XXVI — エミール……
君を必ず見つけ出す。
10月31日 — 隔離令が発令されてから46日目。
「みんな、無事か?」と僕は尋ねた。
「無事だよ」とサムが答えた。
デレクが近づいてきて、数秒間、僕を見つめた。
「どこにいたんだ、ジェイコブ?」
「自分の頭の中で迷子になってた」と僕は答えた。
ローラは少し視線を落とした。何か言いたそうだったが、どう言葉にすればいいのかわからないようだった。
「エミール……」と僕はつぶやいた。
「話さなきゃならないことがある」とデレクが口を挟んだ。
僕はすぐに彼を見た。
「あいつはどこだ?」
「落ち着け。彼は無事だよ」とクラウディオが答えた。「キャンプが正体不明の空爆を受けたとき、僕たちは逃げるしかなかった。ローサはエミールと一緒にいたんだが、感染者の大群に引き離されて、別々の道を進まざるを得なくなった」
胸のつかえが、少しだけ取れた気がした。
「無事だって、どうしてわかるんだ?」
「ローサは女性と子供たちを避難させていた軍用トラックに乗って逃げられたんだ。ところが、車内で誰かが感染したらしくて、彼女はエミールを連れて一人で逃げなきゃならなくなった。トラックにいた感染者の兵士から無線機を手に入れて、僕たちと連絡を取ることができたんだ。居場所も教えてくれた。でも、今朝になって通信が途絶えた」
デレクが僕に手を差し出した。
「生きていてくれてよかった、ジェイコブ」と言いながら、彼は僕が立ち上がれるように手を差し伸べた。
その手をつかみ、僕は立ち上がった。
「みんな、死んだと思ってた……」
サムが僕にバックパックを渡した。
「私たちを殺すには、それだけじゃ足りないよ」
僕は急いでバックパックを開けた。自分の荷物はまだそこにあった。
「僕も一緒に行く」
僕たちは東へ向かって歩き始めた。進みながら、ローサが無線で伝えられたわずかな情報を、みんなが教えてくれた。トラックはキャンプから逃げる際にあの道路を通っており、僕たちより数日先を進んでいたらしい。最後の通信によれば、ローサとエミールは僕たちの現在地から北東にある街で、どこかのアパートに身を潜めていた。
道路を進み、北へ向かう分岐点にたどり着いた。ローサが伝えてきた方角はわかっていたが、それでもほとんど手探りで進んでいるようなものだった。エンリケの計算では、夜通し歩き続ければ朝には到着できるはずだった。
だから、僕たちは歩き続けた。
しばらくすると、デレクが僕の隣に並んだ。
「大丈夫か?」
「まあ、なんとか。一度にいろんなことが起きすぎた」
彼の視線が、僕の手に握られたタバタのシュマグに落ちた。
「彼女は……」
「いや、死んでない」と僕はすぐに訂正した。「何があったのか、話すよ」
僕はキャンプで起きたことと、タバタが兵士たちに僕は死んだと思い込ませた経緯を説明した。
デレクは数秒間、黙っていた。
「それで、どうしてシュマグを手に持ってるんだ?」
僕は布を見つめた。
「彼女の匂いが消えてほしくないんだ」
デレクは小さく笑った。
「たぶん、彼女はお前に身につけていてほしくて渡したんだと思う。いつも自分がそばにいるように感じられるようにな。バックパックにしまっておくためじゃない」
僕は考え込んだ。
彼の言うとおりだった。
タバタにとって、あのシュマグがどれほど大切なものなのか、僕は知っていた。彼女が去る前にそれを僕に渡したのなら、きっと身につけていてほしかったのだろう。
僕はそれを首に巻いた。
デレクが僕の背中を軽く叩いた。
「よく似合ってる」
「ずいぶん楽しそうに話してるじゃないか。おやおや?」と、僕たちのところまで追いついてきたサムが言った。
彼女は近づくと、片腕で僕を抱きしめ、数秒間、頭を僕の肩に預けた。
「大丈夫か?」と僕は笑顔で尋ねた。
彼女は体を離した。
「もう会えないと思ってた。まあ……私はそう思ってたよ」
僕は彼女を見た。
「またみんな一緒だ。あとはエミールとローサだけだ。二人が戻れば、全員そろう」
サムは視線を落とした。
「最後に言い争ったときのこと、謝りたかったんだ。あんたを馬鹿呼ばわりしたこととか、いろいろ」
「僕が悪かったんだ。サム、君の言うとおりだった」
デレクが首を横に振った。
「タバタのことは違う。彼女はお前のために自分を犠牲にしたんだ」
「そうだな……」
サムが僕を見た。
「また彼女に会えるよ」
「どうしてそんなに確信してるんだ?」
彼女は微笑んだ。
「二人はそっくりだから。あんたと彼女。遠くから見ていても、パズルのピースみたいにぴったり合ってるってわかるよ」
僕は思わず笑みを浮かべた。
「わかった。じゃあ、そうなるって信じることにするよ」
僕は彼女の肩に腕を回した。彼女もまた、数秒間、僕に頭を預けた。
僕たちだった。
また、みんな一緒になった。
あと二人だけが足りなかった。
太陽が沈み、僕たちは手に懐中電灯を持って歩き続けた。風が木々の間を吹き抜け、頭上の枝を軋ませていた。誰もあまり口を開かなかった。これまで経験してきたことを思えば、黙ったまま一緒にいられるだけでも、心が安らいだ。
やがて僕たちは道端で立ち止まり、休憩して食事を取ることにした。デレクが小さな焚き火を起こし、僕たちはその周りに座って体力を回復させた。
僕の左にはローラ、右にはエミリーが座った。その隣にはデレクとブリサがいた。
ローラが救急箱を開いた。
「ちょっと見せて」
僕は手袋を外し、火傷した手と銃創を見せた。
「よくなってきてる」
ローラは傷を調べた。
「少し膿が出てるけど、大丈夫だよ」
「まだかなり痛む」
「そりゃそうだよ。休ませてないんだから。それに、その手袋じゃ傷が呼吸できないし、ずっと湿ったままになってるよ、もう」
「必要なんだ」
ローラは片眉を上げた。
「前に私が包帯を巻いてから、一度も交換してないみたいだね」
「十分に気を配ってなかった」
「ほんとに一発ぶん殴るよ」
彼女は笑いながら、僕の手を消毒し、包帯を巻き終えた。
「ありがとう、ローラ」
ブリサは数秒間、僕の服を観察した。
「ジェイコブ、何日も着替えずに、体も洗ってないのが丸わかりだよ。石鹸ならここにある。デレク、地図で見た川はどこ?」
「あっちに少し行ったところだ」と、彼は木々の間を指さして答えた。
サムが僕にバックパックを渡した。
「キャンプから逃げたとき、あんたの荷物を持ってきたんだ」
僕はバックパックを開け、すべて残っていることを確かめた。
「正直、助かるよ。みんな、ありがとう」
僕は立ち上がり、懐中電灯を手に森へ入った。月明かりは枝の間からわずかに差し込むだけだったが、しばらく進むと、岩の間を流れる水の音が聞こえてきた。
服を脱いだ。
ひどい臭いがした。血と土と煙、それに何日分もの汚れの臭いだった。
水に入り、体を洗い始めた。あざや切り傷、銃創の周囲に、ひとつずつ手を滑らせた。動くたびに、タバタと一緒に遂行した任務の記憶がよみがえった。
彼女が僕にくれた軍服が、何よりも彼女を思い出させた。
その服も石鹸で洗い、乾くようにしてから、みんなのところへ戻る準備をした。
体を拭いて服を着終えると、焚き火のところへ戻った。
デレクは僕を頭から足元まで眺め、笑みを浮かべた。
「これでようやく、いつものジェイコブだな」
サムが大声で笑った。
「何より、あのひどい軍服を着てないからね」
「君は自分に支給されなかったからって、嫉妬してるんだろ」
「はいはい」と彼女は皮肉っぽく笑って答えた。「嫉妬で死にそうだよ」
ブリサが皿を差し出した。
「冷める前に食べて」
「ありがとう」
僕はみんなのそばに座った。皿を両手で持つと、焚き火の熱が顔に当たった。何日も一人で食事をしていた僕にとって、その時間はどこか不思議だった。食べ物のせいではない。周囲から声が聞こえ、火の熱を感じ、みんなが一緒に座っている。そのことが大切だった。
数分間、誰もあまり話さなかった。
サムはときどき僕を見ていた。まるで、僕が本当にそこにいるのか、確かめずにはいられないようだった。
「こんなふうに突然現れるなんて、信じられないよ」と、彼女がようやく口を開いた。
「僕もだよ」
「死んだと思ってた」
「僕も君たちが死んだと思ってた」
デレクは焚き火に目を落とした。
「俺たちも、お前にはもう二度と会えないかもしれないと思ってた」
「でも、これでまた全員そろったね」とエミリーが言った。
クラウディオが鼻から息を吐いた。
「全員じゃない」
その一言で、会話の勢いが少し弱まった。
誰のことを言っているのか、僕たちはわかっていた。
ローサとエミール。
「二人とも見つけるさ」とエンリケが言った。
クラウディオが彼を見た。
「そうだといいが」
「ただの希望じゃない」とエンリケは続けた。「ローサは自分の身を守る術を知ってる。僕たちの誰よりもずっとな」
エミリーもうなずいた。
「あの感染者の大群からエミールを連れ出せたんだから、きっと身を隠せる場所も見つけてるよ」
「彼女はこういう状況にも慣れている」とエンリケが付け加えた。「今、二人が危険にさらされていると考える理由はない」
クラウディオは数秒間、黙っていた。
「心配する理由ならある」
「そうだね」とエミリーが答えた。「でも、心配することと、二人が死んでいることは同じじゃないよ」
クラウディオは炎を見つめた。
「わかってる」
サムは膝に肘をついた。
「それに、居場所はわかってる。街のどこかのアパートにいるって。ほんの数時間前には、それすらわからなかったんだから」
「進むべき道もある」とデレクが言い、隣に置かれた地図を指さした。「今、必要なのはそこにたどり着くことだけだ」
ブリサは食料の残りを見た。
「あとどれくらい残ってる?」
デレクは頭の中で簡単に計算した。
「配給を続ければ、食料はあと二日分くらい。水はもう少しある。弾薬は……決して余裕があるとは言えないな」
「なら、あまり遠回りはできないな」とクラウディオが言った。
「だからといって、罠に飛び込むわけにもいかない」とデレクが答えた。
クラウディオが顔を上げた。
「そこまで急げと言ってるわけじゃない」
「そう聞こえるぞ」
「ローサとエミールは何時間も待ってるんだ」
「私たちだって何時間も歩いてる」とブリサが口を挟んだ。「疲れ果てた状態で到着しても、誰も助けられないよ」
クラウディオが反論しようとしたが、エンリケが先に口を開いた。
「ブリサの言うとおりだ」
クラウディオが彼を見た。
「お前までか?」
「ああ。だからといって、一晩中ここにいたいわけじゃない」
エミリーがわずかに笑った。
「奇跡だね。みんなが意見を合わせるなんて」
デレクが小さく笑った。
「慣れるなよ」
サムが再び僕を見た。
「それで、あんたは? キャンプのあと、何があったの?」
その質問は、言葉以上の重みを持って僕に落ちてきた。
僕は自分の手に目を落とした。
「いろいろあった」
サムはそれ以上、追及しなかった。
デレクも同じだった。
それ以上、誰も尋ねる必要のない沈黙だった。
隣に座っていたローラが、包帯を巻かれた僕の手を見た。
「とにかく、まだここにいる。それが大事だよ」
「そうみたいだな」
「それと、もうあんなふうにいなくならないでよ。国の半分を探し回るなんてごめんだからね」
会話は少しずつ和らいだが、心配は消えていなかった。誰もローサとエミールのことを忘れてはいなかった。
クラウディオが地図を取り、地面に広げた。
「これからどう進む?」
デレクは身を乗り出し、道路を指さした。
「右手の道路を北へ九キロ進むと、街に直接つながるトンネルがある。最短ルートだが、最も危険でもある」
「どうして?」とエミリーが尋ねた。
「中に何があるのかわからないからだ」
「それは確かに説得力があるね」とサムがつぶやいた。
デレクは続けた。
「中は真っ暗だ。運がよければ、数時間歩くだけで抜けられる。そうでなければ、引き返すしかない」
クラウディオは地図の別の場所を指さした。
「トンネルを迂回したら?」
「距離は倍になるだろうな」
「それじゃ時間を無駄にする」
「そうだ」
ローラは腕を組んだ。
「つまり、危険を冒すか、安全策を取るかってことね」
「私は、死んで到着するくらいなら、明日到着するほうがいい」とブリサが言った。
「俺も明日到着するほうがいい」とクラウディオが答えた。「街に、という意味だ」
ブリサが彼を見た。
「わかってるよ」
デレクは再び地図に目を落とした。
「トンネルから入ることはできる。ただし、明るいうちに進まなきゃならない。懐中電灯は最後の手段だ」
「感染者がいたら?」とサムが尋ねた。
「絶対に必要な場合を除いて、撃たない」
「大勢いたら?」
デレクが顔を上げた。
「そのときは走る」
サムが笑った。
「素晴らしい作戦だね」
「ほかにないからな」
みんなが小さく笑った。
クラウディオでさえ笑った。
数秒間、緊張が消えた。
そのあと、ブリサが再び僕を見た。
「でも、彼は休まなきゃ」
「大丈夫だ」と僕は言った。
ローラが小さく笑った。
「大丈夫じゃないよ」
「歩くことはできる」
「歩けるからって、大丈夫とは限らないでしょ」
サムがうなずいた。
「彼女の言うとおりだ」
デレクも同意した。
「明日、決めよう。疲れ切った状態で決断しても意味がない。今夜は何も決める必要はない」
クラウディオは地図を見つめていた。やがて、それを折りたたんだ。
「わかった」
彼は地図を脇に置いた。
「だが、朝になったら出発する」
「朝になったら出発だ」とデレクが確認した。
僕はブリサを見て、小さく感謝の合図を送った。
彼女はただ、うなずいた。
僕たちが食事を終える間も、焚き火は燃え続けた。食料の残りやルート、トンネルの向こうに何があるのか、街にたどり着くまでどれくらいかかるのかについて話した。
もっと些細なことも話した。
サムはキャンプから逃げる途中でデレクがやらかした馬鹿げた話を思い出した。エミリーが彼をからかい、エンリケがかばおうとしたものの、かえって話をひどくしてしまった。ローラは三人を見て笑った。
クラウディオまで、いつの間にか会話に加わっていた。
キャンプを失ってから初めて、僕は幽霊ではなく、人々に囲まれているのだと感じた。
それでも、焚き火が弱まり、長すぎる沈黙が訪れるたびに、同じ光景が頭に浮かんだ。
エミール。
ローサ。
二人は生きている。
それだけで十分だった。
少なくとも、今夜は。
僕たちは寝袋に入り、二人が見張りに立った。僕は、トンネルに入るのに十分な明るさが得られる時刻を考えながら、腕時計のアラームを午前八時に設定した。
なかなか眠れなかった。
焚き火の爆ぜる音、木々の間を抜ける風の音、見張りに立つ者たちのときおり聞こえる足音が耳に入ってきた。
頭の中では、二つの選択肢について考え続けていた。
トンネルを迂回すれば安全だが、時間がかかる。
トンネルに入れば、もっと早く進める。だが、中で何が待ち受けているのかはわからない。
やがて、僕は決断した。
トンネルを通る。
危険は大きい。
だが、そのぶん早く進める。
11月1日 — 隔離令が発令されてから47日目。
目を覚ますと、僕は自分の決断をみんなに伝えた。
全員が賛成した。
軍服はすでに乾いていて、きれいになっていた。タバタのシュマグを首に巻き、グレーのデジタル迷彩のズボン、ブーツ、膝当て、黒いTシャツを身につけた。残りの荷物はバックパックにしまった。
デレクはなぜか、いつも以上に警戒していた。ただ、何も言わなかった。
僕たちは道の半分ほどを森の中で進み、そのあとトンネルへ続く道路に出た。かなりの距離を歩き、ようやく入口にたどり着いた。
クラウディオが顔を上げた。
「ストーンヘイヴンか」
「そこだ」とデレクが答えた。
僕は入口を観察した。
感染者が四体いた。
「デレクとクラウディオは左だ。あの二体を始末してくれ。僕はエンリケと右へ行く」
エンリケが刃物を抜いた。
「わかった」
僕たちは音を立てずに動いた。
四体の感染者は、誰も銃を撃つことなく倒された。
クラウディオがトンネルの内部を見つめた。
「まだ計画を変更する時間はあるぞ」
道中に見せていた自信が、彼の声から少し失われていた。
「もう無理だ。早く着くほどいい。懐中電灯を手に持て。必要になるまで撃つな」
僕たちは中へ入った。
そこは車の墓場だった。
放置された車両がトンネルのほぼ全体を占め、地面には死体が散乱していた。
エンリケがそのうちの一体を照らした。
「くそ……ここで何があったんだ?」
「すべてが始まった頃のことだろう。渋滞が起きて、逃げるために車を捨てて徒歩で進んだんだと思う」
僕たちは進み続けた。
そして、ちょうど中央まで来たところで、
天井が崩落していた。
大量の瓦礫が道を完全に塞いでいた。
サムが上を見上げた。
「どうするの?」
クラウディオがため息をついた。
「引き返すしかない」
エミリーが懐中電灯を持ち上げた。
「見て」
彼女はトンネルの右側にある、緑色の金属製のドアを指さしていた。
僕たちは近づき、なんとかドアを開けた。
その先には設備用の通路、保守管理室、長い廊下があり、運がよければ街へ直接出られる非常口もありそうだった。
「進もう」と僕は言った。「もっと安全な道が見つかるかもしれない」
僕たちは慎重に廊下を進んだ。
しかし、閉ざされた金属製のドアに行く手を阻まれた。
全力で開けようとした。
びくともしなかった。
デレクはとうとう疲れ果て、壁にもたれかかった。
「無理だ……」
サムが鍵穴を調べた。
「鍵を探さなきゃ」
クラウディオが周囲を見回した。
「どこにあってもおかしくない。そもそも、ここにあるとも限らないぞ」
そのとき、背後から声が聞こえた。
「水……」
僕たちは振り返った。
浮浪者のような身なりをした男が、ゆっくりと近づいてきていた。
彼は両手を合わせていた。
「水を、お願いだ……」
僕たちは互いの顔を見た。
僕はバックパックから水筒を取り出し、彼に渡した。
男は一気に半分以上を飲んだ。
クラウディオが乱暴に水筒を取り上げた。
「このドアの開け方を教えたら、続きを飲ませてやる」
男は怯えた目で彼を見た。
「お、俺は知らない……で、でも、知ってる人ならいる」
「その人のところへ案内してくれ」と僕は言った。
「つ、ついてきてください……お願いです」
彼は、僕たちがまだ入っていなかった部屋へ案内した。
中にはさらに四人、女が一人と男が三人いた。
そのうちの一人が浮浪者に近づいた。
「こいつらは誰だ、ラウル?」
ラウルは彼の耳元で何かをささやいた。
男はうなずいた。
「なるほどな」
デレクがドアを指さした。
「出口を開ける必要がある」
「ああ。俺たちは鍵を持ってる」
安堵が胸に広がった。
「よかった。お願いですから、鍵を渡してもらえませんか? 急いでいるんです」
男は首を横に振った。
「こっちも鍵が必要なんだ」
「どこの鍵だ?」
「ついてこい」
彼は僕たちを別の部屋へ案内した。
奥には、物資でいっぱいの独房があった。
クラウディオがそれを見つめた。
「これは何だ?」
「ここに住んでいた男がいたんだが、鍵がどこにあるのかわからない」
サムが鉄格子に近づいた。
「これを開けてほしいってこと?」
「そうだ。俺たちには針金を切る道具も、壊す力もない。もう何日も食べ物も水も口にしてないんだ」
デレクが疑い深そうに彼を見た。
「なら、どうしてここから出なかった?」
男は、すべてが始まったときに出口が崩落し、ストーンヘイヴンへ逃げようとした者たちが感染者に圧倒されたのだと説明した。入口は死体で埋め尽くされていたため、彼らは僕たちが入ってきたドアから逃げたのだという。
「それから、もうあそこからは逃げられないぞ」と彼は付け加えた。「外側からしか開けられないんだ。閉めたなら、俺たちと同じように自分たちをここに閉じ込めたってことだ」
「でも、僕たちが出ようとしているドアの鍵は持ってるんだろ?」と僕は尋ねた。「どうしてそっちから出なかった?」
「試したさ。死体でいっぱいなんだ」
クラウディオが男をじっと見た。
「つまり、俺たちに針金を切らせて、そのあとで鍵を渡すってわけか」
「成功したら渡す」
クラウディオが手を差し出した。
「先に鍵を見せろ」
「いや」と僕は答えた。「いいんだ。彼の言葉を信じる」
僕たちは鉄格子に近づいた。
ペンチを使い、太い針金を切り始めた。数分かかったが、ようやく人が通り抜けられるほどの隙間を作ることができた。
「よし、開いたぞ」
クラウディオが横目で僕を見た。
男は笑った。
「ありがと……」
僕は手を差し出した。
「鍵を」
男は落ち着きを失った。
「ええと……その……」
僕はもう片方の手をベルトに差してある拳銃に置いた。
「鍵を」
「ラウルが持ってる。別の部屋にいる。あいつが渡すから、行ってくれ」
僕たちは振り返った。
数歩進んだところで、
轟音が僕たちを立ち止まらせた。
バン!
銃声が通路全体に響き渡った。
僕たちは振り返った。
男は、チュニックの中から二連銃身のソードオフ・ショットガンを取り出していた。
クラウディオと僕は同時に反応した。
発砲した。
男が倒れた。
「エンリケ!」とクラウディオが叫んだ。
「くっ……くっ……」
エンリケは床に倒れていた。
複数の散弾が首に命中していた。
指の間から血があふれていた。
息をしようとしていたが、溺れるように血にむせていた。
彼は目を大きく見開き、僕たちを見つめていた。
助けを求めていた。
ローラが彼のもとへ駆け寄った。
「何とかしろ、ローラ!」とクラウディオが叫んだ。
彼女は両手で傷口を押さえた。
「も、もう何もできな……わ、私には……」
血は流れ続けていた。
「くっ……くっ……」
エンリケは片手を持ち上げ、クラウディオのTシャツを強くつかんだ。
クラウディオが彼を見た。
その表情が変わった。
突然、怒りがこみ上げてきた。
「お前らを殺してやる!」
彼は立ち上がり、拳銃を抜いた。
「待て!」と僕は叫んだ。
「ジェイコブ、あいつがエンリケを殺したんだぞ!」
「わかってる」
「だったら、やらせろ!」
「殺したら、出口の鍵がどこにあるかわからなくなる」
クラウディオは荒い息をしていた。
「鍵なんか知ったことか!」
「僕は知ったことだ。ここから出なきゃならない」
彼は怒りに満ちた目で僕を見た。
数秒間、僕を突き飛ばすのではないかと思った。
だが、最後には銃を下ろした。
「あとで殺す」と彼はつぶやいた。「絶対に殺してやる」
デレクと僕は、もう一つの部屋へ向かった。
到着すると、残りの者たちはすでに僕たちを待ち構えていた。
彼らは割れた瓶や金属の棒で作った即席のナイフを手にしていた。
僕は両手を上げた。
「危害を加えるつもりはない。鍵が欲しいだけだ」
彼らは聞く耳を持たなかった。
僕たちに襲いかかってきた。
発砲した。
一人が倒れた。
続いて、もう一人。
すべてが終わったとき、ラウルだけが残っていた。
クラウディオがすぐに近づいた。
彼は拳銃の銃口をラウルの頭に押しつけた。
「俺が殺す」
「やめろ!」
僕は彼の腕を叩き、銃をそらした。
拳銃が床に落ちた。
クラウディオが横から殴りかかってきた。僕は胸と頭を後ろにそらして、なんとか避けた。
デレクが素早く反応し、背後からクラウディオをつかんで、両腕を押さえ込んだ。
「あいつらがエンリケを殺したんだぞ、ジェイコブ!」とクラウディオが涙を浮かべて叫んだ。
「わかってる! でも、僕たちまで同じことをするわけにはいかない! 鍵が必要なんだ!」
「あとで殺す。絶対に殺してやる!」
彼は、今まで見たこともないほどの怒りを込めてラウルを見つめていた。
僕はデレクを見て、うなずいた。
彼はクラウディオを解放した。
銃声と叫び声を聞きつけた女性たちが、ほどなくして駆けつけた。彼女たちは怯えていた。
「縛ろう」と僕は言った。
ラウルを座らせ、両手を縛った。
僕は彼の前にしゃがみ込んだ。
「鍵はどこだ?」
「し、知らない……」
クラウディオが彼に一歩近づいた。
「知ってるだろ! いったいどこにあるんだ?」
僕は腕を伸ばして彼を止めた。
「聞いてくれ。あいつらと同じ最期を迎える必要はない。鍵の場所を教えれば、食べ物と水を渡す。ここから出してやる」
ラウルは怯えきった目で僕たちを見た。
「ど、どうせ俺を殺すんだろ……」
「いや。約束する」
「ほ、本当に約束するのか?」
「ああ、約束する」
ラウルは唾を飲み込んだ。
「あ、あのネズミの中だ」
彼は隅にいる三匹のネズミを指さした。
僕は困惑して彼を見た。
「何だって?」
「今朝、寝ている間にポケットから鍵を盗まれて……それで、飲み込まれたんだ」
クラウディオが拳銃を持ち上げた。
「鍵まで撃つなよ。僕たちの終わりだぞ」と僕は言い、彼の銃に手を置いた。
僕はゆっくりとネズミたちに近づいた。
一匹が後ずさりした。
僕は飛びかかり、なんとか捕まえた。
ネズミは僕の手袋に噛みつき始めた。
強く押さえ込み、首を折って殺した。
そのあと、吐き気をこらえながらマチェーテで体を切り開き、内臓の中を探した。
「頼む……」
残骸をかき分けていると、金属のようなものに指が触れた。
それを取り出した。
「本当だった。ここにある」
鍵は無事だった。
そのとき、また銃声が響いた。
バン!
僕は振り返った。
クラウディオがラウルの頭を撃っていた。
僕は彼を見つめた。
怒鳴りつけたかった。
だが、何も変わらなかっただろう。
ラウルはもう死んでいた。
クラウディオは銃をしまった。
「もう用済みだった」
僕は何も答えなかった。
ただため息をつき、ほかの仲間たちを見た。
僕たちはエンリケのところへ戻った。
ローラはまだ心肺蘇生を続けていた。
彼の体は動かなかった。
その目には、もう命の光がなかった。
僕は彼女の隣にひざまずいた。
「もういいんだ、ローラ……」
僕は彼女の手首をそっとつかんだ。
彼女は一瞬、抵抗した。
「やれるだけのことはした……」
涙が彼女の頬を伝っていた。
「わかってる」
僕は彼女が立ち上がるのを助け、手の血を拭えるように布を渡した。
エンリケの遺体を黒い袋で覆った。
それから、鍵をドアに差し込んだ。
回った。
錠が外れた。
ドアが開いた。
僕たちは出口を見つけたのだ。
数分間休み、役に立ちそうなものをすべて集めた。
僕はマチェーテを腰の黒い鞘に収め、仲間たちを見た。
また一人、失った。
それでも、立ち止まるわけにはいかなかった。
「使えそうなものを持って、ここを出よう」
街へ続く通路に目を向けた。
エミールとローサは、まだあの先にいる。
そして、僕たちは二人を見つけなければならない。
「捜索を続けよう」
君を必ず見つけ出す。




