第七十話 バーサーカー
「O!カシラYOU!!!」
BADのピンチに表れたのは一機のドローン。
「ハック…どうしてここに…」
「OKASIRAのためならDOKOMADEMO!!!それよりOカシラYOU、あの釘の能力SIRITAKUないかい?」
「なに!?あいつの能力失点のかぁ…」
「そりゃーモチノNOロンヨウ!だって釘付きの奴と戦ってたのはミーなんだかRA-SA…」
《それは数時間前…》
「動くのやめといた方が、いいと思うよ。“釘”っ差しといたから。」
「それはどう言う意味だヨウ!」
その瞬間、ハックの体内から無数の“釘”がその肉を骨を貫くようにして出現する。
「だから言ったでしょ…動かない方がいい…てね。」
「そうだヨウ、ありがとヨウでもヨウ~それ…」
その瞬間、声の先は背後から…
「ダミーだヨウ」
何と、先ほど目の前で串刺しにされたハックが背後にニヤ付いて立っている。
「…マジ…そんなのあり…」
「それはこっちのセリフだヨウ、YOUの方がヤバいもん隠し持ってそうだYOU。」
ヘルフィヨルトは、その状況を理解しようその視線を行ったり来たりして状況を確認。その状況を理解しきれない、と言うよりも…
「バイバーイ~」
串刺しにしたハックがヘルフィヨルトのそばで大爆発を起こす。
「YOUの能力はおそらく、強制の縛りを相手の了承なしに勝ってに押し付けそいつを犯した奴をクシ刺しもしくは崩壊させる能力だロー。だから、ダミーを用意してそいつに“爆弾”を仕掛けた。破壊するたびに凄まじい爆撃がYOUを襲う、そう言う仕掛けだヨー!」
その説明の直後にも、目の前で眼鏡を光らせてどや顔の男に“釘”を投げてその脳天をぶち抜く。
「ぶぶぅ~はずれ」
しかしそれもまた、ダミー。
「くっそ!!!こうなりゃマジ!全部まとめてやるだけぇ!!!」
ヘルフィヨルトはそう言って四方八方を囲む全てのハックに釘を刺し内側から串刺しにしていく。
「「はずれ、はずれ、はずれ」」
しかし、そのどれもがはずれ。と言うか、次から次へと止まらずダミーがヘルフィヨルトを襲い続ける。
負けじとヘルフィヨルトもその釘を投げ続けるもきりがない…
「これが世に言う人外戦術って奴だぁ〜…」
そして背後から迫る"ロードローラー"に…
「YOUぅぅぅ!!!」
押しつぶされるヘルフィヨルトであった…
《時は現在 バーサーカー目の前》
「なるへそ、理解した完璧にな…」
BADはそう言って、飛んでくる釘を警戒。攻撃の半分をハックのドローン軍団がカバーしBADの負担を減らしつつ一瞬之スキを伺う。
(このままじゃらちが開かないYOU!やっぱりあの釘が原因でスキを潰さらたら感じJAN!…だったら一か八か…)
そう言ってハックが取った作戦は…
「おーいおーい、赤メッシュガール?」
それは、姉妹達の思念を習合させたバーサーカーヴァルキリーに対する…
「YOUの攻撃!へなちょこ過ぎだYOU!!!」
その言葉は…
「は…?」
集合思念となった狂戦士の中から…
「はぁぁぁ!!!」
たった一人を引きづり出した。
「殺す!殺す!殺っっっろすぅぅぅ!!!」
その瞬間、全てのBADに向いていた釘の攻撃全部が全部ハックに向いた。
「どう言うことでごわす。こりゃぁ〜」
下でバーサーカーの一箇所をなんとか対処していたノーズやポイズン、ニットはそれを見て目をかっぴらき顎を外す。
「なるほどな、"集合思念"ってこたぁ〜」
「そうだらYOU…」
それは、ハックが導き出した相手の指揮を乱す最善策?
「「全員に意識がある!!!」」
それはつまり、全員が自身を本体だと思い末子であるヴァルキリーに力を貸しているに過ぎない。つまりは、それぞれの意志が残っているならそれぞれの意志の心を見だせばいいだけのこと。
「笑止!なるほど、考えたな。小生の観察眼をもってして見えぬ真実をよくぞハック殿。」
「当然だYOU!俺がハート盗賊団の脳みそ担当だからYOU!。」
そうしてハックへの負担となった全ての攻撃をハックはドローンを用意て守り続ける。
「マジ?スキありぃ~」
しかし、一本の釘がその本体まで届いてしまうも…
(バーン!)
それはダミー…
「クッソ!一体本体はどこに…」
「こっちだ…YOU!!!」
その瞬間、今回はつ正真正銘の本体がヘルフィヨルトの担当する部位を狙う。
「全員!今だYOU!!!」
その瞬間、全員の攻撃が0.1秒もたがわず同時に入る。
『うがぁぁぁ!!!』
それは、バーサーカー本体が初めて上げた悲痛の叫び。
「分身も含めて、全員さけんでるじゃね?」
「なるほど、合点がいったぜ。あたい…」
「そうだな…おそらく…」
ハットはその違和感に気づき、BADとリップはその真実に気づいていた。
「おそらく、奴らは全員がダメージを共有している…そういうことなのだろう?」
スモークはBADに問いかけBADはそれにうなずいた。
「おそらく、本来の能力とは関係なくあの同時攻撃でしか破れないバリアはそう言う性質だ。何個もバリアを張れるが一つが壊れると複製した霧の分身の分も溶けちまう。」
「能力の併用の弊害じゃん、霧の分身しかも水滴一つ一つの微細なレベルの超粒子分身確かに凄いけど〜…そりゃぁ〜こんだけ無茶苦茶したら性能も落ちるじゃん。」
「そもそもだYOU!魔力ってのは精神で操るものだYOU!そんな繊細な力をだYOU!全部一緒にしたら…そりゃー"ゲシュタルト崩壊"するに決まってるYOU〜」
それは精神の混在が招いた失態、魔力は精神エネルギー。それを複数人分所有すると言うことは力の制御がそれだけ難しくなる。だからこそ、意識の統率。思念体と言う人ならざる幽体の指揮をとり戦場の戦士の如く振る舞う必要があった。
しかし、それが一度崩れれば…
(「うぇぇぇ〜ん!お姉様ぁ〜」)
(「うっるせぇぇぇぞぉぉぉ、マジムカツクあのドローンよぉぉおを殺すんだ」)
(「ちょっと、いけませんよ。はしたない…」)
(「おぉぉこれって復讐って奴ですかぁ!すっげぇ燃えてきたぁぁぁ」)
(「うがうがうっがぁぁ!!!」)
(「「$%&'()=)('&%&'()=)('&%&'()=)('&%&'」」)
(「うるさーーーい!!!」)
(「ハァ~全く、轟いてねぇ~なぁ~」)
全員の意識が分散し、最終的に全員が身勝手に自身の言葉を発し乱立し続けたことでもう何を言ってるかわからない。その末に姉妹の長女ヒルデが「うるさい」と釘を刺す。
そのやりとりを聞いていたフリストが呆れて両手を広げ、手首を下に向けて「はぁ〜」と言っている。
「全員の統率が切れた…狙うなら今!畳み掛けるぞ、やろぉぉぉ共ぉぉぉ!!!」
「「おう!」」
その場の全員が自身に適した相手を選び、その前進16箇所を…
「「せーの!」」
同時攻撃する。
『うがぁぁぁ!!!』
その一撃一撃がヒットする度に、地獄の底から響くような蠢く亡者の叫びが当たりに響き渡る。
(キン!)
「これが、神の肉体…ウルシー頼むぜ。」
「御意…」
ついに、その障壁の全てが壊れ最深部の神の身体に至った瞬間全ての攻撃が弾かれる。
しかしこちらにも、対神用の兵器がある…
「地脈野顎」
大地を駆け巡る螺旋状の世界のエネルギーが、緑の螺旋がその手を包みそれを持って黄金の鎧を…
(ドゴン!!!)
ぶっ飛ばす。
(あわわわ、全身の神気が…)
「案ずるな、小生はここまでだ。後は頼むぞ…お頭殿…」
「了ー解!」
そこは遥か上空、巨神バーサーカーの顔面の前。男は仲間の天使の翼を広げ放つ一撃をその腕にため、膨大な魔力をその一点に貯め続けていた。
「いくぜ…アッシューーー!!!」
腕にため込むその男の真横に現れる桃色の宝石の化身は、ため込んだそれとほぼ同質のものいや。むしろ男のものよりさらに強大に見えるその拳に今もなお魔力を貯め続けその横に立つ。
『まままって下さい、その方はなぜ魔力を貯めた状態で…』
「は?話せんじゃねぇーか…」
『あ!』
なんとバーサーカーはうめき声だけでなく、しっかりと会話ができた。そんな衝撃的な事実より何よりその目の前の対象が行った不可解な現象をBADは次のように説明した。
「こいつはアッシュ、そしてこの姿は乖離体状態のアッシュだ。知ってるか?乖離体の魔法を使用するためには多重人格の形成が必要だと言われてる。そいつは、イマジナリーフレンドとか元から多重人格者とかでも成立するわけだが…俺の場合は死んだアッシュの魂が直接心に入ったタイプだ。」
『それがどうして…』
「まだわかんねぇーのか、とどのつまり乖離体は発動以前から切り離された人格が体内でその魔力を練れる。つーわけだ…最後まで言わせんなよ、お宅鈍いぜ。」
それはつまり、本来具現化し目に見える形で扱う魔力を体内のしかも自身とは無関係な別人格が体内で魔力発動の準備ができると言うこと。これの恐ろしさは例えば、現実で隙の無い相手と交戦していたとして魔力を貯めて威力の高い攻撃を出したいが出せない。そんな状況になった時、乖離体の所有者は体内で別の人格が魔力を貯めておいてくれると言うこと。
これが可能なら、隙をなくして準備をさせないと言う妨害行為が完全に無力化されてしまう。敵に集中しながら魔力まで貯められるなんてどう考えても…
『チート…だ…』
それはヴァルキリーだけの言葉ではなく、姉妹全員の総意。
「行くぜ!アッシュ!!!」
「フン」
そして、終わりの時は今。完全に貯まりきった魔力充填100%のその拳、完全完璧にBADの全魔力を乗せたそれが今…彼女の前に向けられる。
「愛四季二人之共同作業」
二人が拳が合わさり、ため込んだその魔力がハート型の莫大なエネルギーへと変化してその巨体の顔面を捉えて放たれる。
(ズシャン!!!)
するとその一撃で、巨体の頭部が吹き飛び。粉々の肉片となって全分身に伝わり消失。
倒した直後に消える使用だったことで、街への被害も最小限に抑えられこれにて…
勝敗は決した。
(ズシャン!)
みなで喜びいさんでガッツポーズを決めたその瞬間。突然目の前に現れた巨大氷山と…
「博士公ぉ!!!」
その中で氷漬けにされたドクターの姿だった。
《一時間前 崩壊ビル》
「シャーシャシャ!十三騎士団ナンバー2。2番目…いいぜぇ~」
「期待をさせてすまない、我々の数字は序列ではなく入団順なんだ。無駄に長生きしているだけの雑兵だよ、ボクは…」
そう語るドクターに、それでもなお笑い続けるガルズガンド。
「ひぃ~…“薔薇銀之魔女”、“世界最初之錬金術師”、“茨薔薇姫”他にもあるかい?あんたの異名…」
「…」
目の前の蛇が、煽る目的で言った挑発の言葉。それが、ドクターの記憶の奥底に眠るある映像をその脳裏に呼び起させる。
“「師’匠’、こ’の’前’最’近’目’が’悪’く’っ’て’っ’て’言’っ’て’ま’し’た’よ’ね’。’…師’匠’に’似’合’い’そ’う’な’丸’眼’鏡’、見’つ’け’た’ん’で’す’け’ど’…ダ’メ’、で’す’か’ね’?’」
それは奇麗な花が咲き誇るお花畑の上で、二人は腰かけ見つめ合っている。ドクターが見つめるその金髪碧眼の美少年の名は…
「ナンバーズの生みの親、世界最悪の兵器屋、“銀之流星アレス・クロウ”の師。その姿でも思い出していたかぜぇ?」
「…」
ドクターの一番弟子、アレス・クロウ。それがもたらした兵器はメディウス・ロクスの一億年の歴史を大きく動かしそれが手掛けた全ての兵器が長きにわたる数千、数万年の血の歴史で使われ人々の命を奪った。
故に…
「世界…最悪の錬金術師…ローズ・ウェア…」
彼女はその罪を雲隠れした弟子の代わりに背負い、その罪を自身の全身に戒め続けた。だから彼のなすべき目的はベシルと出会った数千年変わらずその遺産の廃棄と罪を背負い続ける覚悟。
「フフ…」
彼が、彼女を焚きつけるために起こした挑発は彼女の心の底にとどいた。
「やろうか…」
「シャシャシャ!そうこなくっちゃっっっなぁぁぁ!!!」
ガルズガンドがそう叫ぶついでに放った唾が、凍てつく氷の刃に変わる。
(氷魔法か…)
放たれたその水滴が、顔に飛んだ微量の唾が、鋭い牙に変化する。それに掠め取られたドクターの柔肌、切り刻まれたその血は人体にぐるぐる巻きにされたその包帯に染み始める。
「どうしたぁ?旦那。この程度じゃぁ!ねぇーよっっっ…」
そうして男は飛び上がり、その手に氷の剣を作り出し…
「ぜぇ!!!」
ドクターに向けて、天から振り下ろされる一撃を加える。
「なぁ~君、魔術師タイプだろ?近接がおざなりになっているぞ。」
茨薔薇姫、そう呼ばれた彼女の秘奥義。
「茨薔薇」
ドクターを囲うツタ、それから伸びる茨。その紫の針が蛇を捉えて全身をその複数の毒針で刺し殺す。
「あぁ~いいねぇ~生きてるって感じがする…」
しかし彼は、その痛みを快感に変え。毒を取り込んでその身から…
「毒蛇之咆哮」
なんと、蛇男はその全身から毒霧を周囲に散布し始める。
「悪いぜぇ~俺ぇは毒を浴びるとハイ!になっちまうんだぇ~ついなぇ~」
蛇男、ガルズガンドの特異体質“体麻”はあらゆる毒が逆に彼にとって効能をもたらすし強化するが逆にあらゆる万薬が彼にとっては毒となる。
「毒は…効くかいぇ」
それが放った毒をもろに受けてしまったドクター。
「“誰を相手にしているつもりだい?”」
目の前の相手は毒霧を振り払ってその眼上に現れる。
「ボクの魔法は植物を操る自然属性の魔法…“あらゆる万薬、毒は自然から発生する”…ボクは毒の始祖なのだよ。」
そういった、振り払った毒霧が緑に染まりガルズガンドの周囲を囲む。
「これは…」
「文字通りの…萬薬さ…」
それは彼女にとっては薬、どんな病魔も傷おも癒す万能のそれ…しかし…
「う”ぉ!」
彼にとっては…
「薬と言うのは、本来適量な毒だ。薬も過剰に摂取すれば毒となるし対外の毒はうまく使えば薬に転じることもある。それらに該当しない害を猛毒と呼ぶ、まっ君にとっては転じることのない猛毒が効能で…人を癒す万薬こそ猛毒だがね。」
全てを癒す緑の毒素が、猛毒を好む蛇を殺す?




