Season 2 - Episode 6: The Play (演劇)
登場人物
田所家
健一/元ハリウッド映画主演・原作者、影が薄い
カヨ/健一の妻、カリスマ、管理魔
トシキ/健一の息子、パン屋でバイト
シンディ・ゴールドバーグ/トシキの彼女、カヨの弟子
ブレイディ・ヴァーデン/役者の卵、レッドブル依存、おバカ
劇団
デヴォン・クロス/若手演出家
クレア、マーカス、ジャスミン/劇団員
☆なんちゃって参考文献
ロバート・ルイス・スティーヴンソン「ジキルとハイド」
※読んでなくても大丈夫!
☆演劇解説
「ジキルとハイド:2025」全8人格+1
ジキル/秩序を愛する科学者
ハイド/混沌を愛する破壊者
クロード・オブ・スティール/ク○ーク・ケン○に似た誰か。トイレでメガネを外してマントをつけると正義の味方になる(気がしてる)
ジェスター/ジョー○ーみたいな人。なぜそんなに真面目なんだと問い続ける
ヘイリー・クイーン/ジェスターの恋人?おもちゃのバットが武器
ハミルトン/ハンニバ○・レク○ーみたいなマッド心理学者兼料理人
ウソッピ/ウ○○○みたいな嘘つき
ブルックス・ウェイ○/お金持ちの御曹司。なぜか8人格の中にいる
レイ/ハリウッド映画「デジタル・ゴースト」のハッカーヒーロー。8人格に外部から乱入する謎の存在。主演の健一いわく、撮影はほぼキーボードとタブレットのスワイプだった
シーン1: 開演
劇場、照明が完全に暗くなった
静寂。
観客、息を呑んでいる。
舞台中央に、段ボール製の「公衆便所」。
壁に、手書きの落書き風の文字。
「CHAOS」「ORDER」「TRUTH」「LIES」
舞台袖から、ブレイディが歩いてくる。
普通の服。
Tシャツ、ジーンズ。
でも、目がギラついている。
開演前にレッドブルを2缶飲んでいる。
中央に立った。
深呼吸。
そして。
演技開始。
Act 1: 混沌の始まり
ブレイディ(ジキル)、真面目な声。
背筋を伸ばす。
「I am ORDER! I am SCIENCE! I control this mind!(俺は秩序だ!科学だ!この心を支配する!)」
数秒。
突然、声が変わる。
ブレイディ(ハイド)、低く、荒々しく。
「NO! I am CHAOS! I am FREEDOM!(違う!俺は混沌だ!自由だ!)」
体の動きも変わる。
猫背。
攻撃的。
また切り替わる。
ブレイディ(クロード)、明るい声。
「Wait! I seek TRUTH! Where’s the truth!?(待て!俺は真実を求める!真実はどこだ!?)」
便所に走る。
観客席から、小さく笑い声
最前列
エマとルピタ、クスクス笑っている。
2列目
スティーブン・シュピーガーは、真剣に見ている。
ブレイディ、次々人格を切り替え始める。
速い。
ジキル、ハイド、クロード、ジェスター。
レッドブルが効いているのか、異常に速い。
「ORDER!(秩序!)」
「CHAOS!(混沌!)」
「TRUTH!(真実!)」
「Why so SERIOUS!?(なぜそんなに真面目なんだ!?)」
スキップし始める。
観客席、ざわついている。
でも、目が離せない。
ブレイディ、中央で止まった。
叫んだ。
「HELP ME! I’m losing myself! I don’t know who I am!(助けてくれ!俺は自分を見失ってる!俺は何者なんだ!)」
絶望的な声。
観客、静かに見ている。
暗転
Act 2: レイの侵入
数秒の暗闇。
サイバーパンク風の音楽が流れ始めた。
安価なスピーカーから。
でも、効果的。
プロジェクターが起動。
デジタルコードが壁に映る。
0と1の羅列。
舞台袖から。
健一が、ゆっくり歩いてくる。
黒いフード付きジャケット。
サングラス。
タブレット(小道具)を持っている。
ゆっくり。
時々止まる。
「デジタルの幽霊」のように。
中央に近づいた。
ブレイディ、混乱した状態で立っている。
健一、タブレットを見た。
そして、棒読みで話し始めた。
「Accessing neural network… I’m in.(神経ネットワークにアクセス中…侵入した)」
ブレイディ(全人格混ざった声)「Who… who are you!?(誰だ…誰なんだ!?)」
健一、サングラスを外した。
フードも取った。
「I’m Ray. A hacker. I’m here to fix your broken mind.(俺はレイ。ハッカーだ。お前の壊れた心を直しに来た)」
また棒読み。
でも、不思議と効いている。
冷たい。
感情がない。
論理的。
最前列
エマが、小声で言った。
「He’s doing Ray again…(レイをまた演じてる…)」
ルピタも頷いた。
「Takes me back to the shoot.(撮影を思い出すわ)」
エマ、少し笑った。
「He’s actually holding his own out there.(思ってた以上にちゃんとやってる)」
「Yeah. More than I expected.(ええ。予想以上に)」
2列目
スティーブン・シュピーガーは、じっと見ている。
Act 3: 人格との対決
1. Jekyll vs Ray
ブレイディ(ジキル)、背筋を伸ばした。
「I am ORDER! SCIENCE! I control this mind!(俺は秩序だ!科学だ!この心を支配する!)」
健一、タブレットを見た。
「Order? You mean control. You’re afraid of chaos. But chaos is part of being human.(秩序?支配の間違いだろ。お前は混沌を恐れてる。でも混沌は人間の一部だ)」
棒読み。
でも、内容は深い。
ブレイディ(ジキル)「No! Without order, there is only madness!(違う!秩序なしには、狂気しかない!)」
健一「Madness? Or freedom?(狂気?もしかしたら自由なんじゃないか?)」
ブレイディ(ジキル)、動揺した表情。
「I… I…(俺は…俺は…)」
健一「Deleted.(削除)」
ブレイディ、ジキルの姿勢を崩した。
観客席から、小さくどよめき。
2. Hyde vs Ray
すぐにHydeに切り替わった。
ブレイディ(ハイド)、荒々しく。
「I AM CHAOS! I AM FREEDOM!(俺は混沌だ!自由だ!)」
健一、また台本を(心の中で)確認。
「Freedom? Or just recklessness? You’re not free. You’re just Jekyll’s shadow.(自由?ただ無謀なだけだろ?お前は自由じゃない。ただのジキルの影だ)」
ブレイディ(ハイド)「I’m NOT his shadow! I’m REAL!(俺は影じゃない!本物だ!)」
健一「You’re two sides of the same coin. Integrated.(お前たちは同じコインの裏表だ。統合)」
ブレイディ、ハイドも崩した。
観客席、静まり返っている。
エマが、ルピタに小声で。
「This is… actually good.(これ…結構ちゃんとしてるんじゃない?)」
3.Claude vs Ray
ブレイディ(クロード)、明るい声。
「I seek TRUTH!(俺は真実を求める!)」
健一「Truth? Or just validation?(真実?承認じゃないのか? )」
ブレイディ(クロード)、少し考えた。
そして、便所に走った。
「I need to think!(考える必要がある!)」
便所に入った。
健一、一人舞台に残された。
観客を見た。
気まずい沈黙。
5秒。
10秒。
健一、小声で。
「…Come back.(戻ってこい)」
観客席から、笑い声。
5列目
アランとジェイク、大笑い。
2列目
スティーブン・シュピーガーも、微笑んでいる。
ブレイディ、便所から出てきた。
メガネを外している。
マントをつけている。
仁王立ち。
「Evil shall not prevail! Justice is eternal!(悪は滅びる!正義は永遠だ!)」
健一「…You just took off your glasses and put on a cape.(メガネを外してマントをつけただけだろ)」
ブレイディ(クロード・オブ・スティール)「EXACTLY!(その通り!)」
健一「…I don’t understand.(理解できない)」
また笑い声。
健一、本当に困惑している顔。
本当に意味が分からない。
観客、それを楽しんでいる。
4. Jester vs Ray
ブレイディ(ジェスター)、突然笑い始めた。
そして、健一の周りをスキップし始めた。
レッドブルが効いていて、異常に速い。
「Why so SERIOUS!?(なぜそんなに真面目なんだ!?)」
健一の肩に手を置いた。
「Come on! SMILE!(ほら!笑って!)」
健一、一歩下がった。
完全に困惑。
台本を(心の中で)確認。
「Because someone has to be.(真面目にやる必要があるからだよ)」
でも、ブレイディはまだスキップしている。
健一の周りをぐるぐる回っている。
健一、どうしていいか分からない。
ただ立っている。
観客席、笑いが広がっている。
でも、笑いながらも引き込まれている。
ブレイディ(ジェスター)、突然止まった。
健一を見た。
「You’re NO FUN!(君、つまんないヤツだ!)」
そして、消えた(舞台袖へ)。
健一、一人残された。
「…」
小声で。
「助かった…」
しっかりマイクが拾ってる。
観客席、爆笑
健一、観客に気づいた。
少し恥ずかしそうな顔。
Jesterシーンの直後 - ミーチャとサーシャの到着
舞台
健一、一人で立っている。
ジェスターが去った後。
少し休憩。
その時
劇場の後ろのドア
静かに開いた。
ミーチャとサーシャ、入ってくる。
息を切らしている。
遅刻。
ミーチャ、小声で。
「Sorry, we’re late. The oven broke(ごめん、遅れた。オーブンが壊れて)」
サーシャも小声で言った。
「We had to finish the last batch(最後の分を仕上げないといけなかったの)」
二人、暗い中で空席を探している。
後方の席。
ミーチャとサーシャ、7列目に座った。
舞台袖
ブレイディ、次の人格ハミルトンとして出ようとしていた。
その時、後方の動きに気づいた。
暗い中でも、見える。
ミーチャの金髪。
ブレイディ、動きが止まった。
数秒。
そして、舞台に飛び出した。
レッドブルと、別の何かが混ざった。
明らかに、さっきまでと空気が違う。
5 . Hamilton vs Ray
ブレイディ(ハミルトン)、舞台に出た。
動きから無駄なブレが消えている。
優雅に歩く。
でも、速い。
健一を見た。
「Good evening, Ray.(こんばんは、レイ)」
声のトーンが低い。
凄みがある。
ブレイディ(ハミルトン)、健一の周りをゆっくりと回り始めた。
「かなりストレスが溜まってきているな、すごく匂う、新鮮ないい香りが」
健一「何を言ってる?」
ブレイディ(ハミルトン)「料理の話だ、精神状態で料理の味は変わる。まずはキアンティはどうだ?落ち着くぞ」
健一「いらないよ、だからなんの話だ?」
いつの間にか棒読みが消えている。
ブレイディ(ハミルトン)「いらないのか?そのままで正気を保っていられるのか?ほら、羊の脳みそとチョコレートのマリネだ。君は今、居心地が悪そうだ。そのままだと、君自身が崩壊するよ」
健一の肩にそっと手を置いた。
顔が近い。
練習の時より何倍も気味が悪い。
健一「近すぎだ、パーソナルスペース」
ブレイディ(ハミルトン)「そうか?言葉使いが変わってきたな、棒読みという訳にはいかなくなったか?」
ブレイディ(ハミルトン)、不気味に笑った。
そして、優雅に退場。
健一、一人舞台に残される。
マジで怖い。
6.Usoppi vs Ray
ブレイディ(ウソッピ)、間髪入れずに舞台に飛び出した。
異常に速い。
テンションMAX状態。
「I have 8000 followers! I’m the greatest!(俺には8000人のフォロワーがいる!俺こそ最高だ!)」
健一「Lying won’t save you.(嘘は君を救わない)」
ブレイディ(ウソッピ)、すぐに怯んだ。
「You’re right! I lied! I’m sorry!(その通り!嘘ついた!ごめん!)」
台詞が早口、だけど全く噛んでない。
健一「…That was fast.(早かったな)」
健一、完全に圧倒されている。
ブレイディ(ウソッピ)、退場。
7.Brooks vs Ray
ブレイディ(ブルックス)、登場。
金持ちっぽい仕草。
エネルギーが止まらない。
「I’m RICH! I can buy my way out of this!(俺は金持ちだ!金で解決できる!)」
健一「Money doesn’t fix a broken mind.(金で壊れた心は直せない)」
ブレイディ(ブルックス)「EVERYTHING has a price!(全てに値段がある!)」
健一「Not this.(これは違う)」
ブレイディ(ブルックス)、ポケットから札束を取り出す仕草。
「One million dollars!(100万ドル!)」
健一「…No.(いらない)」
「Ten million!(1000万!)」
「No.(いらない)」
「One BILLION!(10億!)」
健一、溜息をついた。
「Money. Doesn’t. Work.(金は。効かない)」
ブレイディ(ブルックス)、がっくりした。
「…Fine.(分かった)」
退場。
観客席の反応(ミーチャ&サーシャ)
7列目
ミーチャが、サーシャに小声で。
「He’s… really energetic tonight.(彼…今夜すごくエネルギッシュね)」
「Yes. More than usual.(ええ。いつにも増して)」
サーシャも頷いた。
「Do you think he saw us?(私たちに気づいたと思う?)」
「Maybe. Look at him. He’s completely in the zone.(さあね。でも見て、彼、完全にゾーンに入ってるわ)」
ミーチャは、小さく笑った。
「It’s chaotic. But… it’s very Brady.(カオスね。でも…すごくブレイディらしい)」
サーシャも微笑んだ。
8. Hailey Queen vs Ray
健一、舞台中央で深呼吸していた。
(あと少し…)
その時
派手な音楽が流れた。
安価なスピーカーから。
ポップな曲。
ブレイディ(ヘイリー・クイーン)、舞台に飛び出した。
派手な動き。
おもちゃのバット(野球用、ピンク色)を持っている。
エネルギーは最高潮。
完全に、リミッターが外れている。
「Hi, Ray!(ハーイ、レイ!)」
健一、振り返った。
「Who—(誰—)」
ブレイディ(ヘイリー)、健一に近づいた。
スキップしながら。
「You think you can fix people with LOGIC?(論理で人を直せると思ってるの?)」
健一「Logic is—(論理は—)」
ブレイディ(ヘイリー)「BORING!(つまんない!)」
バットを振った。
ポコッ!
健一の頭に当たった。
「Ow!(痛っ!)」
思わず頭を押さえた。
観客席から、笑い声
ブレイディ(ヘイリー)、笑いながら続けた。
「Humans aren’t that SIMPLE, sweetie!(人間はそんなに単純じゃないのよ、ダーリン!)」
もう一度バットを振った。
ポコッ!
「Ow!(痛っ!)」
また頭を押さえた。
ブレイディ(ヘイリー)、健一の周りをスキップし始めた。
「You try to DELETE us! INTEGRATE us! But we don’t WORK that way!(あなたは私たちを削除しようとする!統合しようとする!でも私たち、そんな風には動かないわ!)」
バットを振りながら。
ポコッ!ポコッ!ポコッ!
健一「Ow! Ow! Stop!(痛っ!痛っ!やめろ!)」
頭を両手で守った。
でも、ブレイディはまだ叩いている。
ポコッ!ポコッ!
観客席、大爆笑
最前列
エマとルピタ、涙を流しながら笑っている。
2列目
スティーブン・シュピーガーも、笑っている。
声を出して。
5列目
アランとジェイク、立ち上がって拍手している。
「YES! CHAOS!(そうだ!カオス!)」
7列目
ミーチャ、手で口を覆って笑っている。
サーシャも、静かに笑っている。
ブレイディ(ヘイリー)、最後に大きくバットを振った。
ポコーン!
健一の頭。
「OW!(痛っ!)」
健一、よろけた。
ブレイディ(ヘイリー)、笑いながら叫んだ。
「You can’t control chaos, Ray! You just have to survive it!(カオスは制御できないのよ、レイ! せいぜい必死に生き延びることね!)」
そして、舞台袖に消えた。
健一、舞台中央で立っている。
頭を押さえている。
完全に困惑。
少し痛い(本当に)。
「…What just happened?(何が起きた?)」
観客席、爆笑とどよめき
Act 4: カオス再来
健一、まだ頭を押さえている。
その時
ブレイディが、舞台に戻ってきた。
そして、次々人格を切り替え始めた。
異常に速い。
Jekyll「ORDER!(秩序!)」
Hyde「CHAOS!(混沌!)」
Claude「TRUTH!(真実!)」
Jester「FUN!(楽しみ!)」
Hamilton「CHIANTI!(キアンティ!)」
Usoppi「LIES!(嘘!)」
Brooks「MONEY!(金!)」
Hailey「CHAOS!(カオス!)」
全部同時。
声が重なる。
体が次々変わる。
健一、完全に圧倒されている。
「I… this is… I can’t…(俺は…これは…ムリだろ…)」
台本を(心の中で)確認しようとした。
でも、実際に混乱してしまっていた。
ブレイディ、健一の周りを回り始めた。
全人格混ざったまま。
健一、後ずさった。
「Wait… stop… I need…(待て…やめろ…必要なのは…)」
ブレイディ、止まらない。
どんどん近づいてくる。
健一、舞台袖に逃げた。
「I need a moment!(ちょっと待って!)」
(練習の時より数倍ヤバい)
(コイツどうなってる?)
舞台袖に消えた。
ブレイディ、舞台中央で止まった。
全人格が混ざった状態。
笑って、泣いて、叫んで。
カオス。
暗転
観客席、静まり返った。
そして。
爆発的な拍手
観客の反応
最前列
エマ、涙を拭いている。
笑いすぎて、本当にお腹が痛い。
「OMG! Kayo was right! He actually got hit with a bat! This is the best thing I've ever seen!(嘘でしょ! カヨの言った通り! 本当にバットで殴られてる! 人生で一番最高のものを見たわ!)」
ルピタも手を叩いて大爆笑している。
「Look at Kenichi's face! He was genuinely terrified!(健一の顔見た!? 本気でビビってたわよ!)」
2列目
スティーブン・シュピーガーは、声を上げて笑いながら拍手している。
「Brilliant. This is what theater should be. Pure entertainment.(ブリリアント。演劇はこうでなくてはな。純粋な娯楽だ)」
3列目
カヨ、腕を組んで楽しそうに微笑んでいる。
「言ったでしょう? ただ殴られるだけだって」
トシキも大笑いしながら。
「見学の時より激しいね! 父さん、ガチでやられちゃってるじゃん!」
シンディ「I can’t believe he got hit that many times! But it was SO funny!(見学の時より全然すごい!あんなに何度も叩かれるなんて! でもめちゃくちゃ面白かった!)」
7列目
ミーチャとサーシャ、立ち上がって拍手している。
ミーチャ、嬉しそうに目を輝かせて。
「Brady was incredible! He became so many different characters! Isn’t that amazing?(ブレイディ、ホントに色んなキャラクターになりきってたわ! 凄くない?)」
サーシャも笑顔で深く頷いた。
「I know! But poor Mr. Kenichi got hit so much! I felt bad, but I couldn't stop laughing!(そうね! 健一さん、すごく殴られてたでしょ? かわいそうなんだけど、やっぱり笑っちゃう!)」
幕間(Intermission)
照明が明るくなった。
15分の休憩
楽屋
健一、椅子に座っている。
頭を押さえている。
「痛い…」
本当に少し痛い。
おもちゃのバットでも、何度も叩かれたら痛い。
ブレイディ、興奮している。
「Did you see!? Mitya came! And Sasha! They came!(見た!?ミーチャが来た!サーシャも!来てくれた!)」
「Yeah, I saw. You also hit me 15 times.(ああ、見た。それと15回も叩いた)」
「Sorry! I got… excited.(ごめん!興奮して)」
デヴォンが、楽屋に飛び込んできた。
「THAT WAS INCREDIBLE! The audience LOVED it!(信じられない!観客が大喜びしてた!)」
クレアとマーカスも続いた。
「Steven Schpieger was LAUGHING!(スティーブン・シュピーガーが笑ってた!)」
「Emma and Lupita were CRYING!(エマとルピタが泣いてた!)」
健一、溜息をついた。
「Good. That’s… good.(よかった。それは…よかった)」
頭を押さえている。
ブレイディが、水を渡した。
「Here. You OK?(ほら。大丈夫?)」
「…Yeah. Just… my head.(ああ。ただ…頭が)」
「Sorry. Really.(本当にごめん)」
健一は、少し笑った。
「It’s fine. It’s part of the show.(いいよ。劇の一部だ)」
そして、水を飲んだ。
デヴォンが、言った。
「OK! Second half in 10 minutes! The finale! Ray’s final confrontation and integration!(あと10分で後半!フィナーレ!レイの最後の対決と統合!)」
健一、また溜息をついた。
「…There’s more?(まだやるのか?)」
「Of course! The emotional climax!(もちろん!感動的なクライマックスだろ!)」
健一、小声で。
「結構しんどいんだよな…」
Act 5: 統合の失敗と受容
レイ、最後の試み
健一、舞台中央に戻ってきた。
頭を押さえている。
疲れている。
「All personalities… attempting final integration.(全人格…最終統合を試みる)」
ブレイディ、舞台中央。
次々人格が現れる。
でも、今度は少し落ち着いている。
Jekyll、Hyde、Claude、Jester、Hamilton、Usoppi、Brooks。
全部。
健一「You don’t need to choose one. You need to integrate them.(1つを選ぶ必要はない。統合する必要がある)」
ブレイディ、少し考えた。
「Integrate?(統合?)」
「Yes. Accept all of them. Make them one.(ああ。全部を受け入れる。1つにするんだ)」
その時
ブレイディ(ヘイリー)、再登場。
バット持参。
「Not so FAST, Ray!(そうは行かないわ、レイ!)」
バットを振った。
ポコッ!
健一「Ow!(痛っ!)」
また頭を押さえた。
ブレイディ(ヘイリー)「You think it’s that SIMPLE!? Just integrate and everything’s FINE!?(そんなに単純だと思ってるの!?統合すれば全部解決!?)」
健一「I… I thought…(俺は…思ってた…)」
ブレイディ(ヘイリー)「Life doesn’t WORK that way, sweetie!(人生はそんな風には行かないのよ、ダーリン!)」
もう一度バットを振った。
ポコッ!
健一「Stop! Please!(やめろ!お願いだ!)」
ブレイディ(ヘイリー)、笑った。
「If it was that EASY, everyone would be FIXED!(そんなに簡単なら、みんなとっくに直ってるわ!)」
全人格が再び暴れ出した。
ジキル、ハイド、クロード、全部混ざった。
カオス。
健一、またも圧倒されている。
「I… I can’t…(俺には…対応できない…)」
ブレイディ、中央で立ち止まった。
全人格混ざったまま。
でも、少し笑っている。
「You know what, Ray?(ねえ、レイ?)」
健一「What?(何?)」
「Maybe that’s OK. Maybe I don’t NEED to be ‘fixed.’(多分それでいいんじゃない?多分『直される』必要なんてない)」
健一「What?(何?)」
「They’re all ME. Chaotic, messy, contradictory. But ME.(全部私。カオスで、めちゃくちゃで、矛盾してる。でも私)」
健一、少し考えた。
「So… you’re saying integration is impossible?(じゃあ…統合は不可能だって言ってるのか?)」
「I’m saying it’s BORING!(つまんないって言ってるの!)」
ブレイディ(全人格)、笑った。
「If I was that simple, what’s the point!?(そんなに単純にしちゃって、何の意味があるの!?)」
健一、溜息をついた。
「…I don’t understand humans.(人間が理解できない)」
「EXACTLY!(その通り!)」
健一、諦めた。
疲れた顔。
「Fine. You know what? Do whatever you want.(分かったよ。もういい、好きにしてくれ)」
「Really?(本当に?)」
「Yeah. Just… don’t hurt people. That would help.(ああ。ただ…人に迷惑かけるな。それだと助かる)」
ブレイディ、笑った。
「Deal!(約束!)」
健一「Good. My job is… sort of done. I think.(よし。仕事は…まあ終わった。いいよな)」
「Thanks, Ray.(ありがとう、レイ)」
「You’re welcome. I guess.(どういたしまして。)」
健一、舞台袖に向かって歩き始めた。
疲れている。
頭を押さえている。
小声で。
「二度とやらない…」
観客席、爆笑
ブレイディ、舞台中央に一人残された。
全人格混ざったまま。
でも、笑顔。
そして、観客席を見た。
カーテンコール
照明が明るくなった。
ブレイディ、舞台中央。
お辞儀。
拍手。
クレア、マーカス、ジャスミン(舞台監督)も出てきた。
お辞儀。
デヴォンも出てきた。
お辞儀。
そして。
健一が出てきた
頭を押さえながら。
観客、更に大きな拍手
最前列
エマとルピタ、立ち上がった。
「BRAVO!(ブラボー!)」
2列目
スティーブン・シュピーガーも立ち上がった。
拍手。
3列目
カヨ、微笑んで立ち上がった。
トシキとシンディも立ち上がった。
5列目
アランとジェイク、叫んでいる。
「YEAH! KENICHI!(イエー!健一!)」
4列目
ヴィクター、イヴァンナも立ち上がった。
6列目
ルイーズ、タブレットを置いて立ち上がった。
7列目
ミーチャとサーシャ、立ち上がって拍手。
全員、スタンディングオベーション
ブレイディと健一、並んでお辞儀。
ブレイディ、涙目。
健一、少し照れくさそう。
でも、微笑んでいる。
もう一度お辞儀。
拍手が続く。
幕が降りた。
月木曜日8時更新




