第11話 楽しい現代裁縫(激烈重労働編)PART2
DAY4。
今日も縫製をするよ!
と、その前に3Dプリンター製パーツの仕上げをしなくては。
「ところで、先輩は何してるんだ?」
「いやーおねーさんもクリエイターの端くれだし、忍くんを見てたら熱が湧いてきちゃってね」
「それで作るのがそれなのか」
「えー忍くんも好きでしょ? ガンプラ」
プラモデル作ってる先輩は置いといて、パーツの仕上げ。主に金属表現に入る。
ガタボコのプラスチックパーツをサンドペーパーでやすりがけして、サーフェイサーで下地処理をして、模型用の塗装剤でメタリック塗装……といきたいが。
「まさか衣類だらけのこの部屋でエアブラシを使うわけにはいかないしな」
ちらっと先輩の方を見る。
「ん、司から何かヘルプがないかって? さすがにこれは想定してないんじゃないかなー?」
「だよなぁ……。気が進まないが秋葉原のブースを探して……」
「あっちょっと待った。ウチ模型サークルあるよ。ブース使えるか聞いてこようか?」
先輩の助けもあり、塗装ブースにてメタリックカラーで何層か塗装。
終わったら上半身の縫製に移り、袖、スカートの順に縫製する。
バキュームアイロンのおかげで形の固定がらくちん。
で、スカートで最後のフリル地獄開始。
「フリルを縫い付けてアイロン。フリルを縫い付けてアイロン。フリルを……」
気が遠くなるフリル作業を終えるとついにドッキングタイム。
「上半身と下半身合体だ! うひょーテンション上がるぜ!」
「連日の作業でちょっと性格変わっちゃってるねー」
ドレス本体が完成。4日目でこれは幸先いいぞ!
◇ ◇
DAY5。
服と造形物をくっつけます。
「ガンダムでいうところのビームサーベルとシールドの取り付けだな」
「見てみて、おねーさんのニューガンダムも完成間近」
とはいえ服にプレートを取り付けるのは簡単なことじゃない。
プラスチックは縫えないし、単にボンドでくっつけるわけにもいかない。
「だから設計した箇所に予め硬めの接着芯を仕込んでおいたのさ」
基盤となるプレートを接着。
ネット注文しておいたぴったりサイズの7色のクリスタルガラスを装着。
ドレス、《《一点を除いて》》完成!
そしてまだ作ってなかったワイヤーパニエに着手。
金属ワイヤーで骨格を作り、布を傘のように張る。
あっさり完成。見える部分じゃないしな。
◇ ◇
DAY6。
「詰んだ……」
ひざを地面につくオレ。
もうオレはおしまいだ。
これが後回しにしていたツケ……。
「ちょっと、どうしたの?」
「先輩、オレはおしまいだぁ」
「何? 失敗したところがあった?」
「…………翼」
「翼?」
「…………翼、ついてない……」
咄嗟にオレの横に落ちてる三面図を拾う先輩。
「あー、これはちょっとかじっただけのおねーさんでもわかるな。……無理」
ドレスの後方から生えて、そして前方に向かって禍々しく曲がる四つの大きな翼。
「どう計算しても再現できない。硬い素材を使ったら重くなるし服が耐えられない」
「それにこんな大きい翼をつけたまま歩くわけにいかないしねー」
「着脱式にしたらもっと無理だ……。絶対取れる」
どうしてオレは後回しにしてしまったんだ……。って、そりゃこれについて検討してたらいくら時間あっても足りないからだろ。
「忍くんが妥協したくないことはこの数日でわかったけどさ。これは諦めて貰うしかないんじゃない? 小さくても四枚つけてあげるとかさ」
「だけど、その翼は闇焔の狂狩人が弟の赤血の堕天使の形見として受け取った翼で、第二祭輪verの一番の変化点なんだ!」
「確かにそうかいてあるけどね」
きっと明石さんがこだわっている部分に違いない。
明日には衣装を引き渡さないといけない。どうにかしてこの問題をクリアしたいのに……解が思いつかない。
「ほらほら、落ち込まないのー。おねーさんがいいもの見せてあげるから。……いくぞ! じゃーんニューガンダムだー! しかもジオラマにしてみましたー」
四角いベースに乗せられたニューガンダムがフィン・ファンネルを射出して何かと戦っている。
「サザビーがまだ出来てないじゃないですか」
「それはこれからこれから」
未完成のジオラマを見て気分が安らぐかよ。
アムロ1人で戦ってどうすんだ……って……。
「————そうか! これなら!」




