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見せつけたい(前)

 繁華街の近く。街灯と人通りが多くもなく少なくもない、丁度いい感じの裏通りに露出狂が現れるという。

 目撃者達の証言によれば、浴衣やワンピースにコートと時季に合わせた服装で現れ、数メートルの距離で前を開き見せつけてくるそうだ。

 外見は背中まで伸びた長髪に、顔の下半分を覆う大きなマスクで顔を隠している事までは共通するが、目撃者により食い違う点が一つ有った。


「以前にも聞いた事があると思うけど、目撃者によって犯人が男だったり女だったり。証言が食い違っていたんだよね」

 机の向こうで、僅かに姿勢を変えながら、狩谷警部補は相槌も待たず一人語りを続ける。


 繁華街の近くという事もあり、裏通り周辺に複数設置されている防犯カメラ映像を集め、署で確認するが該当する外見の人物は写っていなかった。

 課長を含めての生活安全(生安)係の捜査会議で、「どんな手を使ったか分からないが、犯人は防犯カメラの位置と画角を知って避けているか、建物の死角を利用して通りで着替えているか」との認識を共有し、刑事生活安全課全係の協力を得て張り込みを実施することとなった。

「ちょっとこっちに来てくれ」

 課長が課内に声を掛け係長を集め、捜査への協力を要請する。

 分担など細々とした事は後に打ち合わせるとして、一度解散したとき。自席に戻ろうとする狩谷警部補を生安係長の井出警部補が引き止めて、「ちょっと見てくれ」とデスクに置かれたノートパソコンを引き寄せ、狩谷に向けると監視カメラ映像を再生すると、ある場面で一時停止した。

「これ、浜村だろ?」

 リュックサックを背負った、Tシャツにハーフパンツ姿の浜村が裏通りへ向かい歩んでいく姿だった。

「男の露出狂が出没する日に限って、同じ背格好の奴が現れるんだ。その中で、この一度だけ顔が映っていた」

 渋い表情をしながら井出が続ける。

「どう思う?目撃証言から得られた背格好に合致するんだ。うちは、いや、俺は浜村がクサいと考えているんだが」

 自身も気づかぬうちに渋面となりながら、狩谷は浜村について考えた。

 生真面目で思い込みが強く、思い悩む事が多々ある。また、本人はストレス発散と言うがストイックに肉体を鍛えて、機会がある度に披露したがり皆困惑しているのは、署内では知られた事。

 また、一笑に付したが情報提供者から「おたくの浜村さん、SMクラブの女王様をその手のホテルに呼んで、ホテル内を散歩させてもらってるって」との話も聞かされた。

 可能性は、有る。行動確認が必要だろう・・・・・・

 狩谷は無言で頷き、井出の言葉を肯定した。

「しかし、女は誰なんでしょうね」

 画面を凝視したまま口を開いた狩谷警部補の言葉に、「浜村と関係のある奴なら、いずれ逮捕できるさ」と井出警部補は答えた。

 二人を重い空気が包み込んでいた。


「で。私は長い付き合いで信頼できる田町巡査部長に、こっそり頼んで、生安係と連携して浜村の行動確認を進めてもらったのさ」

 狩谷警部補は淡々とした口調で話し続ける、「情報提供者にも個人的にも頼んだり」

 その言葉に対してか、狩谷警部補の背後から咳払いが一つ聞こえた。

「その結果、浜村には同じ趣味を持った交際相手が存在することを掴んだのさ」

 大分、過程をすっ飛ばして語っている。





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