『禁忌の海産物と新メニュー開発』
『禁忌の海産物と新メニュー開発』
まるふく商店の紋章が掲げられてから数日、ショウイチは新たな食材探しのために港町へ足を運んだ。
そこには、市場の活気と潮の香りが満ちていた。
だが、驚いたことに、この地ではタコやイカは「食べてはいけないもの」とされ、ほとんど流通していなかった。
ショウイチは店主や漁師から注意を受けつつも、運良く手に入れた新鮮なイカとタコ。
「食べてみると……普通のイカだし、タコだな」
市場の価格は信じられないほど安かった。
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帰ってから調理に取り掛かる。
まずはイカめし。
次にイカ焼き。
そして、タコの刺身(ボイル済み)。
最後に、タコの煮物。
特にタコの茹で加減には苦戦した。
何度も茹でては冷まし、柔らかさを確認しながらタイミングを模索する。
硬すぎると顎が疲れるし、茹ですぎるとボロボロになる。
「この加減……難しいな」
ショウイチは集中し、鍋をじっと見つめながら火加減と時間の調整を繰り返した。
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試行錯誤の末、理想の茹で加減を見つけたタコは、ぷりっとした弾力とほんのり甘い味わいを引き出していた。
「これならきっと喜んでもらえる」
新メニューは徐々に評判を呼び、まるふく商店の人気はさらに高まっていった。
まるふく商店の新メニューが評判を呼び、ショウイチはグランツ侯爵にもタコとイカの料理を振る舞う機会を得た。
料理は、タコ焼き、イカの炭火焼き、タコの刺身(ボイル済み)の豪華なフルコース。
侯爵は最初、箸を進める手がぎこちなかった。
「……これがあの忌み嫌われるタコとイカか」
しかし、隣に座る侯爵の孫娘が勢いよく食べ始めるのを見て、侯爵も意を決したように箸を進めた。
「……なるほど、これは悪くない」
意外にも高評価を得たことで、場の空気は和やかに変わった。
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その食事会の終わり、孫娘はショウイチに近づき、言った。
「私、まるふく商店で働きたいの」
ショウイチは驚いたが、侯爵家の期待を背負い、断ることはできなかった。
こうして、侯爵家の孫娘がまるふく商店の新たな仲間として加わることになった。




