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「メイド服なんか絶対に着ません」とゴミを見る目を向けていた氷の令嬢が、俺のメイドカフェになぜか毎日居る  作者: ツインテール大好き


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第6話 氷の令嬢VS悪役令嬢

 2人は知り合いなのか、会話を交わす。

 お互いに敵意のようなものを感じた。

 氷上(ひかみ)さんが立ち上がる。


「探す手間が省けました。今日は……貴方に不平不満を伝えたくてここを訪ねたので」

「文句? アンタが? このアタシに?」


 失笑するように手のひらで口元を隠す女帝。

 嫌な態度だが、その(たたず)まいには強者特有の気品がある。

 これはもしかして……。オレは更にトーンを落として(つかさ)と会話する。


(悪役令嬢ってやつじゃないか?)

(悪役令嬢? それはなんだ?)

(氷の令嬢とは別にブームになってるやつだ。ヒロインに嫌がらせをする令嬢のことだ)


 氷上さんが唇を引き締める。


「私に嫌がらせをするのは結構ですが、関係ない静子に仕掛けるのはやめてくれませんか?」

「ふん、アタシがその子に何をしたというの?」


(単に陰湿な女ってことだろ? 人気なのか)

(悪役になる運命を回避したり、改心したりするギャップが人気らしい)

(なるほどな。態度が悪い女こそ落としたい、みたいな心理か)


「とぼけないでください。静子が依頼していたデザイナーに圧力をかけて強引に依頼を取り下げましたよね? 面識があることをいいように使って」

「あら? 斉藤さんが日程が被っていると言っていたのはこの子だったのね。確かにウチのサークルの依頼を優先しろと進言したわ」


(忍さん。つまりこれは氷の令嬢と悪役令嬢のバトルってことですわね?)

(ええそうよ。恐ろしい修羅場に巻き込まれたわね、司さん)


「静子に謝ってください。衣装が用意できなくて楽しみにしていたイベントに出られないんですから」

「零……やっぱり大丈夫だから……」


 女帝に迫る氷上さんと、その袖を掴む明石さん。

 さきほどまで強気な態度だった明石さんが怯えているように見える。


「謝る? アタシがアンタに? 随分とお偉くなったものね。雑誌の表紙を飾ってから調子に乗っているのでなくて?」

「それは関係ありません。それよりも静子に謝罪してください」

「そんな用事で出向いてきたの。あんまりしつこいようだとお母様にいいつけるわよ」

「そうやって、貴方はまた……」


 話の流れは掴めないが、まさに一触即発。

 後ろに数人も控えさせている悪役令嬢の威圧感に、氷上さんは怯む様子を見せない。

 明石さんはもういいからと氷上さんの袖を引っ張っている。


 殴り合いの喧嘩に発展してもおかしくない温度感だ。

 すると——その空気の中立ち上がった男が一名。


「まーまーお二人さん。落ち着けって」


 二人の間に割り込むように両手を突き立てる。

 さ、さすが司だ!

 オレには到底できない事を平然とやってのける。そこにシビれる! あこがれるゥ!


「なんですの? アンタは」

「俺は経営学科1年の一色(いっしき)司です。覚えて帰ってくださいね。天堂院センパイ」


 華麗にウィンクを決める司。どんな度胸してんだか。

 女帝がちょっとたじろいだ。


「お二人の事情はなんとなーく察しました。要は天堂院センパイの急用によって闇ちゃんの衣装制作のスケジュールが間に合わなくなってしまったと」

「何? アンタまでアタシが悪いといいたいの?」

「いえいえ、滅相もない。不運な事故ですとも」

「そうよ。わかってるじゃない? アタシは悪くないの」


 当たり障りのない表現で丸め込む司。

 そういや一時期こんな感じの偉そうな態度の女と付き合ってたっけ。2週間で破局したらしいが。


「だけど、どうにか円満解決が提案できないかと思いましてね。女の子同士が喧嘩するのはどうにも見逃せない性分なので」

「解決策ってどうするっていうのよ」

「スケジュールの重複で闇ちゃんの衣装が作れなくなったのなら、別で依頼をすればいいんじゃないかと」

「そうね。この子が譲歩してくれるならね」


 女帝は再び氷上さんに視線を向ける。


「私はそれで解決とは出来ません。だって静子は高いクオリティを求めて高額なギャランティを支払ってその方に依頼したんです。それに途中で仕事を放置されたせいで猶予もないんです。来週までに一から作ることなんか……」

「それはアタシらのお抱えのデザイナーに依頼したアンタの落ち度よ。ウチのサークルの仕事を請け負っているのはアンタも知っていたでしょうに」

「っ……。それは仕事が空いていると言っていたから……」


 込み入った事情があるらしい。

 司はこれをどう解決するつもりだ?


「そこで俺達の出番ってわけですよ!」


 何ぃ!?


「俺達、実は近々この近辺でメイドカフェを経営することになってるんです」

「低俗ね。で、だから何?」

「そのカフェの制服であるメイド服を作るにあたって、超有名なデザイナーと懇意にさせていただいているんですよー」


 それは初耳だぞ。

 メイド服はカタログからオレが決めると約束したのに。


「そうなんですか?」


 氷上が感心したように司に尋ねるが、それはその男の嘘だ。


「そうそう! それに何を隠そうこの東城(とうじょう)(しのぶ)は——」


 ——え? ここでオレ?

 周囲の目がオレに集まる。何これ、超怖い。


「そのデザイナーとマブダチなんです。こいつからの依頼ならなんでも超スピードで終わらせますよ」


 こ……この野郎。また無茶な振り方をしやがって。

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