『侯爵の酒宴と貴族の裏側、そして後ろ盾』
侯爵家の広間は暖炉の火が揺らぎ、重厚な家具とシャンデリアが輝く中、酒宴の賑わいが続いていた。
グランツ侯爵がグラスを掲げ、ショウイチに声をかける。
侯爵「さあ、飲め。お前には知っておいてほしいことがある」
ショウイチ「はい、聞かせてください」
侯爵「貴族の世界は表向きは華やかだが、なかには我々のような紳士ばかりじゃない」
侯爵は目を細め、言葉を選びながら続けた。
侯爵「ギルバートのような横暴で我がままな輩もいる。彼らは自分の地位と権力に胡坐をかき、ルールも守らぬ」
ショウイチ「確かに……あれは危なかった」
侯爵「そういう者たちに店を荒らされてはたまらん。だからこそ、我がグランツ家が後ろ盾になる。店の入口には我らの紋章を掲げよ」
侯爵は厳かな声で告げる。
侯爵「紋章があれば、貴族社会での圧倒的な信用が得られる。悪さを働く者も尻込みするだろう」
ショウイチ「なるほど、それは心強い」
侯爵「だが、その後ろ盾には代償もある。貴族社会の裏事情に巻き込まれることも覚悟せねばならん」
ショウイチは深く頷いた。
ショウイチ「今のところは趣味でやっているが、信頼してもらえるなら嬉しい」
侯爵は笑みを浮かべた。
侯爵「我々はお前の味を気に入っている。だからこそ、我が家や王族への道も開ける。商売をもっと大きくしたければ言ってくれ」
ショウイチ「今はまだ保留にしてもらうが、いつかは考えたい」
侯爵「それでいい。無理はするな」
ショウイチ(心の声:インスタントゼリーの秘密は誰にも言えないな……)
侯爵と周囲の使用人たちが笑い、酒宴は和やかに続いた。
翌朝、まだ空気がひんやりとした早朝。
ショウイチはまるふく商店の入口に立ち、手にした木製の額縁から重厚な紋章を慎重に取り出した。
それは、グランツ侯爵家の紋章であり、輝く金色の獅子が盾を守る威厳あるデザインだった。
周囲の住民たちも興味深そうに集まり始める。
「おお、あれがグランツ家の紋章か……」
「まるふくに紋章が掲げられるとは、これは相当な信用の証だな」
ショウイチは額縁を壁にしっかりと固定しながら、心の中で決意を固めた。
(これで店は守られる。あとは俺の腕次第だ)
紋章が陽の光を浴びて輝きを放ち、まるふく商店は街の中でもひときわ目立つ存在となった。
---
通りすがりの客も足を止め、紋章を見上げる。
店の評判は更に広まり、貴族たちの来訪も増えていく予感があった。
---
ショウイチは深呼吸をひとつ。
「さて、今日もがんばるか」
そう呟き、店の扉を開けた。




