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魔剣と聖剣の勇者  作者: 佐久間
11/13

10話:初めての魔法


「熱い、熱すぎる」


 俺は汗を拭いながら呟く。

 今俺達がいるのは、三十八層の砂漠地帯。

 三十七層までは草原地帯だったが、三十八層に入ると砂漠地帯が広がっていた。


「イリス、大丈夫か?」

「はい、なんとか」


 イリスは答えながら顔の汗を拭う。

 すると前方から魔物の気配が。あれはーーーサソリか?しかも結構でかい。

 戦うのが面倒だな。体力も奪われるし。

 いや、待てよ。あのサソリに、下へ降りる階段の場所まで連れて行ってもらえば、移動が楽になる。

 ニヤッ、俺は広角を上げてサソリに近づき、一気に魔力をサソリだけにぶつける。

 するとサソリは震えて動かなくなる。

 

「おい、サソリ!下へ降りる階段まで、俺達を乗せて行け!」


 俺はサソリに叫びながら言うと、サソリはすごい勢いで、首を縦に振る。


〈威圧を取得しました〉

〈モンスターテイムを取得しました〉


 よしよし、これで移動が楽になる。


「イリス、このサソリに乗って行くぞ」

「テイムしたんですか!」

「ああ、そうだ。早く乗れ、一刻も早くこの階層から出たい」

「わかりました」


 イリスがサソリに乗り、サソリが動き出す。


「頼むぞ、サソリ!」



 それから三十分後、ようやく下へ降りる階段にたどり着く。


「ふぅ〜、やっと着いたか。この階層でかすぎだろ」

「そうですね。次の三十九層は、涼しいといいですね」

「ああ、そうだな。サソリ、ありがとな」

「ありがとうございます、サソリさん」


 俺達は帰っていくサソリに手を振り、三十九層への階段を降りていく。



 木々が生い茂り、木漏れ日が美しく、空気が美味しい。そう、ここはーーー


「森の中だー!」

「三十九層は森みたいですね。さっきと比べると、結構涼しいですね」

「ああ、そうだな。これでまた砂漠だったら、流石にキレてたな」

「そうですね、体力が持たなかったと思います」

 

 俺達は周りを見ながら話す。

 近くに魔物の気配はないな。


「とりあえず歩くか」

「はい」


 俺達は森の中を歩いていくが、進んだ気がしない。

 周りの景色がずっと一緒だからか。

 すると突然、危険察知が俺に危険を知らせて来る。

 その瞬間、隣の木の枝が俺の顔めがけて攻撃してくるが、既のところで体をそらして回避する。


「あっぶねー」


 どうなってんだ、木がいきなり動き出したぞ。


「主様、そいつは魔物のトレントです。木の姿をして、不意打ちしてくる魔物です」

「わかった、情報ありがとう」


 さあ、不意打ちするしか脳のない魔物は、倒さないとな。

 トレントはその枝で、再度俺に攻撃を仕掛けてくるが、クレアを抜刀してその枝を斬り、レイナでトレントを真っ二つにする。


「イリスもトレントには気をつけろよ」

「はい、わかりました」


 それから俺達は森の中を進み、ついに四十層に降りる階段を見つける。


「つ、ついに四十層ですか」

「ああ、そうだな。気を引き締めて行くぞ」

「はい」


 そうして俺達は、四十層に続く階段を降りる。



 階段を降りると、薄暗く一本の道があるだけの場所だった。

 

「この道を行くと、ボス部屋にたどり着けるってことですかね?」

「たぶんな。他の道がない限り、進むしかないだろう」


 俺達はその道を進み、ボス部屋の前にたどり着く。


「本当に着きましたね」

「ああ、普通ボス部屋にたどり着けないように魔物とかがいるのに、この階層は一体もいないぞ」

「そうですね。それほどボスが強いってことですかね?」

「その可能性はあるな」


 二人で話していると、ゴゴゴ…という音とともに、扉が開く。


「まあ、行くしかないか」

「そうですね、頑張りましょう」

「ああ、行くぞ!」

「はい!」


 俺達は扉の中に入り、一瞬の浮遊感の後に、ボス部屋にたどり着く。

 そこには、鎧を着た馬と、その馬に乗っている、鎧を纏って首がなく右手には槍が、左手には盾を持った人がいた。

 あれはーーーデュラハン?

 俺は魔物を鑑定する。


名前:デュラハン

種族:アンデット

性別:男


LV.70

HP:850

MP:600

STR(筋力):780

DEF(防御力):900

AGL(素早さ):800

LUK(運):65


スキル

闇魔法LV3

槍術LV3

盾LV3


 防御力高いな。今回は物理攻撃の戦いになりそうだ。

 一応槍と盾も鑑定しておくか。

 

名称:デュラハンの槍

レア度:S


名称:デュラハンの盾

レア度:S


 今回は普通の武器か。前のリッチがやばすぎただけか。


「イリス、あいつの防御力かなり高い。今回は持久戦になりそうだ」

「わかりました」


 俺はデュラハンの方を見る。

 あの盾をどうにかしないと、攻撃がまともに入りそうにないな。 

 よし、ちょっと試すか。

 俺はデュラハンめがけて走るが、デュラハンは動かない。

 俺はさらにデュラハンとの距離を詰めて、その距離1メートル。

 デュラハンは槍で俺を攻撃してくるが、それを回避して、


 “魔力撃”

 

 俺は右手に魔力を込めて、


「はあぁぁぁ!!!」


 デュラハンの体に魔力撃を打ち込むが、盾で防がれ、衝撃波が発生する。

 チッ!やっぱ壊れねーか。

 デュラハンが闇魔法を纏った槍で、俺を突こうとするが、俺はクレアで弾いて後ろに跳躍し、距離をとる。

 魔力撃でも傷一つ付かねーのか。

 どうする?魔力解放で一気に攻めるか?いや、たぶんそれでも本体に傷は作れない。じゃあどうする?あとこっちが持ってる手札はイリスだけだ。イリスをどう使うか。それが今回の鍵だ。


『デュラハンが詠唱を始めたのじゃ』

「わかった。イリス、俺は右から行く、イリスは左からだ」

「わかりました」


 俺は右から、イリスは左から、デュラハンめがけて走る。

 これで攻撃が分裂する。

 デュラハンは詠唱を終えると、巨大な闇の槍が現れる。


「なんだよあれ、でかすぎだろ!」


 闇の槍が、俺めがけて飛んでくる。

 魔力壁で止められるか?いや、たぶん無理だ。

 俺はクレアとレイナで、闇の槍を受け止める。

 火花が飛び散りながら、徐々に後退していく。

 くっ、無理か?いや、


 “魔力解放”


 俺はクレアとレイナの魔力を解放する。


「うおぉぉぉぉ!!!」


 俺は闇の槍を弾き、デュラハンに魔力を乗せた斬撃を飛ばす。

 後ろからは、イリスが魔力撃を繰り出そうとしている。

 デュラハンは盾で斬撃を防ぎ、槍でイリスの魔力撃を防ごうとするが、防ぎきれず、壁に吹き飛ばされ、土煙を上げる。

 よし、攻撃が当たった。

 デュラハンは起き上がって、馬に飛び乗り、イリスめがけて走り出す。

 やばい、追い付けない。

 

『伸弥、妾の魔法を使うのじゃ』

「魔法?魔法ってどうやって使うんだ?」

『まず、妾を地面に突き立てるのじゃ』

「わかった」


 俺は地面にクレアを突き立てる。


「この次は?」

『妾と一緒に詠唱するのじゃ』

「詠唱?詠唱なんてわからないぞ」


 そう言った瞬間、俺の頭の中に詠唱のフレーズが流れてくる。

 何だこれ?でも、詠唱のフレーズはわかった。


「詠唱がわかった」

『うむ、それじゃあ行くのじゃ!』

「おう!」

「『見えなき鎖よ、汝を束縛せよ《黒影縛鎖(シャドウチェイン)》』」


 詠唱を唱えると、デュラハンの下の地面から、黒い鎖が出現し、デュラハンの体と馬の体を束縛し、動きを封じた。


「今だ、イリス!」

「はい。“魔力撃”」

 

 イリスは魔力撃をデュラハンの体に打ち込み、デュラハンは壁まで吹き飛ばされる。 

 これでも倒せないか。


『伸弥さん、次は私を使ってください』

「レイナも?」

『はい。私のスキルで倒します』

「わかった」


 するとまたも、頭の中に詠唱のフレーズが流れてくる。

 俺はレイナを地面に突き立てると、


「『光を遮る闇よ、光なくして闇は在らず、聖なる光で闇夜を切り刻め《闇斬光閃(ライトニングキル)》』」


 詠唱を唱えると、デュラハンの周りが光に包まれ、デュラハンが切り刻まれる。

 十、二十、三十、と切り傷が増えていき、切り傷が百になると同時に、デュラハンが倒れる。

 

「倒した・・・のか?」

『そのようじゃな』

『はい、やりました』


 イリスがこちらに走って来る。

 

「さすが主様です!」

「いや、そんなことないよ。イリスもよく頑張ったな」

「ありがとうございます!」


 すると前方から、


 ゴゴゴ…


 という音とともに扉が開く。


「さあ、行こうか」

「はい!」


 そうして無事、四十層も攻略し、俺達は四十一層へ足を進める。



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