XXIV — 僕の最期
すべて僕のせいだった……
10月27日 — 隔離令発令から42日目。
木の壁の隙間から差し込んだ朝日の最初の光が、僕の顔を真正面から照らした。
ゆっくりと目を開けた。数秒間、自分がどこにいるのかわからなかった。ただ、体にかかった毛布の重みと、骨の奥にまだ残っている寒さ、そして脚の鈍い痛みだけを感じていた。
僕は顔を横に向けた。
タバタはまだ隣で眠っていた。
呼吸は穏やかだったが、髪はまだ濡れていて、いくつかのウェーブが頬に張りついていた。僕たちの制服はドアの近くに広げられ、隙間から入ってくるわずかな熱で乾かされていた。
僕は慎重に体を起こした。
体重をかけると脚が痛んだが、動かすことはできた。
「タバタ……」と僕はささやいた。
返事はなかった。
「タバタ」
彼女はゆっくりと目を開けた。
「もう朝?」
「ああ。出発しないと」
彼女は数秒間、天井を見つめてから体を起こした。立ち上がろうとしたとき、痛みに顔をしかめた。
僕たちは、まだ湿った服を着た。肌に触れる冷たい布に、思わず体が震えた。
それから小屋を後にした。
来たときと同じ道をたどり、川を上流へ向かって歩いた。地面は湿って落ち葉に覆われており、一歩進むたびにブーツが泥に少し沈んだ。
しばらくすると、木々の間から橋が見えてきた。
僕たちは立ち止まった。
タバタが拳銃を構えた。
「まだ感染者がいると思う?」
僕は橋のほうを見た。
何も動いていなかった。
「動くものは見えないな」
僕たちはゆっくりと前へ進んだ。
何もいなかった。
感染者は一体もいなかった。
武器を手に橋を渡り、タンクローリーまでたどり着いた。僕たちは乗り込み、ドアを閉めた。何度か試した後、ようやくエンジンがかかった。
エンジン音を聞いて、僕たちの顔に笑みが浮かんだ。
燃料を手に入れた。
僕たちはまだ生きていた。
向きを変え、前日に銃撃された場所を避けるため、別の道を選んだ。遠回りだったが、あの橋をもう一度通りたくなかった。
その地域を抜けるとすぐに、タバタが声を上げて笑った。
「あそこから生きて出られたなんて、信じられないわ」
「僕もだよ」
「しかも、トラックまで残ってる」
「それが一番だな」
「違うわ。一番いいのは、まだ生きてることよ」
僕は彼女を見た。
「それもそうだな」
その後の数時間、久しぶりに、すべてが普通に思えた。
ガソリンスタンドで手に入れたものを食べた。水を飲み、お菓子を分け合い、トラックにしまっておいた缶詰もいくつか見つけた。
タバタはディスクをかけて、音量を上げた。
僕たちは歌った。
二人とも歌詞を正確に覚えているかどうかなんて、どうでもよかった。彼女が歌詞の一部を勝手に作り、僕はそれを聞いて笑った。今度は僕が同じことをして、運転しながらタバタが僕の腕を叩く羽目になった。
「そんな歌詞じゃないわよ!」
「どうしてわかるんだ?」
「英語がわかるからよ」
「だからって、歌詞まで覚えてるとは限らないだろ」
「黙って」
僕たちは笑った。
しばらくの間、外の世界は存在しなくなった。
そのうえ、午後を遊園地で過ごすために、僕たちは道を外れた。遊具は動かず、売店は空っぽで、機械の電源も切れていた。電気も、音楽も、明かりもなかった。
それでも、僕たちは気にしなかった。
いくつかの構造物に上り、アトラクションの間の道を歩き、世界が滅びかけている最中に楽しもうとしている自分たちの滑稽さを笑い合った。
ぬいぐるみでいっぱいの景品ゲーム機を見つけ、タバタは機械のアームで一つ取ろうと、何分も挑戦し続けた。
動かなかった。
「壊れてるよ」と僕は言った。
「わかってるわ」
「だったら、もうやめろよ」
「嫌よ」
「タバタ……」
「絶対に取るんだから」
「電気が通ってないだろ」
彼女は真剣な顔で僕を見た。
「雰囲気を台無しにしないで」
僕は吹き出した。
日が沈む前に、僕たちはトラックへ戻った。
キャンプまでは、まだ2時間ほどの道のりが残っていた。
空は少しずつ暗くなっていった。最後のオレンジ色の帯が木々の向こうに消え、道路を照らすのはヘッドライトだけになった。
タバタは再びディスクをかけた。
僕たちが穏やかに話していると、空を低い轟音が切り裂いた。
僕はフロントガラスの向こうを見た。
二つの光が頭上を横切った。
顔を上げた。
戦闘機が2機、道路の上を猛スピードで通過し、木々の向こうへ消えていった。向かっているのはキャンプの方向だった。
僕はカメラを手に取った。
写真を撮ろうとしたが、無駄だった。
もう姿は消えていた。
「君たちの部隊の飛行機か?」と僕は尋ねた。
タバタが顔を上げた。
「わからないわ。はっきりとは見えなかった」
タバタは音楽の音量を下げた。
「無線は基地まで届かない。知らせることもできないわ」
「きっと味方の機体だよ」
彼女はすぐには答えなかった。
「そうだといいけど」
僕は再び道路を見た。
「進もう」
アクセルを踏み込んだ。
できるだけ早く到着したかった。
その後の数分間、僕たちはあまり話さなかった。
そのとき、木々の間に何かが見えた。
オレンジ色の光。
もう一つ。
僕は眉をひそめた。
「あれは火か?」
タバタは座席から身を起こした。
「そうよ」
僕はアクセルを踏んだ。
光が次々と増えていった。
木々の上の空が、オレンジ色に染まっていた。
そして、僕たちは目にした。
キャンプだった。
いや、そこに残されていたものだった。
煙が一帯をほとんど覆い尽くしていた。炎が建物の上に立ち上り、夜を照らしていた。いくつものテントが完全に破壊されていた。道のそばでは車両が燃え、炎に包まれた感染者たちが廃墟の間を当てもなく歩いていた。
息が止まった。
「そんな……」
タバタがドアを開けた。
「私は武器庫へ行く!」
「僕は仲間を探す!」
僕たちはトラックを降りた。
荷物を詰めたリュックはそこに置いた。持っていったのは武器だけだった。
そして、僕は走った。
最初の建物にたどり着く前から、熱気が僕を襲った。
煙で咳き込んだ。
あたり一面に残骸が散らばっていた。焼けた木材、横転した車両、破壊された箱、テントの破片、そして遺体。
炎の間を走った。
「デレク!」
返事はなかった。
「サム!」
聞こえるのは炎の音だけだった。
「ブリサ!」
何も聞こえなかった。
僕は走り続けた。
自分のテントがあった場所にたどり着いた。
足を止めた。
テントはなかった。
残っていたのは、灰の山と、黒く焦げた残骸だけだった。
そのとき、僕は彼らを見つけた。
5体の遺体。
いや、遺体だったもの。
完全に焼き尽くされていた。炎が衣服も皮膚も、誰なのかを見分けるためのものをほとんどすべて奪い去っていた。
自分の中で何かが消えていくのを感じた。
動けなかった。
息ができなかった。
一体を見た。
それから、もう一体。
5体。
そのうちの一体は、ほかよりも小さかった。
頭の中で、僕は彼らに名前を当てはめ始めた。
デレク。
サム。
ブリサ。
ローラ。
エミール……
違う。
そんなはずはない。
僕は彼らに一歩近づいた。
脚が動かなくなり、柱に寄りかからなければ立っていられなかった。
「そんな……」
声はほとんど出なかった。
もう一度、彼らを見た。
「違う、違う、違う……」
僕は片手で口を覆った。
彼らは死んでいた。
全員。
僕の友人たち。
僕の家族。
あれが始まってから、どうにか守り抜いてきたものが、すべて目の前で骨になっていた。
涙が、止めることもできずに頬を伝い始めた。
そのとき、声が聞こえた。
「ジェイコブ……?」
僕は顔を向けた。
「ハミルトン!」
大佐は、僕から数メートル離れた地面に倒れていた。
制服は血に染まり、胸には傷があった。
僕は彼のところまで走り、膝をついた。
「何があったんですか?」
ハミルトンは体を起こそうとしたが、できなかった。
「逃げろ……」
「何ですって?」
「ジェイコブ……逃げ……」
声が途切れた。
彼の口から血が流れ始めた。
「ハミルトン!」
僕は彼の制服をつかんだ。
「ここで何があったんですか!?」
彼は答えなかった。
体が動かなくなった。
僕はゆっくりと手を離した。
周囲を見回した。
ヘリコプターがなかった。
タバタもいなかった。
僕は立ち上がり、入口へ向かって走った。
「タバタ!」
返事はなかった。
僕は武器庫へ向かって進み続けた。
煙で目が痛んだ。数メートル先を見るのもやっとだった。
そのとき、うなり声が聞こえた。
軍服を着た感染者の小さな集団が、炎の間から現れた。
彼らは僕を見つけた。
僕に向かって走り始めた。
後ずさりしながら発砲した。
車両の残骸の間を走り、感染者たちを振り切った。
一体を除いて。
そいつが僕に飛びかかってきた。
武器を構えたが、撃つ前に爆発音のような銃声が響いた。
感染者が倒れた。
僕は撃った男を見つめた。
その顔に見覚えがあった。
「イーサン……」
安堵を感じた。
彼だった。
数週間前、僕が救った兵士。感染が広がるのを防ぐため、噛まれた彼の手を切断しなければならなかった、あの兵士だった。
僕は微笑んだ。
「イーサン!」
だが、彼は銃を下ろさなかった。
僕の笑顔が消えた。
「イ、イーサン……僕だ」
ゆっくりと両手を上げた。
「ジェイコブだ」
彼は銃口をまっすぐ僕に向けていた。
「す、すまない、ジェイコブ……」
「何をしてるんだ?」
彼の目が震えていた。
「命令なんだ」
銃弾が僕の左肩を撃ち抜いた。
僕は地面に倒れた。
一秒遅れて、痛みが襲ってきた。
凄まじい痛みだった。
真っ赤に焼けた鉄の棒を肩に突き刺されたようだった。
僕は歯を食いしばった。
「ああっ!」
イーサンが近づいてきた。
腕を動かそうとした。
動かなかった。
そのとき、仲間たちの言葉を思い出した。
あの会話。
あの噂。
出発する前に話していたこと。
「何人かの兵士が冗談を言っていた。ここから空港へ移動する途中で何かが手に負えなくなったら、民間人全員を撃つよう命令されているって」
その瞬間、あれは冗談ではなかったのだと理解した。
イーサンは僕の前で立ち止まった。
拳銃を持ち上げた。
僕の頭に狙いを定めた。
「すまない、ジェイコブ……」
僕は目を閉じた。
銃声が聞こえた。
だが、何も感じなかった。
目を開けた。
イーサンが仰向けに倒れていた。
その後ろにタバタが立っていた。
「ジェイコブ!」
彼女は僕のところまで走ってきて、膝をついた。
「行くわよ!」
彼女は僕の右腕をつかみ、立ち上がるのを助けてくれた。
「肩が……」
「わかってる」
「弾がまだ中にある」
「わかってる。ここを離れないと」
「ハミルトンが死んだ」
タバタは一瞬、視線を落とした。
「大尉もよ」
立ち止まっている時間はなかった。
僕たちは煙の中を進んだ。
一歩進むたびに苦痛が走った。
左肩が燃えるように痛んだ。制服には血がにじみ、脚にも力が入らなくなっていた。
タバタは僕をしっかり支えていた。
「もう少しよ」
僕は咳き込んだ。
「息ができない」
「頑張って」
僕たちは進み続けた。
大きな出口の門が前方に現れた。
僕たちは門を支える柱の陰に身を隠した。
タバタが外を覗いた。
ハンヴィーが一台あった。
数人の兵士がタンクローリーのそばにいた。
彼らはガスマスクを着けていた。
見覚えのある制服があった。
タバタの部隊の兵士たちだった。
ハミルトンの部隊に所属していた男たちもいた。
タバタが僕を見た。
彼女の表情が変わった。
「外には出られないわ」
「どうして?」
「あなたを殺すから」
「説得すれば……」
彼女は首を横に振った。
「ジェイコブ、上層部からの命令なの。ハミルトンより上の人間たちよ」
「でも、君は彼らの軍曹だろ」
「私の話なんて聞かないわ」
僕たちは黙り込んだ。
外では、一人の兵士が顔を上げ、キャンプのほうを見た。
タバタは再び僕を見た。
「一緒に逃げないと」
「何だって?」
「キャンプを捨てるの。軍人たちも置いていく」
僕は彼女を見た。
それから炎を見つめた。
仲間たちは死んだ。
ハミルトンも死んだ。
キャンプは消え去った。
もう、あそこには何も残っていなかった。
「わかった」と僕は答えた。
ここへ来てから初めて、まだ生き続ける理由が残っているのかもしれないと感じた。
そのとき、背後で物音がした。
僕たちは振り返った。
遅すぎた。
感染者が煙の中から現れ、僕に飛びかかってきた。
僕をつかみ、壁に叩きつけた。
負傷した肩に衝撃が走った。
僕は叫んだ。
感染者は僕ともみ合い始めた。
どうにかマチェーテを抜き、そいつに突き刺した。
感染者は倒れた。
だが、もう遅かった。
兵士たちが音を聞きつけていた。
こちらへ近づいてきていた。
僕はタバタを見た。
どうすればいいのかわからなかった。
彼女にも、どうすればいいのかわからないようだった。
そのとき、彼女は僕が決して忘れることのない行動を取った。
首元に両手を伸ばした。
シェマグを外した。
そして、僕に渡した。
僕は何が起きているのかわからないまま、それを受け取った。
タバタが近づいてきた。
そして、僕にキスをした。
ほんの一瞬だった。
わずか数秒。
それでも、確かに感じた。
彼女は身を翻した。
物陰から出ていった。
「撃たないで! 私よ!」
兵士たちが銃を構えた。
「軍曹!」
そのうちの一人がライフルを下ろした。
「死んだと思っていました」
「ここで何があったの?」タバタが尋ねた。
「奇襲攻撃です。まだ調査中ですが、感染拡大の可能性をすべて排除しろという命令が出ています」
兵士は周囲を見回した。
「報告では、ジェイコブ・レンツはあなたと一緒だったはずです。彼を始末したのですか?」
息が止まりそうになった。
タバタは、僕が隠れている場所を見なかった。
「ええ」
彼女は少し間を置いた。
「死んだわ」
兵士はうなずいた。
「生存者が残っていないか、内部を確認する必要があります、軍曹」
タバタは首を横に振った。
「その必要はないわ。もう確認した」
彼女は廃墟を見つめた。
「誰も残っていない」
兵士は数秒間、黙っていた。
やがて、うなずいた。
「それなら撤収です。オメガ・キャンプで待機しています」
タバタはハンヴィーに乗り込んだ。
ドアを閉める前に、最後に一度だけ廃墟を振り返った。
僕ではなかった。
キャンプを見ていた。
車両が走り出した。
そして、去っていった。
彼女は僕を救うために去った。
僕はライトが木々の間に消えるまで待った。
それから、隠れていた場所を出た。
誰もいない道路を見つめた。
どうすればいいのかわからなかった。
どこへ行けばいいのかもわからなかった。
そのとき、芝生の上に何かが見えた。
僕のリュックだった。
タバタは去る前に、そこへ置いていったのだ。
僕は走って近づいた。
リュックを拾い上げた。
中を開けた。
日記はまだ入っていた。
カメラも。
僕の荷物も。
すべてあった。
だからこそ、僕は今、起きたことを書き記すことができる。
僕は一人になった。
完全に一人だった。
背後ではキャンプが燃えていた。煙が空を覆い、焼けた木材と燃料、そして焼け焦げた肉の臭いがあらゆるものに染みついていた。
夜は冷たかった。
肩が痛んだ。
腕を伝って、まだ血が流れ続けていた。
自分の手を見た。
片手には日記。
もう片方には、タバタのシェマグがあった。
僕は布を強く握りしめた。
涙をこらえることはできなかった。
僕たちが初めて一緒に酒を飲んだ丘まで歩いた。
そこに腰を下ろした。
その高さからは、炎に包まれたキャンプの一部が見えた。
感染者の何体かが、炎に引き寄せられて廃墟の間を歩いていた。
ほかの感染者たちは森へ逃げていった。
もう、ここに留まるのは安全ではなかった。
僕は立ち上がった。
負傷した肩を押さえ、ホティニの街へ向かって歩き始めた。
避難場所を見つける必要があった。
アパート。
家。
何でもよかった。傷を治し、すべてが終わるのを待てる場所なら。
歩きながら、ある疑問が頭の中で何度も繰り返された。
どうして行ってしまったんだ、タバタ?
僕は視線を落とした。
デレク。
サム。
ブリサ。
ローラ。
エミール。
彼らの名前が一つずつ浮かんできた。
そして、起きたことのすべてが、重くのしかかってきた。
「ごめん……」
声はかすれていた。
「ごめん……」
僕は歩き続けた。
「みんな、僕のせいで死んだんだ」
すべて僕のせいだった……




