XXV — ゼロからの再出発
この新たな機会に感謝する……ありがとう。
10月28日 — 隔離令発令から43日目。
痛みを感じながら、僕は一人で目を覚ました。数秒間、アパートの天井を見つめたまま動かなかった。声も、足音も、エンジン音も、無線の音も、壁の向こうから聞こえる話し声もなかった。ただ、静寂だけがあった。喉は渇き、胃は空っぽだった。左肩は脈を打つたびに痛み、まだ体内に残っている銃弾の存在を思い出させた。僕は無線機を探し、電源を入れた。
「誰か、聞こえるか?」
待った。何も聞こえなかった。
「誰かいるか?」
聞こえるのは静電ノイズだけだった。
もう一度、ボタンを押した。
「頼む……誰でもいい」
何もなかった。
僕はゆっくりと無線機を下ろした。体を起こすと、肩の痛みとともに、昨夜の出来事が一度に蘇った。キャンプ、炎、遺体、ハミルトン、イーサン、タバタ、仲間たち。僕は数秒間、目を閉じた。
ここに留まるわけにはいかなかった。銃弾を取り除く道具も、傷をきちんと縫合する手段もなかったが、悪化する前に処置する必要があった。僕はリュックと、任務のためにタバタが渡してくれた拳銃を手に取った。階段を下り、入口を塞ぐために置いていた木製の家具をどかした。
外に出ると、冷たい空気が顔を打った。通りは完全に無人だった。キャンプのほうを見ると、木々の間からまだ白い煙が立ち上っていた。火は消えていたが、煙は残っていた。僕は数秒間それを見つめてから、視線をそらした。治療できる場所を見つけなければならなかった。
3ブロックほど先で、動物病院を見つけた。病院ではなかったが、何もないよりはましだった。入口のガラスを割って中に入った。薬品と埃、湿気の臭いがした。部屋を順番に調べ、手術器具と薬がいくつか残っている小さな処置室を見つけた。ドアを閉め、腰を下ろして、鉗子を消毒した。
十分な麻酔薬はなかった。
だから、ただ処置を始めた。
鉗子を傷口に差し込むと、僕は歯を食いしばった。筋肉の中で銃弾が動くのを感じた。
「頼む……」
銃弾をつかみ、引き抜いた。
鋭い痛みが肩を貫き、抑える間もなく叫び声が漏れた。銃弾が床に落ちた。数秒間、ただ呼吸することしかできなかった。その後、傷口を洗浄し、縫合を始めた。血が、任務から戻って以来ずっと着ていた灰色のデジタル迷彩の制服を汚していった。
処置を終えると、僕は床を見つめたまま座っていた。肩に穴が開き、キャンプの火災や炎によるものと思われる穴もいくつかできていた上着を脱ぎ、脇に置いた。ズボンとブーツだけは残した。そのまましばらく何もせずに座り続け、どれほど時間が過ぎたのかさえわからなかった。
やがて、リュックを開けた。
中にはタバタのシェマグが入っていた。
それを取り出し、顔に近づけた。まだ、あのほのかなジャスミンの香りが残っていた。深く息を吸い込むと、涙が一粒こぼれた。拭わなかった。数分間、両手でそれを握りしめていた。そのとき、犬の鳴き声が聞こえた。
顔を上げた。
もう一度、鳴き声がした。
立ち上がって動物病院を出た。通りでは、白と黒の犬が、2台の車の間に挟まって動けなくなった感染者に向かって吠えていた。犬は吠えるのをやめなかった。
「おい……こっちへおいで」
僕はしゃがみ、手を差し出した。
犬が僕を見た。
「おいで」
犬は近づくどころか、走り去ってしまった。
「いや、待って……こっちへおいで、頼む」
僕は後を追い、やがて犬が立ち止まった路地にたどり着いた。近づくと、犬は撫でさせてくれた。首輪がついていたので、指でつまんだ。
「マンチャス……」
僕はため息をついた。
「もっと単純な名前をつけてやれなかったのか?」
犬は尻尾を振った。
キャンプであのことが起きて以来、僕は初めて少しだけ笑った。
食べ物を探すことにした。動物病院を探していたときにスーパーマーケットを見かけたのを覚えていたので、そこまで歩いた。入る前に感染者がいないか確認した。店内は空っぽだった。妙だった。あれだけのことを見てきた後では、街が静かすぎるように思えた。この一帯の感染者の大半は、軍が排除したのだろう。
中に入り、食事をして水を飲んだ。マンチャスも後をついてきていた。棚の一つでドッグフードを見つけ、少し与えた。それからペットボトルの水を容器に注ぎ、犬の前に置いた。犬は必死に水を飲んだ。
屋上に上がり、犬と一緒に腰を下ろした。高い場所から、無人の通りを見渡せた。遠くでは、警察車両が街灯の柱に突っ込んでいた。僕は立ち上がり、階下へ下りて車両まで歩いた。中には青い制服を着た感染者がいた。金属片が体を貫き、座席に固定していた。それがそいつの命を奪ったのだろう。
車内を調べると、5.56×45ミリ弾の弾薬箱を2箱見つけた。拳銃もあったが、損傷がひどく、使い物にならなかった。さらに、G36Cを見つけた。手に取り、弾倉を確認すると、さっき見つけた弾薬と同じものを使うことがわかった。すべて持っていくことにした。
外に出ると、マンチャスはまだ待っていた。
犬は僕の後を歩き続けた。孤独は少しだけ和らいだが、痛みは消えなかった。肩の痛みだけではない。縫うことも包帯を巻くこともできない、もう一つの痛みだった。
空を見上げた。灰色の雲が街の上に集まり始めていた。嵐が近づいていたので、避難場所を探した。安全そうな衣料品店を見つけた。中に入り、周囲を確認して、眠れる場所を整えた。床に衣服を何枚か広げ、それから所持品を確認した。G36C、タバタの拳銃、ベルトに固定した黒い鞘に収めた黒いマチェーテ、弾薬、日記、カメラ、シェマグ、それに少しばかりの物。
太陽が雲の向こうへ消え、しばらくすると雨が降り始めた。マンチャスは、隅に投げておいた衣服の山に体をうずめた。僕はそのそばにしゃがんだ。
「居心地はいいか?」
犬が顔を上げた。
僕は背中を撫でた。
「そうみたいだな」
店内は完全な静寂に包まれた。聞こえるのは、ガラスに打ちつける雨音と、マンチャスの穏やかな呼吸だけだった。僕は横になり、目を閉じて眠りについた。
キャンプの夢を見た。
仲間たちの夢だった。
彼らの声が聞こえ、数秒間、すべてがうまくいっていた。だが、そこに炎が現れた。テントが燃え始め、炎は大きくなり、叫び声と銃声が混ざり合った。彼らのもとへ走ろうとしたが、脚が動かなかった。
そして突然、犬の鳴き声が聞こえた。
目を開けた。
10月29日 — 隔離令発令から44日目。
昼だった。時計を見ると、午前11時だった。
「マンチャス?」
犬はいた場所にいなかった。
僕は慌てて体を起こし、ブーツを履き、武器を手に取って外へ出た。雨はまだ降っており、通りは無人だった。そのとき、遠くから犬の鳴き声が聞こえた。
僕は走った。
「マンチャス!」
犬は通りの真ん中にいた。周囲には約30体の感染者がいた。犬は吠えながら、その間を進んでいた。
「マンチャス!」
犬は僕の声を聞こうともしなかった。
拳銃を抜き、空に向かって3発撃った。感染者たちがこちらを振り向いた。
「こっちだ!」
何体かが僕を追い始めた。感染者たちを引き離そうと、通りを走り続けた。僕はただ、犬のところへたどり着きたかった。
雨脚が強くなった。
「マンチャス、こっちへ来い!」
あの忌々しい犬は、まだ進み続けていた。路地に入り、感染者たちもその後を追った。僕は走り、追ってくる感染者たちを避けながら、彼らより先にたどり着こうと速度を上げた。そのとき、いつもと違う音が聞こえた。
泣き声だった。
僕は立ち止まった。
「マンチャス?」
路地の入口にたどり着いた。
そこで、僕は目にした。
何体もの感染者が、犬の上に覆いかぶさっていた。犬を引き裂いていた。マンチャスはまだ動いていた。まだ生きていた。
胸の奥で何かが燃え上がるのを感じた。
G36Cを構え、発砲した。
一連射。
もう一度。
そして、もう一度。
感染者たちが僕のほうを向いた。取り囲まれるまで、僕は撃ち続けた。走ってピックアップトラックにたどり着き、感染者たちが手を届かせられないように屋根へ上がった。そこからも撃ち続けた。
雨があまりにも激しく、目を開けているのもやっとだった。銃弾が当たるたびに感染者が後ずさったが、僕は何も考えていなかった。弾数を数えることも、弾薬を温存することも考えなかった。ただ撃ち続けた。怒りに任せて、弾倉を空にしていった。
数分後、通りは静まり返った。
残っていたのは雨音だけだった。
僕はトラックから降りた。弾はもう残っていなかった。マンチャスのところまで歩いた。犬はまだ動いており、苦しそうに呼吸していた。僕はそのそばに膝をついた。
「ごめんな……」
これ以上、苦しませるわけにはいかなかった。
拳銃を持ち上げた。
銃声は一発だけだった。
その後、僕は雨の中で数秒間、動かずにそこにいた。
また一つ、失ってしまった。
僕は歩き続けた。
どこへ向かっているのか、自分でもわからなかった。目標も目的地もなかった。ただ一歩、もう一歩、その次の一歩を踏み出していた。
やがて夜になった。街の外れで小さな小屋を見つけた。骨の芯まで冷えきっていたので、焚き火を起こした。悪い考えだとはわかっていた。火は自分の居場所を知らせることになる。それでも、もうあまり気にしていなかった。
炎の前に腰を下ろした。
火を見つめた。
そして、彼らのことを考えた。
そのとき、声が聞こえた。
「なあ……お前が俺たちの言うことを聞いていれば、こんなことにはならなかったんだ」
顔を上げた。
デレクが炎の向こう側に座っていた。
僕は彼をじっと見つめた。彼が現実ではないことはわかっていた。
「黙れ」
デレクは悲しげに微笑んだ。
「みんな、お前のせいで死んだんだ、ジェイコブ」
「黙れ」
炎がぱちぱちと音を立てた。
「お前は俺たちを見捨てた」
僕は焚き火を蹴った。燃えさしが飛び散り、煙が立ち上ってデレクを覆い隠した。
「黙れ!」
煙が晴れたとき、彼はもういなかった。
僕は深く息を吸った。
また一人になったのだと思った。
そのとき、別の声が聞こえた。
「すべてを彼のせいにはできないわ、デレク」
僕は顔を向けた。
サムが後ろに立っていた。肩に手が置かれるのを感じた。
「ただ、すべてがめちゃくちゃになったとき、私たちと一緒にいてくれたらよかったのに」と彼女は言った。
僕は答えなかった。表情は変わらなかったが、目には涙が浮かび始めた。
すると、三つ目の声が聞こえた。
「彼を責めないで」
ドアのほうを見た。
タバタがそこにいた。
最初の言葉を聞いた瞬間、彼女だとわかった。
「彼は自分が正しいと思ったことをしただけよ」と彼女は言った。「彼がしたことは、あなたたちのためだった。みんなのために」
僕はうつむいた。
「みんな、僕のせいで死んだんだ、タバタ……」
声はかすかにしか出なかった。
「君は僕を救うために自分を犠牲にしたのに、僕は一人になった」
唾を飲み込んだ。
「誰も勝っていない」
タバタが近づいてきた。彼女は微笑んでいたが、僕を見つめる瞳には心配の色が浮かんでいた。
「ジェイコブ、すべての罪を背負うことはできないわ」
彼女は僕をまっすぐに見た。
「あなたは私たちのために戦っていた。私たちを救う方法を探していたの。何が起こるかなんて予測できなかった。それに、仮に予測できていたとしても、止めることはできなかったわ」
僕は何も言わなかった。
「みんな、あなたが自分たちを救うために全力を尽くすってわかっていた」
彼女はもう少し近づいた。
「起きたことの責任を、あなたが負う必要はないの」
僕は目を閉じた。
彼らが本当にそこにいるわけではないとわかっていた。
これは夢だとわかっていた。
それでも、その言葉を聞く必要があった。
僕は泣いた。
彼らが生きていると信じたからではない。ただ、あの声が現実のものではなかったとしても、あまりにも長いあいだ隠そうとしてきた心の痛みを、ほんの数分間だけ和らげてくれたからだった。
目を覚ました。
焚き火は消えていて、小さな窓から太陽の光が差し込み始めていた。僕は灰を見つめていた。数秒間、誰かの声が聞こえるのを待った。
何も起こらなかった。
そこにいたのは僕だけだった。
また。
10月30日 — 隔離令発令から45日目。
あてもなく歩いた。目的は何もなかった。ただ、歩き続ける理由を見つけたかった。通りは相変わらず無人で、風が建物の間を吹き抜け、埃や紙、乾いた葉を舞い上げていた。頭の中は空っぽだった。
キャンプに戻ろうかと考えた。もしかしたら、あれは間違いだったのかもしれない。あの遺体は、彼らではなかったのかもしれない。
だが、タバタのシェマグに触れると、考えは変わった。
それを自分に引き寄せた。
ジャスミンの香りはまだ残っていた。
そして、すべてを思い出した。
悪夢ではなかった。
本当に起きたことだった。
生存者の痕跡を探しながら、その一帯を歩き続けた。何も見つからなかった。
ふと顔を上げると、暗い雲が空を覆い始めていた。もうすぐ嵐が来る。
そのとき、建物の縁に人影が見えた。
僕は立ち止まった。
人だった。
建物に向かって走った。中に入り、階段を上り始めた。一階、また一階、その次の階。終わりがないように思えた。リュックの重さが一段ごとに増していくように感じ、8階に着いたときには、もう限界だった。そこでリュックを置き、さらに上へ進んだ。
ようやく屋上に着くと、その人物が見えた。
20歳くらいの青年だった。屋上の縁に立っていた。
「おい!」
声が途切れた。息を整える必要があった。
青年は振り返ったが、答えなかった。その顔には、僕がよく知っている表情が浮かんでいた。
孤独。
恐怖。
空虚。
「何をしてるんだ?」
彼は下を見た。
「もう何も残ってない」
僕は数メートル離れた場所に立ち止まった。
「キャンプにいたのか?」
「ああ……」
彼はうつむいた。
「僕もだ」
言葉にするのがつらかった。
「僕も仲間を失った」
青年が僕を見た。
「友達だったんだ」
唾を飲み込んだ。
「僕のせいで死んだ」
彼は答えなかった。再び、眼下の空虚を見つめた。
一歩、前へ進んだ。
「やめろ! 待ってくれ!」
彼は立ち止まった。
「もう意味なんてない」と、僕を見ずに言った。
僕は少し近づいた。
「そんなことはない」
青年は答えなかった。
「信じてくれ。まだできることがある」
彼はもう一歩進んだ。
「楽な道を選ぶな」
彼の体が震えた。
「僕と一緒に来い」
もう少し近づいた。
「二人なら、きっと何とかできる」
彼は横目で僕を見た。
一瞬、後ろに下がってくれると思った。
だが、再び眼下を見つめた。
そして、もう一歩踏み出した。
僕は硬直した。
何もできなかった。
何も言えなかった。
ただ、見ていることしかできなかった。
そして、彼の姿は視界から消えた。
階段を下り、8階に置いてきたリュックを拾った。通りに出ると、彼の体がそこに横たわっていた。3体の感染者が近づき、その上に覆いかぶさっていた。
僕はそいつらを殺した。
その後、近くで白い毛布を見つけ、青年の体にかけた。
数秒間、彼のそばに立っていた。
名前も知らなかった。どこから来たのかも知らなかった。どんな人生を送ってきたのかも、何一つ知らなかった。
ただ、彼も僕と同じくらい孤独だったということだけはわかっていた。
雲はすでに街の上空を覆っていた。空は暗くなっていた。
僕は歩き続けた。
間もなく、雨が降り始めた。
雨粒が顔に当たり、その勢いはどんどん強くなっていった。歩き続けているうちに、僕は泣き始めた。最初はこらえようとした。そのうち、やめた。
通りの真ん中で膝をついた。
雨が髪と服を濡らしていった。
僕は泣いた。
仲間たちのために。
タバタのために。
マンチャスのために。
あの青年のために。
そして、自分自身のために。
雨が弱まり、空がゆっくりと晴れ始めるまで、僕は何分もその場にいた。2時間もしないうちに夕暮れが訪れる。太陽が雲を濃いオレンジ色に染め始めていた。
僕は立ち上がった。
ここに留まるわけにはいかなかった。
街を離れることにした。まず北へ向かい、それから東へ進もうと考えた。目立たないように街の外縁を進んでいると、東へ向かう出口の一つに交通標識が立っているのが見えた。
そこには何かが書かれていた。
赤みがかった茶色の文字だった。
近づいた。
読み取った。
「ジェイコブ、私たちは無事よ。東へ向かって空港を目指している。お願い、戻ってきて。――デレク」
僕は動けなくなった。
理解できなかった。
もう一度、読み直した。
一度。
そして、もう一度。
全身から血の気が引いていくのを感じた。
デレク。
デレク?
一歩踏み出した。
それから、もう一歩。
歩き始めた。
やがて速度を上げた。
足取りは大股になり、次に小走りになり、最後には全力疾走になった。
今までにないほど走った。
道路脇を駆けた。太陽は沈もうとしていた。肩は痛み、脚は焼けるように熱く、胸も苦しかった。それでも、止まらなかった。
彼らに追いつきたかった。
どうしても追いつく必要があった。
数分後、もう一つの標識が現れた。
同じメッセージだった。
速度を落とさなかった。
さらに速く走った。
太陽の最後の光が地平線をオレンジ色に染めるなか、空は暗くなり始めていた。
そして、彼らが見えた。
約200メートル先だった。
人影。
道路を歩く、何人もの人々。
僕は立ち止まった。
息ができなかった。
目に涙が浮かんだ。
彼らが誰なのか、わかった。
みんなだった。
僕の仲間たち。
生きていた。
言葉が一つも出てこなかった。
リュックを放り出し、道路脇で膝をついた。両手で顔を覆った。泣きながら、同時に笑っていた。泣くことと笑うことが一緒になっていた。叫び、拳を強く握りしめた。
そのうちの一人が後ろを振り返った。何かを言い、道路脇を指さしたようだった。ほかの者たちも振り返り、道路脇で膝をついている人物が誰なのか確かめようとしていた。
そして、僕に気づいた。
みんな、僕に向かって走ってきた。
最初にたどり着いたのはサムだった。彼女は僕を強く抱きしめ、傷の痛みが肩を貫いた。
「ジェイコブ!」
僕は目をぎゅっと閉じ、彼女を抱きしめ返した。
みんな、生きていた。
サムも生きていた。
その後、デレク、ローラ、ブリサがやって来た。さらに後ろでは、エンリケ、エミール、エミリー、クラウディオがこちらを見ていた。僕は一人ずつ、彼らの顔を見つめた。
信じられなかった。
何日ものあいだ、みんな死んだと思っていた。彼らの遺体を見た。彼らのために泣いた。二度と声を聞くことはないと思っていた。
それなのに、今、みんなが目の前にいた。
生きていた。
あの夜以来、初めて、もう一度息ができるような気がした。
この新たな機会に感謝する……ありがとう。




