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Season 2 - Episode 4: Ray Returns(レイ、再び)

登場人物


田所家

 健一/元ハリウッド映画主演原作、影が薄い

 カヨ/健一の妻、カリスマ、管理魔

 トシキ/健一の息子、パン屋でバイト


 シンディ・ゴールドバーグ/トシキの彼女、カヨの弟子

 ブレイディ・ヴァーデン/役者の卵、レッドブル依存、おバカ

 エイミー・ヴァーデン/ブレイディの妹、ストイック、アスリート


劇団

 デヴォン・クロス/若手演出家

 クレア、マーカス、ジャスミン/劇団員


☆なんちゃって参考文献

 ロバート・ルイス・スティーヴンソン「ジキルとハイド」

 ※読んでなくても大丈夫!

シーン1: その夜、田所家


リビング、夕食後

トシキ、健一とカヨの前に座っていた。

「それで…ブレイディから電話があって」

「何の用」

健一が聞いた。

「お父さんに劇に出てほしいって」

「劇?」

「うん。彼が役を取った劇。『ジキルとハイド:2025』」

カヨも興味を持った。

「何の役?」

「レイ。デジタル・ゴーストの」

健一は、目を丸くした。

「レイ?意味わからないぞ。全然関係ないだろ?」

「分かってる。だけどやって欲しがってるんだ。監督がお父さんにまたレイを演じてほしいって。彼らの実験演劇で」

「実験演劇」

健一は、少し不安そうな顔をした。

「うん。多重人格についての劇。ブレイディが全部演じる。それで…ええと…レイが彼の心にハッキングして各人格と戦うことになってる」

「…」

健一は、黙った。

「全く意味が分からない」

カヨも呆気に取られた表情。

「私も」

トシキは、溜息をついた。

「ブレイディもうまく説明できなかった。ただ監督がすごく興奮してて、お父さんに会いたがってるって」

健一は、少し考えた。

「まあ、ブレイディはマラソンの縁もあったからな。何十回もオーディション受けて頑張ってたし」

「それで?」

「会いに行くよ。とりあえずどんな物なのか見てみる」

カヨが言った。

「面白そうね。私も行く。見学ね」

健一は、少し不安そうにカヨを見た。

「見学?」

「ええ。ブレイディと舞台をする人たちがどんな人か見たいわ」

トシキが、小さく笑った。

「お母さん、ちょっと怖いよ」

「そんな事ないわ」


シーン2: 劇団の稽古場、翌日午後


小さな倉庫を改装した稽古場

健一、マスクをして入ってきた。

黒いフード付きジャケット。

サングラス。

完全に怪しい人。

デヴォンが、台本を読んでいた。

クレア、マーカス、ジャスミンも稽古場にいる。

健一が入ってきても、誰も気づかない。

健一は、少し立ち止まった。

(誰も気づかない…)

そのまま、壁際に立った。

数分後。

ブレイディが入ってきた。

「Everyone! Kenichi’s here!(みんな!健一さんが来た!)」

「What? Where?(何?どこ?)」

デヴォンが、周りを見回した。

ブレイディが、健一を指差した。

「There! That’s him!(あそこ!あの人だ!)」

全員、健一を見た。

でも、誰も分からない。

健一は、マスクを外した。

サングラスも外した。

「Hello. I’m Kenichi Tadokoro(こんにちは。田所健一です)」

数秒の沈黙。

デヴォンが、目を丸くした。

「THE Kenichi Tadokoro!?(あの田所健一!?)」

駆け寄ってきた。

「Oh my god! You came! You actually came!(なんてこった!来てくれた!本当に来てくれた!)」

握手を求めてくる。

健一は、少し戸惑いながら握手した。

「Uh… yes. Brady asked me to come(ええと…ああ。ブレイディに来てくれって頼まれたので)」

クレアとマーカスも近づいてきた。

でも、少し距離を保っている。

クレアが、小声で言った。

「Wait… that’s the guy from Digital Ghost?(待って…デジタル・ゴーストの人?)」

マーカスも頷いた。

「Yeah. But… I didn’t recognize him(うん。でも…気づかなかったわ)」

「Me neither(私も)」

健一は、それを聞いていた。

(…そんなに印象薄いのか?)

デヴォンが、興奮した声で言った。

「Kenichi! Thank you so much for coming! I have SO many ideas! Let me explain the new concept!(健一!来てくれて本当にありがとう!アイデアがたくさんあるんだ!新しいコンセプトを説明させて!)」

「New concept?(新しいコンセプト?)」

ブレイディが、横から言った。

「Yeah. Devon changed the whole play yesterday(うん。デヴォンが昨日、劇全体を変えた)」

「Changed?(変えた?)」

健一は、不安そうな表情。


シーン3: デヴォンの新プロット説明


デヴォンが、ホワイトボードの前に立った。

図を描き始めた。

中央に「BRADY」

周りに8つの円「Jekyll, Hyde, Claude, Brooks, Jester, Hailey, Hamilton, Usoppi」

外側から矢印「RAY」

「OK! So! Original plan: Brady plays all eight personalities. They all exist at once. Chaos!(じゃあ!元の計画:ブレイディが8つの人格全部を演じる。全部同時に存在。カオス!)」

健一は、頷いた。

(それは分かる)

「But! I had an EPIPHANY last night!(でも!昨夜、降りてきたんだ!)」

デヴォンは、目を輝かせた。

「What if… Ray isn’t one of the personalities? What if Ray is an EXTERNAL force?(もし…レイが人格の1つじゃなかったら?もしレイが外部の力だったら?)」

「External?(外部?)」

「YES! Ray is a HACKER! He hacks into Brady’s MIND! His neural network! And he fights each personality! One by one!(そう!レイはハッカーだ!ブレイディの心にハッキングする!神経ネットワークに!そして各人格と戦う!1つずつ!)」

健一は、頭で話を整理する。

「So… I’m not part of his mind. I’m… invading it?(じゃあ…俺は彼の心の一部じゃない。侵入してるって事?)」

「EXACTLY! It’s like… Inception meets The Matrix meets Split!(その通り!まるで…インセプションとマトリックスとスプリットを混ぜた感じ!)」

「…I’ve only seen one of those movies(1つしか見てないけど)」

「Doesn’t matter! The point is: You’re the hero! You’re saving Brady from his fractured mind!(関係ない!ポイントは:君がヒーローだ!ブレイディを断片化した心から救う!)」

ブレイディが、横から言った。

「It actually makes more sense than the original plan(何気に元の設定より意味が通る)」

健一は、ブレイディを見た。

「Really?(そうなのか?)」

「Yeah. Before, I was just… chaos. Now, there’s a story. You come in, you fix me, you leave(うん。最初は、ただ…カオスだった。今は、ストーリーがある。君が入ってきて、俺を直して、去る)」

マーカスも頷いた。

「It gives structure. Beginning, middle, end(構造がある。始まり、中間、終わり)」

健一は、少し安心した。

(ちゃんとストーリーはあるって事だな)

デヴォンが、続けた。

「And! The best part! You get to fight each personality! Verbal battles! Philosophical debates! It’s BRILLIANT!(それから!最高の展開だ!君が各人格と戦える!言葉の戦い!哲学的討論!ブリリアントだ!)」

「Philosophical debates?(哲学的討論?)」

健一は、また不安になった。

「Yes! For example! Jekyll says ‘I am order!’ And you say ‘Order without chaos is prison!’ BOOM! He’s gone!(そう!例えば!ジキルが『俺は秩序だ!』と言う!そして君が『混沌のない秩序は牢獄だ!』と言う!ドカン!消える!)」

「…」

健一は、何も言わなかった。

ブレイディが、小声で言った。

「It sounds weird, but it actually works when we rehearse it(変に聞こえるけど、実際稽古するとうまくいくんだ)」

「You’ve already rehearsed this?(もう稽古したの?)」

「Yeah. Yesterday. Devon and I tried the Jekyll scene(うん。昨日。デヴォンと俺でジキルのシーンをやってみた)」

デヴォンが、頷いた。

「It was AMAZING! Now, with you playing Ray, it’ll be even better!(素晴らしかった!さあ、君がレイを演じれば、もっと良くなる!)」

健一は、深呼吸した。

「…OK. I’ll try(分かった。やってみる)」

「YES! Let’s start with the entrance scene!(よし!入場シーンから始めよう!)」


シーン4: 初稽古 - レイの入場


デヴォンが、舞台中央を指差した。

「OK! Brady, you’re in the middle. All eight personalities are fighting for control. You’re screaming, confused, desperate!(ブレイディ、君は舞台の真ん中。8つの人格が主導権を奪い合っている。叫びながら、混乱して、必死にもがく!)」

ブレイディが、中央に立った。

そして、演技を始めた。

声を次々変える。

ジキル「I am order!(俺は秩序だ!)」

ハイド「I am chaos!(俺は混沌だ!)」

クロード「I seek truth!(俺は真実を求める!)」

ジェスター「Why so serious!?(なぜそんなに真面目なんだ!?)」

次々切り替わる。

健一は、呆然と見ていた。

(…すごいな。本当にカオスだ)

デヴォンが、叫んだ。

「YES! Perfect! Now, Kenichi! You enter from stage left! Slowly! Like a ghost! A digital ghost!(そう!完璧!さあ、健一!舞台左から入場!ゆっくり!幽霊のように!デジタルゴーストだ!)」

「…Digital ghost?(デジタルゴースト?)」

「YES! You’re not fully there! You’re hacking in! You’re between worlds!(そうだ! 君はまだ完全には実体化していない、ハッキングでこの世界に侵入している途中で、現実とデータの境界を漂ってる存在なんだ!)」

健一は、少し困惑した。

でも、舞台左に移動した。

「OK. Ready?(準備いい?)」

「…I think so?(とりあえずは?)」

「GO!」

健一は、ゆっくり歩き始めた。

普通に歩いた。

デヴォンが、手を上げた。

「Stop! Stop!(止まって!止まって!)」

健一、止まった。

「What’s wrong?(何か?)」

「You’re walking like… a normal person! You need to walk like a HACKER! Like you’re glitching into reality!(普通の人みたいに歩いてる!ハッカーのように歩かないと!現実にバグった感じで入ってくるんだ!)」

「…How do I walk like a hacker?(ハッカーみたいな歩き方って何なんだよ?)」

「Like… uh… like you’re lagging! Like a video game character with bad connection!(えーと…ラグってる感じ!接続が悪いゲームキャラみたいに!)」

健一は、完全に困惑した。

ブレイディが、横から言った。

「Maybe just walk slowly and stop occasionally?(ゆっくり歩いて時々止まるだけでいいんじゃない?)」

デヴォンが、考えた。

「…Fine. That works. Less is more. OK, Kenichi, try again!(まあいい。それでいい。Less is more。健一、もう一度!)」

健一は、もう一度歩き始めた。

ゆっくり。

時々止まる。

ブレイディは、中央で8つの人格を演じ続けている。

健一が、中央に近づいた。

そして、台本を見た。

「Accessing neural network… I’m in.(神経ネットワークにアクセス中…侵入した)」

棒読み。

ブレイディ(混乱した声)「Who are you!?(誰だ!?)」

健一「I’m a hacker. I’m here to fix your broken mind.(ハッカーだ。お前の壊れた心を直しに来た)」

また棒読み。

デヴォンが、拍手した。

「Good! Good! The monotone works! Ray is logical, cold, calculating!(よし!いいね!単調なのが効いてる!レイは論理的で、冷たくて、計算高い!)」

健一は、少しホッとした。

(棒読みでいいって事か…)


シーン5: ジキルとの対決シーン


「OK! Now, the first personality! Jekyll!(さあ!最初の人格!ジキル!)」

ブレイディが、ジキルに切り替えた。

背筋を伸ばす。

真面目な顔。

「I am ORDER! I am SCIENCE! I control this mind!(俺は秩序だ!科学だ!この心を支配する!)」

デヴォンが、健一に言った。

「Now! You challenge him! You say his line!(さあ!彼に対抗して!彼のセリフを言って!)」

健一、台本を見た。

「Order? You mean control. You’re afraid of chaos. But chaos is part of being human.(秩序?支配の間違いだろ。お前は混沌を恐れてる。でも混沌は人間の一部だ)」

また棒読み。

でも、内容は深い。

ブレイディ(ジキル)「No! Without order, there is only madness!(違う!秩序なしには、狂気しかない!)」

健一「Madness? Or freedom?(狂気?それは自由って事だろ?)」

ブレイディ(ジキル、少し動揺)「I… I…(俺は…俺は…)」

健一「Deleted.(削除)」

ブレイディ、ジキルの姿勢を崩した。

そして、すぐにハイドに切り替えた。

「I AM CHAOS! I AM FREEDOM!(俺は混沌だ!自由だ!)」

デヴォンが、興奮した。

「YES! Perfect transition! Now, Kenichi, same thing! Challenge him!(そう!完璧な移行!さあ、健一、同じように!彼と対決!)」

健一、また台本を見た。

「Freedom? Or just recklessness? You’re not free. You’re just Jekyll’s shadow.(自由?ただの暴走じゃないのか?お前は自由なんじゃない。ただのジキルの影だ)」

ブレイディ(ハイド)「I’m NOT his shadow! I’m REAL!(俺は影じゃない!本物だ!)」

健一「You’re two sides of the same coin. Integrated.(お前たちは同じコインの裏表だ。統合)」

ブレイディ、ハイドも崩した。

デヴォンが、拍手した。

「BRILLIANT! You’re a natural!(ブリリアント!天才だ!)」

健一は、相変わらず戸惑ったままだ。


シーン6: ジェスターとの対決(カオス開始)


「OK! Next! Jester!(次!ジェスター!)」

ブレイディが、ジェスターに切り替えた。

突然、笑い始めた。

ブレイディ(ジェスター)、健一の周りをスキップし始めた。

「Why so SERIOUS!?(なぜそんなに真面目なんだ!?)」

健一、完全に困惑した。台本を見た。

「Because someone has to be.(真面目にやる必要があるからな)」

ブレイディはまだスキップしている。健一の周りをぐるぐる回る。

健一は動かず、ただ立っている。

デヴォンが叫んだ。

「Perfect! Ray can’t deal with Jester! He just freezes!(完璧!レイはジェスターに対処できない!ただ固まるだけ!)」

健一(小声で)「…I really can’t.(本当に無理だ)」


シーン7: 休憩、そしてカヨたちの到着


デヴォンが手を叩いた。

「OK! Let’s take a break! Great work, everyone!(休憩にしよう!みんな素晴らしかった!)」

健一は舞台袖から出てきた。まだ少し混乱している。

ブレイディが近づいてきた。

「You OK?(大丈夫?)」

「…I think so. That was… intense.(なんとか。あれは…激しかった)」

その時、稽古場のドアが開いた。カヨ、シンディ、エイミー、トシキが入ってきた。

デヴォンが振り返った。

「Oh! Visitors!(お客さんだ!)」

カヨが前に出た。

「Hello. I’m Kayo, Kenichi’s wife. We’re here to observe.(こんにちは。カヨです、健一の妻。見学に来ました)」

「Of course! Please, sit!(もちろん!どうぞ、座って!)」

デヴォンは椅子を並べた。4人が座った。

エイミーがブレイディを見た。

「Hey. You doing OK? I had to check.(ちゃんとできてる?気になっちゃって)」

「Amy! You came!(エイミー!来てくれたんだ!)」

「Obviously.(当たり前でしょ)」


シーン8: カヨたちの前で稽古


デヴォンが、手を叩いた。

「OK! From Hailey’s entrance! Kenichi, you’re in the middle, trying to control the situation!(ヘイリーの入場から!健一、君は中央で、状況を制御しようとしてる!)」

健一、中央に立った。

ブレイディ、舞台袖から入ってくる。

ヘイリーとして。

派手な動き。

おもちゃのバット。

「Hi, Ray!(ハーイ、レイ!)」

健一「Who—(誰—)」

ブレイディ(ヘイリー)「You think you can fix people with LOGIC?(論理で人を直せると思ってるの?)」

健一「Logic is—(論理は—)」

ブレイディ(ヘイリー)「BORING!(つまんない!)」

バットで健一の頭を叩く。

ポコッ!

健一「Ow!(痛っ!)」

観客席から、小さく笑い声。

シンディだった。

ブレイディ(ヘイリー)「Humans aren’t that simple, sweetie!(人間はそんなに単純じゃないのよ、ダーリン!)」

もう一度バットを振る。

ポコッ!

健一「Ow!(痛っ!)」

また頭を押さえた。

カヨは、無表情で見ている。

でも、目が少し笑っている。

ブレイディ(ヘイリー)、笑いながらスキップして消えた。

健一は、完全に困惑した顔。

「…What just happened?(何が起きた?)」

そして、舞台袖に逃げた。

「I need a moment!(ちょっと待って!)」

デヴォンが、拍手した。

「Perfect! That’s the scene!(それこそ完璧なシーンだ!)」

観客席から、拍手。

カヨ、シンディ、エイミー、トシキ。

健一は、舞台袖から顔を出した。


シーン9: 観客席での感想


デヴォンが、また休憩を宣言した。

カヨたちのところに、ブレイディが来た。

「So? What did you think?(どうだった?)」

エイミーが言った。

「Better than I expected, honestly.(思ってた以上に上手だったわ)」

「Really?(ホントに?)」

「That whole unhinged energy? It actually fits the role perfectly, don’t you think.(ネジがぶっ飛んだような感じ、兄貴にピッタリの役だよね)」

シンディが頷いた。

「I thought so too. It was really fun to watch.(ワタシもそう思った!面白かったわ!)」

ブレイディが言った。

「I was pretty great, right?(イケてただろ!)」

エイミーが即座に言った。

「“Great” isn’t the word I’d use. More like… unhinged.(イケてた、っていうよりヤバかった)」

ブレイディは、それでも嬉しそうだった。

カヨが、健一を見た。

健一は、まだ舞台袖で休んでいる。

「お父さん、頑張ってるわね」

「うん。お父さん…大変そう」

トシキが、言った。

「でも逆にいいんじゃない?レイのキャラを上手に崩してた感じ?」

カヨは、頷いた。

「そうね。彼、自分が思ってるより俳優に向いてたりして」

その時。

健一が、観客席に来た。

「どうだった?」

カヨが、微笑んだ。

「良かったわ。よくやってる」

「本当に?」

「ええ。がんばって」

健一は、少しホッとしている。

「…ありがとう」

デヴォンが、手を叩いた。

「OK! Break’s over! Let’s run the whole sequence! From Ray’s entrance to Hailey’s chaos!(休憩終わり!全シーケンス通そう!レイの入場からヘイリーの混沌まで!)」

健一は、溜息をついた。

「…またか」

舞台に戻った。


シーン10: 稽古終了、そして帰り道

1時間後

稽古が終わった。

健一、疲れ果てている。

椅子に座って、水を飲んでいる。

カヨが、近づいてきた。

「お疲れ様」

「…疲れた」

「よくやってたわ」

ブレイディも近づいてきた。

「Thanks for coming, Kenichi. This means a lot(来てくれてありがとう、健一。すごく意味がある練習だった)」

「…No problem. When’s the actual show?(問題ないよ。本番はいつ?)」

「Two weeks from Saturday(2週間後の土曜日)」

「OK. I’ll… I’ll be there(分かった。行くよ)」

デヴォンが、駆け寄ってきた。

「Kenichi! Can you come to rehearsals? At least a few more times?(健一!稽古に来れる?少なくともあと数回か?)」

健一は、考えて答えた。

「…I’ll try. But I have work(やってみる。でも仕事があるから)」

「Of course! Just… whenever you can! You’re BRILLIANT!(もちろん!ただ…できる時で!君はブリリアントだ!)」

健一は、苦笑いした。

(…ブリリアント?)


帰り道、車の中

車に乗り込んだ。カヨが運転している。健一、助手席。トシキとシンディ、後部座席。

「Dad, you were working hard up there.(お父さん、頑張ってたね)」

トシキが言った。

「Yeah… I was overwhelmed, honestly. I kept thinking, why am I even doing this?(ああ、いっぱいいっぱいだったよ。何でこんな事やってんだ?なんて思ったりしてな)」

「That’s what made it fun to watch! This cool, composed character suddenly becoming total comic relief — it felt like a reimagining of the original Ray.(クールなキャラがカッコ悪いコメディっぽくなってるのも面白かったよ!お父さんの原作の再解釈みたいな?)」

カヨが頷いた。

「Exactly. A flustered Ray — but somehow, it suits you.(そうね、挙動不審なレイ、だけど、あなたにはハマり役よ)」

「Flustered suits me?(挙動不審がハマり役なのか?)」

「It’s a compliment.(褒めてるのよ)」

シンディが言った。

「Brady was incredible too. All those character switches… it was really something.(ブレイディもすごかったわ、キャラクターの切り替え、印象的だった)」

「Right? Makes you wonder why he never got a real chance before.(すごかったよね、何で今までチャンスなかったんだろ?ってくらい)」

健一は窓の外を見た。

「I want this to go well for him.(折角だから上手くいかせたいな)」

月木曜日8時更新

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