがヒゲをそよがせてアベルを見る。俺もアベルを見る。
『協力したらそうだね、有効打に対して経験値が積み上がる感じかな?』
俺は小さなルリハを見る。それなら俺とルリハが協力したらウィンウィンか?
『弱い魔獣だと分散するからね?強い魔獣限定だよ!』
う、やっぱりそんなに簡単では無いか。
『次も角うさぎを倒してみようか?ルリハ君がやるといい』
ルリハのヒゲが立った。
『俺には無理だよ…』
アベルは顔の前で指を振る。
『魔法は使い方だよ?土魔法が得意ならね、考えてみて』
ルリハはしっぽを揺らしながら考える。そしてあ、と言って
『やってみる!』
アベルは満足そうだ。白の木から離れて巣穴から少し離れる。ん?これは…魔獣だな。
『来たよ!』
俺には何の魔獣かまでは分からない。探索魔法のレベルを上げないと。
ルリハがチョロチョロと動いて木の陰から魔獣が来る方向を見ている。
角うさぎだ。木の陰にいるルリハを気が付いていない?でも鼻をぷもぷもさせているから匂いは分かるんだろう。
ルリハの方を見た。俺たちはさらに離れた所にいる。もちろん、手助け出来る距離だ。
角うさぎが低く構えて飛び掛かろうとしたその時、消えた。言葉通り視界から消えた。
『ギュギャー』
またしても汚い叫び声をが下から聞こえた。下?…そうか、穴に落としたのか!でもそれだけだと死なないぞ?
シーン…静かになった。遠くて分かりにくいが、穴がない。埋めたのか…?生き埋めとはなかなかエゲツない。
少し待ってからルリハは土の中を鑑定したようだ。
『やったー!』
落とし穴の更に下の土ごと迫り上がってきた。土が周囲に広がると、中から生き絶えた角うさぎがお目見えした。うわぁ、くたっとしたうさぎはちょっと哀れだ。
ルリハも思いの外、ショックのようだ。一方的にやったからな…。
うさぎに背中を向けてエヅイている。俺はその小さな背中をトントンする。
ルリハはおれのもふもふな胸毛をダイブして来た。これは仕方ない。少しずつ慣れていくしか。
魔法は使い方、か。格言だな。
アベルは俺たちの様子を見て、角うさぎを回収してくれた。
なんだかんだと面倒見がいいことだ。
『ルリハ、レベルは?』
『あ、そうだ…』
鑑定中…だな。じっと小さな前脚を眺めている。
『上がった!俺もレベル2だ!やったぞ!』
どうやら元のレベルが低すぎて、簡単に上がったようだ。ただしこれからはそう簡単に上がらないだろう。やっぱり魔獣のレベルを上げるしかないのか。しかしそうなると怪我の危険性もあるし、難易度が上がるんだよなぁ。
アベルに聞くか。
『アベル、この先レベルを上げるためには、魔獣のレベルも上げないとダメなんだろうか』
『そうだね。レベルは上に行けば行くほど上がりにくくなるからね。ただまだレベル2だし、次はそうだなぁ。ゴブリンとかその辺を複数狩ったら上がると思うよ』
ゴブリンか異世界の定番だよなぁ。そういえばスライムとかいないんだろうか?魔獣の最弱って言ったらスライムってイメージだ。後はゴブリンと並んでコボルトとかそういう中この世界にいるんだろうか?
どうやらルリハも、同じ疑問を感じたようで
『この世界にスライムとかコボルトっているのかい?』
アペルは、不思議そうな顔して
『スライムって掃除屋の?コボルトっていうのは二速歩行の犬みたいなやつだよね?どっちもレベル上げるために狩るような魔獣じゃないよ』
狩らない魔獣もいるのか?ルリハがやっぱり同じ事を考えて
『狩らない魔獣もいるのか?』
アベルは目をパチパチさせて
『もちろんだよ。害にならない魔獣は狩らないよ!共存してるからね』
魔獣と共存?
『そもそもの話、魔獣っていうのは魔法が使えるようになった獣のことで、人を襲うような魔獣は狩りの対象になるけれど、スライムみたいに掃除をしてくれるような魔獣だったり、コボルトみたいに配達をしてくれるような魔獣は人と共存してるんだ』
そうなると俺たちの立ち位置はどうなるんだ?
『俺たちみたいに、魔獣で人と共存もしてない場合は、やっぱり狩られるのか?』
アベルは少し考えて
『そうとも限らないんだよね。まず白魔うさぎは気配にすごく敏感。だから、探索のために仲間にする人も結構いるし、白魔ネズミはやっぱり探索に向いてるからダンジョンに連れて行くために仲間にする人も結構いるんだ。仲間じゃなくてテイムして従魔にする人もいるよ?』
『人と仲間になれば狩られないのか?』
『そうだね、問答無用で、人を襲ったりしなければ。ただし無理矢理魔法で従魔にされる可能性はあるから、そこは注意が必要だね』
無理やりとか嫌だな…もふもふ目当てのヤツに撫で回されて寄り添われたらウザイし。同じ事を考えたらしいルリハも前脚で体を抱いている。
『だから、人の前には不用意に出ない事!』
ルリハも俺もコクコクと頷いた。
『今のところはそれでいいかな?じゃあ狩りを続けよう』
という事で、次はゴブリンを倒す事になった。
『…ハルカ、俺もうダメだ…あぁ、短い命だったよ…』
『ルリハ、耐えろ!多分、あと少し…の筈』
『ハルカ、それさっきから何度も言ってる…ゼェゼェ』
『そう言っても、ハァハァ…倒さないと、やられるか、ら…ハァハァ。ルリハ、諦めるな!』
『あ、ハルカ…』
ルリハが倒れた。
俺はすかさずルリハのそばに跳んで、前脚で抱える。目の前には棍棒を抱えた一際大きなゴブリン。醜悪な顔でニタァと笑った。
クソッ、俺はまだナツキに会えていない。そんな所で、うさぎのまま死んでたまるか!
お前らみんな消えてしまえー!!!怒りで目の前が白くなる。笑うゴブリンすら見えない。眩い力が周囲を照らすと、
『ギャギャー』
あちこちから聞こえる汚い声。俺は胸にしっかりとルリハを抱きしめて治癒魔法を掛けた。
ハァハァ、だいぶ疲れた…俺ももう体力が、限界に…。すると頭の中に
ピコン!レベルが10に達しました!
おめでとうございます、体力魔力が全快しますー
はぇ?ハァハァ…、あれ?息苦しくない。
顔を上げると周りにはゴブリンの山…どんだけいたんだ、これ。
そもそも何でこんな事になってるかというと、アベルが
『ゴブリンがいたよ!1体だから協力して倒せばいいよー』
と言うので、ルリハが穴を掘り、獲物が落ちたら少しだけ開けて蓋をする。俺が風魔法で空気を抜く。その後にルリハが穴を完全に塞ぐ。安全にかつ確実に、作戦だ。これは上手く行ったんだよ?
その後にアベルが
『ごめん、ちょっと呼ばれたから抜けるね!今日は巣穴に戻っていいよー』
と言われたので、マイホームへ戻ろうとしたら…死んだ仲間のゴブリンが大挙してやって来た。
ルリハが言うには、斥候だったと。戻らなければ、後から応援が来るようになっていたんだろうと。
頼みの綱のアベルはいない。巣穴への経路はゴブリンが周囲に展開して囲まれたので、塞がれた。白の木もゴブリンの背後だ。
何体いるのかわからないが、やるしかない。俺とルリハは覚悟を決めて、ルリハはとにかく深い穴を掘って落とす。俺は水と雷、火と風の魔法で応戦。
頑張ったんだが、なんせ数が多くて。体力が底を尽きかけた時にレベルが上がった。キリ番特典だろうか?
いや、その前に怒りで魔力が溢れてヤツラを根絶やしにした気もするが。
ゴブリンをヤッても、力尽きたら終わりだ。だから体力が満タンになって良かった。
くたりとしているルリハを抱えて一目散に近くの巣穴2に駆け込んだ。
『ルリハ、ルリハ!』
『うん、もう少し…寝かせて、ハルカ…』
『ルリハ、起きろ!』
『う、ん…、ハルカ?あれ…あ、ゴブリン!』
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