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Season 2 - Episode 2: The Boss from Heaven(天国からの上司)

登場人物


 田所トシキ/カヨの息子、パン屋でバイト

 

 シンディ・ゴールドバーグ/トシキの彼女、カヨの弟子


 ルイーズ・ゴールドバーグ/シンディの母、UCLA教授、マッドサイエンティスト


 レイチェル・ジマーマン/弁護士、お人好し、幸薄


 グレッチェン/文系大学院生、悪魔憑き


 サーシャ(アレクサンドラ・カラマゾヴァ)/ベーカリー三姉妹三女、心優しいカトリック※カラマーゾフの兄弟のアレクセイとは無関係です


 メフィー/メフィストフェレス、昔フォーストを悪の道に引き込もうとした悪魔


 神様/その昔フォーストを導くためメフィストフェレスと対決した神様

 

☆なんちゃって参考文献

 ゲーテ「ファウスト」

 ドフトエフスキー「カラマーゾフの兄弟」

 ※読んでなくても大丈夫!


火曜日の朝。

レイチェルの事務所。

レイチェル、デスクに座っていた。

電話が鳴った。

「Zimmerman Law Office. Rachel speaking(ジマーマン法律事務所。レイチェルです)」

「Hi, I need help. My friend…she’s acting strange(もしもし、助けが必要なの。友達が…変なの)」

「Strange how?(どう変なんですか?)」

「She says she sees God. She says God is inside her(神様が見えるって言うの。神様が自分の中にいるって)」

レイチェルは、メモを取った。

「I see. And you want…(なるほど。それで…)」

「I want you to help her. Please. She’s scaring me(助けてほしいの。お願い。怖い)」

レイチェルは、溜息をついた。

「Okay. I’ll see what I can do(分かりました。何とかしてみます)」

電話を切った。

レイチェルは、グレッチェンに電話した。


グレッチェンのアパート。

グレッチェン、電話に出た。

「Rachel?(レイチェル?)」

「Gretchen, another case. Someone says her friend is possessed by…God(グレッチェン、また案件。誰かが友達が…神様に憑依されてるって)」

「God?(神様?)」

「Yeah. Can you come?(ええ。来れる?)」

グレッチェンは、後ろを見た。

メフィーがいる。

「Mephi?(メフィー?)」

「…God? Let me check(…神様?確認させろ)」

数秒の沈黙。

そして。

メフィーの声が、少し震えた。

「…Oh no(やばい)

「What?(何?)」

「It’s…it’s Him. The Boss(あいつだ。ボス)」

「Boss?(ボス?)」

「Yeah. My old Boss. The one from the Foust bet(ああ。俺の元上司。フォーストの賭けの時の)」

グレッチェンは、目を丸くした。

「…That God?(あの神様?)」

「Yeah. And…I really don’t want to see Him(ああ。それで…マジで会いたくない)」

「Why?(なぜ?)」

「Because it’s awkward! He’s my Boss! And I’ve been…you know…corrupting humans(だって気まずいだろ!俺の上司だぞ!それで俺は…ほら…人間を堕落させてきたし)」

グレッチェンは、小さく笑った。

「You’re scared of your Boss?(上司が怖いの?)」

「Shut up(うるさい)

グレッチェンは、電話に戻った。

「Rachel, we’ll be there. But…it’s complicated(レイチェル、行くわ。でも…複雑よ)」


その日の午後。

依頼人の家の前。

レイチェル、グレッチェン、サーシャが立っていた。

その時。

車が到着した。

ルイーズが降りてきた。

大きなバッグを持っている。

機材。

「Hello, everyone(こんにちは、みんな)」

「Louise? What are you doing here?(ルイーズ?何してるの?)」

レイチェルが、聞いた。

「You sent me an email about unusual cases. I want to observe. For research(あなたが変わった案件についてメールをくれたでしょ。観察したいの。研究のために)」

レイチェルが、呆れた顔をした。

「Louise…(ルイーズ…)」

助手席から、シンディが降りてきた。

「Sorry. Mom insisted(ごめんなさい。お母さんが言い出しちゃって)」

「Cindy?(シンディ?)」

サーシャが、少し驚いた。

後部座席から、トシキも降りてきた。

「…I got dragged along(連れてこられた)」

「Toshiki?(トシキ?)」

グレッチェンが、聞いた。

「Yeah. Cindy said she needed moral support(ああ。シンディが精神的サポートをしてって)」

シンディは、少し照れくさそうだった。

「I didn’t want to come alone with Mom(お母さんと二人きりで来たくなかったの)」

ルイーズが、言った。

「Now, let’s begin. I have temperature sensors, EMF detectors, and…(さあ、始めましょう。温度センサー、EMF検出器、それと…)」

「Louise, this is not a science experiment(ルイーズ、これは科学実験じゃないの)」

レイチェルが、言った。

「Everything is a science experiment(全ては科学実験よ)」

ルイーズは、無表情で答えた。


家の中。

依頼人、ジェシカ(Jessica)が待っていた。

30代前半。

心配そうな顔。

「Thank you for coming(来てくれてありがとう)」

「Where is your friend?(お友達はどこ?)」

「Upstairs. In her room. She won’t come out(2階。彼女の部屋。出てこないの)」

全員、2階に上がった。

部屋の前。

ドアが閉まっている。

レイチェルが、ノックした。

「Emily? It’s Rachel Zimmerman. I’m here to help(エミリー?レイチェル・ジマーマンです。助けに来ました)」

数秒の沈黙。

そして、ドアが開いた。

20代後半の女性が立っていた。

痩せている。

でも、目が異様に澄んでいる。

光っているようにさえ見える。

「Welcome. I’ve been expecting you(ようこそ。待っていました)」

穏やかな声。

でも、どこか怖い。

全員、部屋に入った。


エミリーは、椅子に座った。

全員を見渡す。

「I see all of you. Your sins. Your fears. Your desires(あなたたち全員が見える。罪。恐れ。欲望)」

レイチェルを見た。

「You lie. To avoid conflict. To keep peace. But lies are still lies(あなたは嘘をつく。衝突を避けるために。平和を保つために。でも嘘は嘘)」

レイチェル「I…I don’t…(私…そんな…)」

ルイーズを見た。

「You use people as data. You observe without caring. That’s cold(あなたは人をデータとして使う。気にかけずに観察する。それは冷酷だ)」

ルイーズ「That’s not entirely accurate(それは完全な正確とは言えないわね)」

シンディを見た。

そして、サーシャを見た。

「You’re jealous. Of her. Because she’s close to him(あなたは嫉妬してる。彼女に。彼女が彼に近いから)」

シンディ、顔が赤くなった。

「I…I’m not…(私…そんな…)」

トシキを見た。

「You’re a mama’s boy. You can’t make decisions without her approval(君はマザコン。彼女の承認なしに決断できない)」

トシキ「…Say things I don’t want to hear!(そういう事言っちゃうか!)」


そして、グレッチェンを見た。

「And you. You carry a demon(そしてあなた。悪魔を連れている)」

「Mephistopheles. I can feel him. Right there. On your left shoulder(メフィストフェレス。感じる。そこに。あなたの左肩に)」

グレッチェンは、黙った。

エミリー(神)が、左肩に向かって話しかけた。

「Mephistopheles. Long time no see(メフィストフェレス。久しぶりだな)」

「…」

メフィーの声。

グレッチェンにしか聞こえない。

でも、めちゃくちゃ硬い。

「…Boss(ボス)

エミリー(神)が、微笑んだ。

「Still corrupting humans, I see(相変わらず人間を堕落させてるようだな)」

「…Trying to. It’s been…difficult lately(やろうとしてます。最近…上手くいきませんが)」

「Difficult?(上手くいかない?)」

「Yeah. Long story(ああ。話せば長くなる)」

エミリー(神)は、少し笑った。

「I know. You’re with that girl now. Gretchen. Interesting choice(わかった。お前は今その娘と一緒なのか。グレッチェン。面白いチョイスだ)」

グレッチェンが、前に出た。

「Why are you here?(なぜここにいるんですか?)」

エミリー(神)は、グレッチェンを見た。

「I wanted to try again. To understand humans better(もう一度試したかった。人間をもっと理解するために)」

「The bet with Faust…I won. But barely. Humans are fascinating. So complex. So contradictory(フォーストとの賭け…それは勝った。だがギリギリだ。人間は魅力的だ。複雑、そして矛盾している)」

「So I came down. Into this girl. To learn(だから降りてきた。この娘の中に。学ぶために)」

「But…(でも…)」

エミリー(神)の声が、少し弱くなった。

「But she can’t handle it. My presence is too much for her(でも彼女は耐えられない。私の存在は彼女には強すぎる)」

エミリー本人の声が、少し混ざった。

「…Help…me…(助けて…)」


ルイーズが、前に出た。

温度計とEMF検出器を持っている。

「Fascinating. Divine possession shows completely different readings from demonic possession(興味深い。神の憑依は悪魔の憑依とは完全に異なる数値を示してる)」

エミリー(神)を見た。

「Can you describe the sensation? On a scale of 1 to 10, how overwhelming is the divine presence?(感覚を説明してもらえますか?1から10のスケールで、神の存在はどれくらい圧倒的ですか?)」

エミリー(神)が、ルイーズを見た。

「…You’re an interesting human(あなたは面白い人間だ)」

「Thank you. Can I ask more questions?(ありがとう。もっと質問してもいいですか?)」

全員「Louise!!」

シンディが、ルイーズの腕を引いた。

「Mom, now is not the time!(今はダメ!)」


サーシャが、静かに前に出た。

十字架を握っている。

エミリー(神)を見た。

「Lord(主よ)」

「Yes, child?(そうだ、我が子よ?)」

「If you want to understand humans…why don’t you take me instead?(もし人間を理解したいなら…代わりに私に憑いてはいかがですか?)」

「What!?(何!?)」

全員、驚いた。

グレッチェン「Sasha, what are you saying!?(サーシャ、何言ってるの!?)」

サーシャは、静かに続けた。

「Emily can’t handle it. But I…I’ve been praying to you my whole life(エミリーは耐えられない。でも私は…ずっとあなたに祈ってきました)」

「I want to be closer to you(あなたにもっと近づきたい)」

「And Emily needs to be free(そしてエミリーは自由になる必要があります)」

エミリー(神)が、サーシャを見た。

「…You would offer yourself?(自分を差し出すのか?)」

「Why?(なぜ?)」

「Because that’s what you taught us. Love and sacrifice(それがあなたの教えです。愛と犠牲を)」

メフィーが、慌てた。

「Wait, that’s a bad idea!(待て、それは悪い考えだ!)」

グレッチェン「Why?(なぜ?)」

「Boss is…intense! Way too intense for a human! She’ll be overwhelmed too!(ボスは…強烈だ!人間には強烈すぎる!彼女でも耐えられないぞ!)」

でも、サーシャは動じなかった。

「I’ll be okay(大丈夫です)」

エミリー(神)が、立ち上がった。

そして、サーシャをじっと見た。

「…You’re different from the others(お前は他の者たちと違うようだ)」

「Your heart is…pure. Strong(お前の心は…純粋だ。そして強い)」

「Very well. If that is your wish(分かった。それがお前の望みなら)」


その瞬間。

エミリーの目から、光が消えた。

エミリー、倒れた。

ジェシカが、駆け寄った。

「Emily!」

数秒後。

エミリーが目を開けた。

普通の目。

「…What happened?(何があったの?)」

「You’re okay! You’re back!(大丈夫!戻ってきた!)」

ジェシカは、泣いていた。


そして。

サーシャの目が、光り始めた。

でも。

エミリーの時とは違う。

穏やかな光。

温かい光。

サーシャは、微笑んだ。

「…I’m okay(大丈夫です)」

「This is…warm(これは…温かい)」

神の声が、サーシャの口から出た。

でも、サーシャの声と混ざっている。

「This girl…her heart is pure(この娘…心が純粋だ)」

「I can stay here without hurting her(彼女を傷つけずにここにいられる)」

サーシャの声「Welcome, Lord(ようこそ、主よ)」


グレッチェンが、駆け寄った。

「Sasha!(サーシャ!)」

「I’m fine, Gretchen. Really(大丈夫よ、グレッチェン。本当に)」

サーシャは、グレッチェンの手を握った。

メフィーの声が、小さく聞こえた。

「…Boss, you’re staying with Sasha?(ボス、サーシャと一緒にいるのか?)」

神(サーシャ経由)「Yes. For now(ああ。今のところは)」

メフィー「…Great. Just great. Now I have to deal with You AND her purity every day(最高だな。これで毎日あんたとあいつの純粋さの両方を相手にしないといけない)」

グレッチェン「Mephi…(メフィー…)」

メフィー「What? It’s true! Do you know how hard it is to be evil when there’s literal God watching?(何だよ?本当のことだろ!文字通り神様が見てる時に悪事を働くのがどれだけ大変か分かるか?)」

神が、笑った。

サーシャの笑い声と混ざっている。

「Mephistopheles, relax. I’m not here to judge you(メフィストフェレス、落ち着け。お前を裁きに来たんじゃない)」

「I’m here to learn. To understand(学びに来た。理解するために)」

メフィー「…Learn what? How to make my job impossible?(何を学ぶんだ?俺の仕事を不可能にする方法か?)」

「Maybe. We’ll see(かもしれない。様子を見よう)」

メフィーは、小さく呻いた。

「…This is a nightmare(悪夢だ)」


トシキが、小さく呟いた。

「…This is the strangest couple I’ve ever seen(これまで見た中で一番変なカップルだ)」

シンディ「Agreed(そうね)

ルイーズが、興奮した声で言った。

「This is unprecedented! Demonic possession and divine possession in a romantic relationship! I need to document this!(前例がない!悪魔憑依と神の憑依が恋愛関係に!記録しなくては!)」

シンディ「Mom, let them be!(お母さん、そっとしといて!)」

レイチェルが、頭を抱えた。

「I don’t even know what kind of legal paperwork this requires…(これ、法的にどう扱えばいいのか見当もつかないわ…)」


帰り道。

カフェ。

グレッチェンとサーシャ、向かい合って座っていた。

コーヒーを飲んでいる。

サーシャの目は、時々光る。

でも、穏やか。

メフィーと神の会話が、二人にしか聞こえない。

メフィー「…So, Boss, how long are you planning to stay?(それで、ボス、どれくらいいるつもりだ?)」

神「I don’t know. As long as Sasha allows me. And as long as I’m learning(分からない。サーシャが許す限り。そして学んでいる限り)」

メフィー「Learning what? How to ruin my life?(何を学ぶんだ?俺の人生を台無しにする方法か?)」

神「You’re being dramatic, Mephistopheles(大げさだな、メフィストフェレス)」

メフィー「I’m a demon! Drama is what I do!(俺は悪魔だ!ドラマが仕事だ!)」

神は、少し笑った。

「You’ve changed, though. That’s interesting(でもお前は変わったな。それは興味深い)」

メフィー「I haven’t changed! I’m still evil! I still want to corrupt people!(変わってない!まだ悪だ!まだ人を堕落させたい!)」

「Then why are you still with Gretchen?(じゃあなぜまだグレッチェンと一緒にいる?)」

「…Strategic reasons(戦略的理由だ)」

「Strategic?(戦略的?)」

「Yeah. Long-term corruption project. You wouldn’t understand(ああ。長期堕落プロジェクト。お前には分からない)」

「I see. Well, continue your ‘project’ then(そうか。じゃあ『プロジェクト』を続けるといい)」

メフィーは、黙った。


グレッチェンが、サーシャを見た。

「Is this…okay?(これで…いいの?)」

「What?(何が?)」

「You have God. I have a demon(あなたには神様がいる。私には悪魔がいる)」

「So?(だから?)」

「Isn’t that…strange?(それって…変じゃない?)」

サーシャは、微笑んだ。

「Love is strange. But that’s okay(愛は変よ。でもそれでいいの)」

メフィーと神が、同時に反応した。

メフィー「…Did she just say ‘love’?(今『愛』って言った?)」

神「…She did(言ったな)」

グレッチェンとサーシャ、笑った。


その夜。

ルイーズの自宅。

オフィス。

ルイーズは、データを見ていた。

Case Study #24: Divine Possession vs. Demonic Possession in Romantic Partners

(症例研究#24: 恋愛関係における神の憑依 vs 悪魔の憑依)

∙Subject 1: Gretchen (demonic possession - Mephistopheles)

(被験者1: グレッチェン(悪魔憑依 - メフィストフェレス))

∙Subject 2: Sasha (divine possession - The Lord from Foust)

(被験者2: サーシャ(神の憑依 - フォーストの主))

∙Observation: Both subjects coexist peacefully. No conflict between divine and demonic entities. Demon shows signs of frustration but remains cooperative.

(観察: 両被験者が平和に共存。神と悪魔の実体間に衝突なし。悪魔はイライラの兆候を示すが協力的)

∙Temperature readings: Divine possession = warmer (+5°C). Demonic possession = colder (-3°C).

(温度測定: 神の憑依 = より温かい(+5℃)。悪魔の憑依 = より冷たい(-3℃))

∙Hypothesis: Love transcends metaphysical boundaries?

(仮説: 愛は形而上学的境界を超越する?)

∙Additional note: Demon claims to be unchanged. Observable behavior suggests otherwise. Requires long-term observation.

(追加注記: 悪魔は変化していないと主張。観察可能な行動は逆を示唆。長期観察が必要)

∙Conclusion: Require more data. This is my greatest research opportunity.

(結論: もっとデータが必要。これは私の最大の研究機会だ)

ルイーズは、ペンを置いた。

「I need to observe them more. Weekly. Daily if possible(もっと観察が必要。週に一度。可能なら毎日)」


グレッチェンの部屋。

グレッチェン、ベッドで横になっていた。

「Mephi, are you okay with this?(メフィー、これ、大丈夫?)」

「With what?(何が?)」

「Your Boss. Being around all the time(あなたの上司。ずっと側にいることになったでしょ)」

「…It’s annoying. Super annoying(うざい。超うざい)」

「Why?(どうして?)」

「Because He makes everything…difficult. I can’t enjoy corrupting people when He’s watching(だって全部が…やりづらくなる。あいつが見てると人を堕落させるのを楽しめない)」

「You still want to corrupt people?(まだ人を堕落させたいの?)」

「Of course! I’m a demon! That’s what I do!(当たり前だろ!俺は悪魔だ!それが仕事だ!)」

でも、少し声が弱い。

「But…?(でも…?)」

「…But Sasha. That girl. She’s making it worse(サーシャだ。あいつ。さらにやりづらくしてる)」

「How?(どう?)」

「She’s too pure. Too good. When she’s around, I feel…weak(純粋すぎる。善良すぎる。あいつが側にいると、俺は…弱く感じる)」

「Like my essence is being…diluted(俺の本質が…薄められてるみたいだ)」

グレッチェンは、少し笑った。

「That’s not Sasha’s fault(それはサーシャのせいじゃないわ)

「I know! That’s why it’s annoying!(分かってる!だからうざいんだ!)」

メフィーは、少しイライラしている。

「And you. You’re changing too(それにお前。お前も変わってる)」

「Me?(私?)」

「Yeah. You used to be more…desperate. Afraid. Now you’re…calm. Happy(ああ。お前は昔もっと…必死だった。怖がってた。今は…落ち着いてる。幸せそうだ)」

「Is that bad?(それって悪いこと?)」

「For me? Yes! Fear is my fuel! Happiness is…ugh(俺にとってはな! ああ!恐怖が俺の燃料だ!幸福は…見たくもない)」

グレッチェンは、笑った。

「Poor Mephi(可哀想なメフィー)」

「Don’t patronize me(見下すな)」

「I’m not. I’m just…sorry you’re uncomfortable(見下してない。ただ…あなたが居心地悪いのは申し訳ないと思ってる)」

「…」

メフィーは、黙った。

そして、小さく言った。

「…I could leave, you know. Find someone else to haunt(出て行けるんだぞ。他の誰かに憑ける)」

「I know(分かってる)」

「But…?(でも?)」

「…But I don’t want to. Not yet(でも癪だ。まだだ)」

「Why?(なぜ?)」

「I don’t know. Maybe I’m getting soft. Maybe Sasha’s goodness is infecting me. Or maybe…(分からない。多分弱くなってる。多分サーシャの善良さが影響してる。それか…)」

メフィーは、そこで止まった。

「Maybe what?(それか何?)」

「…Forget it. Go to sleep(忘れろ。寝ろ)」

グレッチェンは、笑った。

「Goodnight, Mephi(おやすみ、メフィー)」

「…Goodnight(おやすみ)


サーシャの部屋。

サーシャ、ベッドで祈っていた。

目を閉じている。

神の声が、心の中で聞こえる。

「Sasha, thank you for accepting me(サーシャ、私を受け入れてくれてありがとう)」

「It’s an honor, Lord(光栄です、主よ)」

「You love her, don’t you? Gretchen(彼女を愛してるんだろ?グレッチェンを)」

「…Yes(はい)

「Even though she carries a demon?(悪魔を連れているのに?)」

「Yes. Because she’s kind. And brave. And…she’s her(はい。彼女は優しいの。そして勇敢。それに…彼女は彼女だから)」

神は、少し沈黙した。

「You’re…unusual(お前は…変わっているな)」

「Unusual?(変わってる?)」

「You’re a devout Catholic. You pray to me every day. You wear a cross. You live by my teachings(お前は敬虔なカトリックだ。毎日私に祈る。十字架をつけている。私の教えに従って生きている)」

Yes(はい)

「And yet…you love a woman. You just said ‘love’ in front of me. About another woman(それなのに…女性を愛している。私の前で『愛』と言った。別の女性について)」

「In the cafe. I heard it(カフェで。聞いた)」

「…」

サーシャは、少し緊張した。

「I’m sorry, Lord. I know the Church says…(申し訳ございません、主よ。教会は…)」

「No. Don’t apologize(いや。謝るな)」

神の声が、優しくなった。

「That’s what makes you unusual. You stand before me, fully aware of what the Church teaches, and yet you speak your love without shame(それがお前を変わった存在にしている。教会の教えを完全に理解しながら、私の前に立ち、恥じることなく愛を語る)」

「I…I can’t help it. I tried not to, but…(私…どうしようもないんです。そうしないように努めましたが…)」

「I know. And strangely…I don’t feel the need to condemn you(分かっている。そして不思議なことに…お前を咎める気にならない)」

「…You don’t?(咎めない…?)」

「No. Perhaps that’s why I’m here. To learn. To understand why my teachings and human hearts sometimes conflict(ああ。多分それが私がここにいる理由だ。学ぶために。理解するために。なぜ私の教えと人間の心が時に衝突するのかを)」

サーシャは、涙が出そうになった。

「Thank you, Lord(ありがとうございます、主よ)」

「Don’t thank me. I’m still learning. Maybe…maybe love is more complex than rules(感謝するな。私はまだ学んでいる。多分…愛は規則より複雑なのだろう)」

「Maybe your love for Gretchen is…genuine. Pure. Even if she carries a demon(多分、お前のグレッチェンへの愛は…本物だ。純粋だ。たとえ彼女が悪魔を連れていても)」

「That’s…confusing for me. But I want to understand it(それは…私は混乱するが。でも理解したい)」

サーシャは、微笑んだ。

「I’ll help you understand, Lord. If I can(お手伝いします、主よ。できるなら)」

神は、笑った。

温かい笑い。

「Good. Let’s learn together(いいだろう。一緒に学ぼう)」

サーシャは、目を閉じた。

そして、安らかに眠りについた。

月木曜日8時更新

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