五
無はない。
無色です。無色は透明であり、無い。そこに無いものが在るということです。
私には使命しか無かった。
闇サイト経由で犯行を三回ほど繰り返したのち、ようやく娘を死に至らしめた極悪人が分かったのです。
河野忠人と間宮祐太郎。そして闇サイトに娘を売ったのは当時同じクラスだった染島楓でした。
私はこの館がある土地ごと財産の大半を投げ売って買いました。
そしてこの三人をこの地、娘が息絶えたこの地で断罪してあげることに決めました。
染島楓は馬鹿で助かりましたね。娘を売ったことを彼女に問い質すと泣きながら私刑に協力する、河野忠人と間宮祐太郎を殺す手助けをするから殺さないでくれ。と話してきました。
私はまず染島が精神的にも逃げられないように付き合っている彼氏と共に来るように仕向け、南雲君を連れてきました。
南雲君は本当に何も知らないようでしたね。
私は染島楓と協力し、まず初めに来た間宮祐太郎を殺害しました。娘のことを手紙に認めると、のこのことこんな山中まで来るんですから全く欲にまみれた猿はどうしようもありませんね。
そして中庭に埋めたのです。
暫くして河野忠人も来ましたね。彼も同じです。彼はどうやら私を返り討ちにするつもりで仲間も誘ってきたらしいのですが、これも神の御業です。
こんな狭間の世界があるとは知りませんでしたね。それも恐らく私の意思が生み出した世界。私刑を執行する為に配慮された世界だったのです。
河野忠人の仲間達はここまでは来れませんでした。
私は河野忠人を殺害しました。呆気なかったですね。薬物を投与すれば、若いとか男とか関係なくコロッと逝っちゃうもんです。
そして染島楓と打ち合わせした計画を実行する運びでした。
染島楓が物音がした、と偽証する。染島楓が南雲君と共に秘密の部屋まで足を運び河野忠人の死体と私が殺害したという現場を目の当たりにするというシナリオでした。
つまり物音なんて鳴っていないんですね。南雲君はあんな子です。恋人が鳴ったと言えば、それは彼にとっても鳴っているのでしょう。
初めから染島楓と南雲君、できれば誰かを連れて私の身柄を抑えるというのが染島楓に話したシナリオだったんです。私は二人を殺して満足した、そのあと悔いなく身柄を拘束されると、そう染島楓には話したんです。
だからさぞや驚いたでしょう。彼女が見たのは河野殺害現場ではなく、河野が自殺したと思しき現場であり、私の姿などそこには微塵もなかったのだから。
しかし河野忠人の死体には段々薬物による特有の死斑が出始めました。初めは自殺で処理をしたかったのですが、薬物を私と結び付けられ拘束されるのはその時点では困りました。
よって一時的に河野忠人の死体は秘密の部屋の二階から一階へと移動させたのです。
その後染島楓の部屋へ行き彼女もあっさり殺してあげましたよ。まだ少女でしたからね。薬で深い眠りについている頃、練炭で殺しました。私はそのとき扉の鍵を締めて、窓から飛び降りました。そして下から竿を使って窓だけ閉めたのです。そのとき鍵はしていません。
翌朝私は一番に部屋へ押し入ってあたかも窓の鍵が掛かっていたかのように証言し、窓を開放しました。
そう、貴方の言うとおりです。




