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8. とりあえず青春を楽しもう!(1)

「やっぱり早期入学された分、すごいですね」

「1年生の試験とはいえ、かなり難易度が高かったそうですし」


入学式があってから3週間が過ぎた。正式な試験というよりは軽いテストに近かったが、自分の名前が一番上に1位という数字と並んで書かれているのはかなり気分がいい。しかも下に書かれているどの生徒よりも実際は年下だという点が誇らしいというか。実際に身につけている知識は20代レベルなので少し後ろめたさはあるけれど。


「エシリー王女殿下は飛び級を狙っていらっしゃるんですよね?」

「できるならそうしたいですけど、絶対に飛び級しようと決めているわけではありません。自分の力でできるだけやろうという主義なので」


適度に取り繕っても、周囲からは謙虚だ、しっかりしている、大人びているなどなど、褒め言葉しか聞こえてこない。結論から言うと、私の学校生活はワンダフルを超えてパーフェクト、その上のエクセレントとでも言おうか。人気者の人生は疲れることもあるが、なかなか楽しい。


(いくらなんでも前世と比べて注目されすぎて疲れるのは確かだな)


普通の学生ではなく王族なのだから注目を集めるのは当然だが、男女を問わずみんな私のことを好きすぎる。学校で過ごす日常は、だらけた王宮での生活と違って忙しさこの上ない。


決まった時間に起床し、熟練した侍女の手で洗顔と身支度を終え、生徒食堂へ移動。すでにこの時点で視線が集まり、私が選ぶメニューはなぜか特に注文が集中する。食事は時々サラドお兄様と同席し、そうでなければ自然と私の周りに集まってくる女子生徒たちでいっぱいになる。


授業中は正直それほど集中していないが、成績はちゃんと良いし、先生の中にも私が少し居眠りしているのを見ても注意する人はいない。たいていの授業はすでに知っている内容だし、1年生レベルならわざわざ集中しなくても満点を取る自信がある。


むしろ乗馬やダンス、芸術系の授業の方が眠くならないし、体を動かせるので好きだ。正直、音楽や美術に関しては自分のセンスがそこまで優れているとは思わないが、王族びいきでもあるのか、それすら皆が褒めてばかりいる。


もちろん私も小言を言われたり嫉妬されたりするよりは、良いことを言われる方が気楽だ。しかしよく考えてみると、王宮でも学校でも誰一人として小さな批判すらしないのは少し違和感があった。生まれ変わってから唯一そんな感情を私に見せた人といえば、プリアナくらいだったからだ。


だが3週間という時間が過ぎても、私はこの学校にいるはずのプリアナと一度も顔を合わせていない。上流階級専用の学校なので生徒数はそれほど多くないにもかかわらず、授業時間ですら彼女を見かけなかった。出席を取るときも、先生は彼女の名前が書かれているのを見ても、そのまま次の人の名前を呼んでいた。


(卒業するまで寮に引きこもるつもりじゃないだろうな?)


他の人は存在について触れないが、私は寮を見て回り、一人部屋を使っているプリアナの部屋を確認した。中には入らなかったが、部屋の中から人の気配は感じたので、ここにいるのは間違いないだろう。


「あ、午後のダンスの授業は予定が変更になって、3年生と一緒に受けるそうですよ」

「先輩方ですし、ずっと上手なんでしょうね?」

「芸術や教養の授業は他学年と一緒になることもあるって聞いていましたけど。年上の方たちと一緒だと思うと緊張しますね」


学年が混ざるといっても、普通は前後1〜2学年程度で、高学年と関わることはほとんどない。そのためか、サラドお兄様と授業を受けられないことに落胆している女子生徒もいた。婚約者もいるのだから、一緒にいたところで何か起こるわけでもないのに。


おしゃべり好きな女の子たちの会話は、わざわざ割り込まなくても隣で黙って聞いているだけで多くの情報が得られる。そしてその中には、プリアナ以外にも少しだけ気になる存在がいた。


「そういえば、あの人も3年生でしたよね? 数日前に戻ってきたって聞きました」


楽しく騒がしく話していたさっきまでとは違い、少し声を潜めて慎重に話題を変えた女子生徒が私に意見を求めた。


「もしかしたら形式上はエシリー様のパートナーになるかもしれませんけど。大丈夫ですか? 不快でしたら、別の生徒と組ませてほしいと先生に前もってお願いした方がいいですよ」

「私は別に気にしません。ただの授業ですもの。そんなに気にしている素振りを見せたら、他の生徒も気まずくなりますよ」


王族として周囲を把握しておくのは当然のことだ。それがたとえ子どもであっても、同学年以外に注意すべき人物がいるなら、大人たちが先に情報を教えてくれる。私も入学前に両親や王宮教師、そしてサラドお兄様から聞いていた。


(複雑な生い立ちの私生児ってことか。本で読む分には面白くても、現実ではこんな扱いになるんだな)


現在この学校の3年生には、隣国から来た王族とも貴族ともつかない微妙な出自の男子生徒が一人いる。もちろん外国から来た生徒自体は各学年に一人か二人程度いるのだが、彼は本当に特別というか、ややこしいというか。


「正直、早く本国へ帰ってくれればいいのに」

「本当にね」

「あちらもあちらで、自国に置いておくのは都合が悪いんでしょうね」


現在この学校に通っている王族は私と三番目のお兄様だけだが、外国の王族まで広く含めるなら彼も入ることはできるだろう。本物の王族として認められてはいないが、現女王の異母弟ではあるのだから。


隣国オビウス王国は女王制の国であり、現女王の「正常な」弟妹たちは当然ながら同じ母親から生まれている。もちろん父親も全員同じだ。しかしただ一人、女王である母ではなく、男爵家出身の侍女と父親との間に生まれた私生児がいる。


先代女王が亡くなる前に生まれたため、どうしようもない不倫の証拠となってしまった子どもが。

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